全国企業倒産状況

2013年8月の全国企業倒産819件

倒産件数 819件
負債総額 1,662億5,900万円
前月比(件数) -20.0%(前月 1,025件)
前月比(負債) -16.6%(前月 1,995億6,300万円)
前年同月比(件数) -15.3%(前年同月 967件)
前年同月比(負債) -23.2%(前年同月 2,166億3,400万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

8月の倒産件数は819件 21年11カ月ぶりに850件を下回る

2013年(平成25年)8月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は819件、負債総額が1,662億5,900万円だった。
倒産件数は、前年同月比15.3%減で、10カ月連続で前年同月を下回った。月次倒産が850件を下回ったのは、1991年9月(845件)以来で、21年11カ月ぶりの低水準になった。これは、中小企業金融円滑化法の終了に対応した「中小企業金融モニタリング体制」や金融庁が4月30日に実施した「監督指針」改正などで、低迷していた金融機関の中小企業向け貸出が増えつつあることも影響したとみられる。
負債総額は、前年同月比23.2%減で、2カ月連続で前年同月を下回り、8月度としては過去20年間で最少金額だった。8月は負債1,000億円以上の大型倒産がなく、最大の倒産は不動産開発・分譲の(株)ZKR(大阪府)の負債197億7,900万円だった。これを含め負債10億円以上の大型倒産は今年最少の22件(前年同月31件)にとどまり、負債1億円未満の小規模倒産が582件で構成比71.0%を占めた。

企業倒産月次推移


  • 原因別件数:既往のシワ寄せ(赤字累積)が115件、14カ月連続の100件超え
  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更利用後の倒産が今年最少の23件(前年同月19件)
  • 形態別:民事再生法が過去最少の18件
  • 負債額別:負債10億円以上の大型倒産が今年最少の22件
  • 上場企業倒産:ジャスダック上場のワールド・ロジ(株)が破産を申請。今年は累計3件(前年同期5件)
  • 業種別件数:宝石・貴金属関連、広告関連、飲食業などで倒産増加
  • 東日本大震災関連倒産は21件、16カ月連続で前年同月を下回る
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)が819件、2カ月ぶりに減少

産業別

産業別倒産件数 小売業が2カ月連続で増加

8月の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同月を下回った。
小売業は116件(前年同月比7.4%増)で、2カ月連続で前年同月を上回った。内訳は、菓子・パン小売(5→11件)、書籍・文房具小売(2→7件)などで増加が目立った。また、不動産業は27件(同12.5%増)で、7カ月ぶりに前年同月を上回った。
一方、建設業は177件(前年同月比36.5%減)で18カ月連続の減少。製造業が今年最少の112件(同21.1%減)、サービス業他も今年最少の190件(同3.0%減)で3カ月ぶりに減少に転じた。また、卸売業が118件(同11.9%減)で2カ月ぶりのマイナス。燃料価格高止まりの影響が懸念される運輸業は35件(同2.7%減、前年同月36件)でほぼ横ばいだった。

2013年8月 産業別倒産状況

主要産業倒産件数推移

地区別

地区別倒産件数 3年ぶりに9地区すべてで前年同月を下回る

  • 北海道:件数が10カ月連続で前年同月を下回る。
  • 東北:全体の件数が、2カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、岩手のみ前年同月比増加。
  • 関東:全体の件数が、2カ月ぶりに前年同月を下回る。県別件数では、埼玉、東京、新潟で前年同月比増加。
  • 中部北陸:全体の件数が、中部は2カ月ぶりのマイナス。北陸は2カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、長野のみ前年同月比増加。
  • 近畿:全体の件数が、13カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、京都のみ前年同月比増加。
  • 中国:全体の件数が、2カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、鳥取(同数)を除き前年同月比減少。
  • 四国:全体の件数が、4カ月連続で前年同月を下回る。県別件数では、徳島、香川で前年同月比増加。
  • 九州:全体の件数が、3カ月ぶりに前年同月を下回る。県別件数では、佐賀、長崎、大分、沖縄で前年同月比増加。

2013年8月 都道府県別倒産状況

  • 地区の範囲は以下に定義している。
    東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
    中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
    四国(香川、徳島、愛媛、高知)
    九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当月の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)ZKR / 大阪府 / 不動産開発、分譲 / 197億7,900万円 / 民事再生法
  2. ベレッツアクラブジャパン(株) / 東京都 / 美容関連機器販売、修理 / 157億9,000万円 / 特別清算
  3. ワールド・ロジ(株) / 大阪府 / 物流一括受託事業ほか / 79億1,600万円 / 破産
  4. (株)アクロス / 埼玉県 / 繊維強化炭素製品製造 / 70億円 / 民事再生法
  5. (株)農産振興 / 静岡県 / 農産物卸 / 46億4,000万円 / 特別清算

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ