全国企業倒産状況

2014年6月の全国企業倒産865件 建設業倒産が増加に転じる

2014年6月の倒産

倒産件数865件で2カ月連続減少 建設業倒産は28カ月ぶりに前年同月を上回る

 2014年(平成26年)6月度の全国企業倒産は、件数(負債額1,000万円以上)が865件、負債総額は1,920億3,700万円だった。
倒産件数は前年同月比3.5%減(32件減)。2カ月連続で前年同月を下回った。6月度としては過去20年間で最少だった。ただし、月次推移をみると、2013年12月(750件)を底にして減少傾向の下げ止まりも窺え、今後の推移が注目される。
負債総額は同49.9%減(1,916億6,700万円減)で、5カ月連続で前年同月を下回った。大幅減になったのは、前年同月にはアイティーエム証券(株)(負債1,416億円)を筆頭に負債100億円以上が4件発生したのに対し、当月は1件だけで反動減が大きくなったため。

企業倒産月次推移


  • 従業員数別:5人未満の構成比が72.0%、6カ月ぶりに70%を占める
  • 形態別:特別清算が今年2番目に多い27件
  • 原因別:「事業外の失敗」が5カ月連続で前年同月を上回る
  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産が17件、5カ月連続で前年同月を下回る
  • 「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が18件、26カ月連続で前年同月を下回る
  • 業種別:婦人・子供服小売が(ゼロ→11件)で増加が目立つ
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が864件(構成比99.8%)、2カ月連続で前年同月を下回る

産業別 建設業、不動産業、サービス業他で前年同月を上回る

 6月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。
こうしたなか、建設業は190件(前年同月比3.2%増)で、2012年2月以来28カ月ぶりに前年同月を上回った。また、サービス業他が223件(同11.5%増)、不動産業が23件(同9.5%増)で2カ月ぶりに前年同月を上回った。
一方、製造業は124件(同13.2%減)で11カ月連続で減少し、卸売業は107件(同18.9%減)で2カ月連続で減少した。消費税率引き上げの影響が懸念される小売業は106件(同9.4%減)で2カ月連続で前年同月を下回ったが、業種別では婦人・子供服小売(ゼロ→11件)、男子服小売(2→5件)などで増加が目立ち、今後の個人消費関連の動向が注目される。燃料価格の高止まりが懸念される運輸業は45件(前年同月比8.1%減)で2カ月連続で前年同月を下回った。

2014年6月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち6地区で前年同月の件数を下回る

 6月の地区別倒産件数は、9地区のうち6地区で前年同月を下回った。
こうしたなか、四国は19件(前年同月比11.7%増)で2カ月連続で増加し、近畿234件(同8.3%増)と九州71件(同10.9%増)は増加に転じた。
一方、震災の直接被災地である東北は32件(前年同月比13.5%減)で2カ月連続で減少したが、県別では青森、秋田、山形で前年同月を上回った。中国31件(同31.1%減)は5カ月連続で前年同月を下回り、中部108件(同14.9%減)は4カ月連続で減少した。
関東324件(同0.3%減)、北陸20件(同37.5%減)、北海道26件(同23.5%減)で、それぞれ2カ月連続で前年同月を下回った。

2014年6月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. 一般社団法人京都府森と緑の公社/京都府/育林業/227億8,300万円/民事再生法
  2. (株)リンク・イノベーション/東京都/販売促進コンサルティング/98億1,600万円/特別清算
  3. 廣済堂開発(株)/東京都/ゴルフ場経営/88億円/民事再生法
  4. MSエイジア(株)/東京都/バルブ製品製造販売/49億8,400万円/破産
  5. (株)千葉廣済堂カントリー倶楽部/東京都/ゴルフ場経営/48億円/民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ