全国企業倒産状況

2013年9月の全国企業倒産820件

倒産件数 820件
負債総額 1,902億200万円
前月比(件数) +0.1%(前月 819件)
前月比(負債) +14.4%(前月 1,662億5,900万円)
前年同月比(件数) -11.9%(前年同月 931件)
前年同月比(負債) +8.9%(前年同月 1,746億2,600万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

9月の倒産件数は820件 9月としては1990年以来の低水準

2013年(平成25年)9月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は820件、負債総額が1,902億200万円だった。
倒産件数は、前年同月比11.9%減で、11カ月連続で前年同月を下回った。9月としては、バブル景気時の1990年(531件)以来の低水準にとどまった。
企業倒産は、中小企業金融円滑化法の終了に対応した政府の「中小企業金融モニタリング体制」や、低迷していた中小企業向け貸出が増えていること。金融機関が円滑化法終了後も中小企業のリスケ要請に応じていることも影響して、2カ月連続で900件を割り込んだ。
負債総額は前年同月比8.9%増で、3カ月ぶりに前年同月を上回った。これは、負債100億円以上の大型倒産が今年最多の5件(前年同月ゼロ件)発生したことが影響した。

企業倒産月次推移


  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産が38件、大型倒産発生により負債が過去最大の552億円にのぼる
  • 「東日本大震災」が影響した「震災関連」倒産が24件、17カ月連続で前年同月を下回る
  • 形態別:民事再生法が12カ月連続で前年同月を下回る
  • 原因別:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が103件、15カ月連続の100件超え
  • 建設業倒産が前年同月比29.2%減、19カ月連続で前年同月を下回る
  • 業種別:情報関連サービス業、飲食業、宿泊業などで倒産増加
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が820件、構成比が2カ月連続で100.0%を占める

産業別

産業別倒産件数 10産業のうち7産業で前年同月を下回る

このうち唯一、情報通信業が43件(前年同月比22.8%増)で、2カ月ぶりに前年同月を上回った。内訳は、ソフトウェア業(18→22件)、情報処理・提供サービス業(2→6件)などで増加した。一方、建設業が今年最少の172件(同29.2%減)で19カ月連続の減少。燃料価格高止まりの影響が懸念される運輸業は、今年最少の26件(同25.7%減)で3カ月連続で減少した。このほか、製造業132件(同14.2%減)と卸売業135件(同0.7%減)が2カ月連続のマイナス。小売業は97件(前年同月比10.1%減)で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。また、サービス業他は前年同月同数で今年最少の179件だった。

2013年9月 産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移

地区別

地区別倒産件数 近畿、中国、九州など西日本で増加が目立つ

  • 北海道:件数が11カ月連続で前年同月を下回る。
  • 東北:全体の件数が、3カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、岩手、山形で前年同月比増加。
  • 関東:全体の件数が、2カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、千葉のみ前年同月比増加。
  • 中部・北陸:全体の件数が、中部は2カ月連続のマイナス。北陸は3カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、福井のみ前年同月比増加。
  • 近畿:全体の件数が、1年2カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良で前年同月比増加。
  • 中国:全体の件数が、3カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、鳥取、広島、山口で前年同月比増加。
  • 四国:全体の件数が、5カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、前年同月同数の香川と高知を除き減少。
  • 九州:全体の件数が、2カ月ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、福岡、佐賀、長崎で前年同月比増加。

2013年9月 都道府県別倒産状況

  • 地区の範囲は以下に定義している。
    東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
    中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
    四国(香川、徳島、愛媛、高知)
    九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. 合同会社長堀橋開発 / 東京都 / 高層ビル建設特定目的会社 / 148億7,600万円 / 破産
  2. (株)レモール / 大阪府 / 看護師向け衣料ほか販売 / 134億3,100万円 / 民事再生法
  3. ロームつくば(株) / 茨城県 / 電子部品製造 / 115億円 / 特別清算
  4. ペトロマテリアル(株) / 東京都 / 油井用鋼管輸出・製造 / 106億8,700万円 / 民事再生法
  5. 真生印刷(株) / 大阪府 / 商業印刷ほか / 100億円 / 民事再生法

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ