全国企業倒産状況

2014年8月の全国企業倒産727件で今年最少 4カ月連続で前年同月を下回る

2014年8月の倒産

倒産件数が今年最少727件 4カ月連続で前年同月を下回る

 2014年(平成26年)8月度の全国企業倒産は、件数(負債額1,000万円以上)が727件、負債総額は1,357億6,400万円だった。
倒産件数は、今年最少。前年同月比11.2%減で、4カ月連続で前年同月を下回った。月次ベースでは、バブル景気時の1991年2月(677件)以来の低水準にとどまった。2013年12月(750件)を底に、漸増傾向が続いていた月次推移は一段落した格好になった。
負債総額は同18.3%減で、7カ月連続で前年同月を下回った。負債1億円未満が528件で、構成比が今年最高の72.6%を占めて小規模倒産が目立った。

企業倒産月次推移


  • 従業員被害状況:前年同月比6.8%増の4,711人、14カ月ぶりに前年同月を上回る
  • 原因別:「事業上の失敗」が41件、前年同月比41.3%増で増加目立つ
  • 形態別:民事再生法が今年最少の18件
  • 「人手不足」関連倒産のうち、「求人難」型が2件発生
  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産が21件、7カ月連続で前年同月を下回る
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が726件(構成比99.8%)、4カ月連続で前年同月を下回る

産業別 不動産業、サービス業他で件数増加

 8月の産業別倒産件数は、10産業のうち7産業で前年同月を下回った。
不動産業は今年最多の38件(前年同月比40.7%増)で3カ月連続で前年同月を上回った。飲食店などを含むサービス業他が201件(同5.7%増)で増加に転じた。
一方、製造業は87件(同22.3%減)で13カ月連続、卸売業は109件(同7.6%減)で4カ月連続で前年同月を下回った。建設業は132件(同25.4%減)で2カ月連続で前年同月を下回った。公共投資の前倒しで土木工事は24件(同44.1%減)となったが、民需中心の木造工事11件(同10.0%増)、床・内装工事12件(同50.0%増)は増加に転じ、明暗を分けた。
また、消費税率引き上げの影響が懸念される小売業も88件(同24.1%減)で4カ月連続の前年同月比減少だったが、業種別では婦人・子供服小売(7→12件)、燃料小売(4→6件)などで増加をみせた。燃料価格の高止まりが懸念される運輸業は34件(前年同月比2.8%減)で4カ月連続で前年同月を下回った。

2014年8月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 東北の件数が2カ月連続で前年同月を上回る

 8月の地区別倒産件数は、9地区のうち5地区で前年同月を下回った。
このうち、東北は25件(前年同月比19.0%増)で2カ月連続で増加した。県別では青森、岩手、宮城、秋田で前年同月を上回り、福島が前年同月同数だった。また、北海道が28件(同3.7%増)で4カ月ぶりに、四国15件(同7.1%増)が2カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、中部は84件(同17.6%減)で6カ月連続で前年同月を下回り、関東が309件(同9.9%減)で4カ月連続で前年同月を下回った。近畿167件(同16.0%減)と九州55件(同8.3%減)はともに2カ月連続で減少した。中国は26件(同25.7%減)で2カ月ぶりに前年同月を下回った。このほか、北陸は前年同月同数の18件だった。産業別でみると、東北がホテル・旅館を含むサービス業他(4→6件)や卸売業(2→4件)で、北海道はサービス業他(7→9件)と運輸業(ゼロ→3件)で増加した。

2014年8月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)笠屋町不動産/大阪府/貸ビル、賃貸マンション経営/200億円/特別清算
  2. (株)大鳥/茨城県/パチンコホール・飲食店経営/67億3,600万円/民事再生法
  3. (医)緑生会/千葉県/病院経営/66億5,900万円/民事再生法
  4. (株)オルケス/東京都/婦人服販売ほか/63億4,500万円/民事再生法
  5. 武蔵産業(株)/埼玉県/ディスカウントストア・パチンコホール経営/42億5,100万円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ