全国企業倒産状況

2014年3月の全国企業倒産814件

2014年3月の倒産

倒産件数 3月としては1991年以来の低水準、17カ月連続で前年同月を下回る

 2014年(平成26年)3月度の全国企業倒産は、件数(負債額1,000万円以上)が814件、負債総額は1,169億9,700万円だった。
倒産件数は前年同月比12.3%減(115件減)で、 3月度ではバブル期の1991年(772件)以来、23年ぶりに900件を下回った。前年同月比の減少は過去5番目の17カ月連続に延びた(過去最長は1985年1月-90年9月の69カ月連続減少、同4番目は2009年8月-11年4月の21カ月連続減少)。企業倒産は中小企業金融モニタリング体制の効果に加え、金融機関が中小企業のリスケ要請に応じており、依然として抑制されている。
負債総額は前年同月比26.4%減(421億1,300万円減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。10億円以上の大型倒産は17件(前年同月32件)にとどまり、前月(19件)に引き続き20件を割り込んだ。負債100億円以上は2カ月連続で発生がなく、負債1億円未満の倒産が590件(構成比72.4%)と全体の7割を占めた。また、資本金別では1億円以上が4件(前年同月12件)と大幅に減少した。5件を下回ったのは1996年1月(3件)以来、18年2カ月ぶりで、倒産は小・零細規模へのシフト傾向を強めている。

企業倒産月次推移


  • 資本金1億円以上が4件、18年2カ月ぶりに5件を下回る
  • 負債額別:負債10億円以上の大型倒産が17件、2カ月連続で20件を下回る低水準
  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産が27件、2カ月連続で前年同月を下回る
  • 「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が15件、23カ月連続で前年同月を下回る
  • 業種別:飲食業倒産が前年同月比73.3%増(45→78件)で増加が目立つ
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が814件(構成比100.0%)、8カ月連続で前年同月を下回る

産業別 10産業のうち7産業で前年同月を下回る

 建設業は163件(前年同月比24.5%減)と25カ月連続で減少した。製造業(131件、同19.6%減)と卸売業(110件、同12.6%減)はそろって8カ月連続で減少。また、小売業は103件(同11.2%減)で3カ月連続で減少した。ただ、業種別で中古自動車小売(3→6件)、菓子・パン小売(2→8件)などは増加しており、消費税率引き上げによる個人消費関連の動向が注目される。燃料価格の上昇が懸念される運輸業は22件(前年同月比21.4%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。一方、増加したのは3産業で、サービス業他は207件(同0.9%増)で、6カ月ぶりに増加。飲食業(45→78件)の増勢が目立った。消費税引き上げ前の駆け込み需要で活況を見せる不動産業は30件(前年同月比7.1%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。情報通信業は広告制作、情報処理などのIT関連が増加した。

2014年3月の産業別倒産

産業別倒産月次推移

地区別 9地区のうち8地区で前年同月を下回る

 3月の地区別倒産件数は、9地区のうち関東を除く8地区で前年同月を下回った。
震災の直接被災地である東北は、30件(前年同月比11.7%減)で2カ月連続で減少したが、県別では岩手、秋田が前年同月を上回った。四国は16件(同30.4%減)で11カ月連続の減少。北陸が17件(同39.2%減)で9カ月連続の減少、北海道40件(同6.9%減)、近畿180件(同22.7%減)、中国44件(同12.0%減)は、そろって2カ月連続で前年同月を下回った。九州は53件(同10.1%減)で3カ月ぶりに減少、中部は117件(同17.6%減)で2カ月ぶりに減少した。一方、関東は、前年同月と同数の317件で8カ月ぶりに減少がストップした。県別では千葉と神奈川で前年同月を上回り、埼玉と新潟が前年同月同数だった。

2014年3月の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. レオアセットマネジメント(株)/東京都/不動産コンサルティング/65億4,800万円/特別清算
  2. (株)ネクスト/大阪府/ボウリング場経営ほか/48億1,500万円/民事再生法
  3. ミナトホテルマネジメント(株)/東京都/ホテルマネジメント業務/38億800万円/特別清算
  4. 松久(株)/岐阜県/不動産管理/37億円/破産
  5. (株)第一繊維/埼玉県/紳士服、婦人服製造/30億円/特別清算

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ