全国企業倒産状況

2011年(平成23年)3月度 全国企業倒産状況

倒産件数 1,183件
負債総額 2,702億4,400万円
前月比(件数) +19.8%(前月 987件)
前月比(負債) -34.1%(前月 4,101億8,800万円)
前年同月比(件数) -9.9%(前年同月 1,314件)
前年同月比(負債) -13.0%(前年同月 3,109億4,700万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同月比9.9%減の1,183件、 「震災関連」倒産が6件発生


 2011(平成23)年3月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,183件、負債総額が2,702億4,400万円となった。

 

 倒産件数は、前年同月比9.9%減で20カ月連続で前年同月を下回った。連続減少期間としては、1971年6月から1973年4月までの23カ月連続に次ぐ過去4番目の長さ

 また3月としては、2005年(1,140件)以来年6年ぶりに1,200件を下回った。依然として「中小企業金融円滑化法」や「景気対応緊急保証制度」などの金融支援効果による倒産抑制が続いている。こうしたなか3月11日に発生した「東日本大震災」は、東北地方を中心に甚大な被害を及ぼしたが、震災による直接被害や取引先の被災、製品・原材料の入手不足などから経営に支障をきたした「震災関連」倒産が3月末で6件判明、今後の推移が懸念される。

 

 負債総額は、同13.0%減で5カ月連続で前年同月を下回った。負債額別では1億円未満の構成比が66.3%、従業員数別では5人未満の構成比が67.0%を占めて、引き続き小・零細規模の企業倒産を中心に推移した。

企業倒産月次推移


産業別


産業別倒産件数 10産業のうち7産業で前年同月を下回る

 減少率は、金融・保険業60.0%減(5→2件)を筆頭にして、運輸業24.0%減(54→41件)、情報通信業16.6%減(54→45件)、サービス業他16.2%減(289→242件)、製造業13.7%減(211→182件)、建設業10.8%減(341→304件)、卸売業5.4%減(185→175件)の順。これに対して増加は、農・林・漁・鉱業42.8%増(7→10件)、不動産業32.3%増(34→45件)、小売業2.2%増(134→137件)の3産業だった。

 


産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 10 1,805
建設業 304 39,895
製造業 182 52,901
卸売業 175 60,614
小売業 137 36,925
金融・保険業 2 3,145
不動産業 45 9,905
運輸業 41 3,763
情報通信業 45 5,357
サービス業他 242 55,934
合計 1,183 270,244


※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数推移


地区別

地区別倒産件数 9地区のうち5地区で前年同月を下回る

 減少率は、関東25.4%減(518→386件)、東北15.4%減(71→60件)、近畿15.1%減(363→308件)、北陸9.6%減(31→28件)、九州8.4%減(83→76件)の順。

 これに対して増加は、四国70.0%増(20→34件)、中部34.2%増(146→196件)、北海道25.0%増(36→45件)、中国8.6%増(46→50件)の4地区だった。

・北海道:件数が3カ月連続で前年同月比増加。

・東北:全体の件数が、3カ月連続で前年同月比減少。県別件数では、青森、秋田が前年同月比増加。

・関東:全体の件数が、3月としては1992年(360件)以来19年ぶりに400件を割り込む。県別件数では、新潟のみ前年同月比増加。

・中部北陸:全体の件数が、中部は最近1年間で最多、北陸は2カ月ぶりに前年同月比減少。県別件数では、長野、岐阜、静岡、愛知、富山で前年同月比増加。

・近畿:全体の件数が、3カ月ぶりに300件を上回る。県別件数では、滋賀、和歌山で前年同月比増加。

・中国:全体の件数が、1年7カ月ぶりに前年同月比増加。県別件数では、鳥取、島根、岡山が前年同月比増加。

・四国:全体の件数が3カ月ぶりに前年同月比増加。県別件数では、香川、愛媛、高知で前年同月比増加。

・九州:全体の件数が、6カ月連続で前年同月比減少。県別件数では、沖縄のみ前年同月比増加。

都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 45 12,363
東北 60 32,282
青森 13 15,210
岩手 8 4,426
宮城 12 2,314
秋田 15 2,103
山形 3 202
福島 9 8,027
関東 386 118,361
茨城 9 962
栃木 8 2,795
群馬 12 5,237
埼玉 49 12,102
千葉 32 8,193
東京 207 70,624
神奈川 52 10,094
新潟 11 5,943
山梨 6 2,411
中部 196 33,813
長野 16 1,977
岐阜 24 5,940
静岡 43 6,094
愛知 103 18,959
三重 10 843
北陸 28 6,501
富山 9 2,629
石川 10 2,676
福井 9 1,196
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
近畿 308 37,242
滋賀 19 7,963
京都 36 6,086
大阪 168 14,098
兵庫 55 6,457
奈良 8 1,867
和歌山 22 771
中国 50 13,237
鳥取 7 3,820
島根 7 943
岡山 18 5,404
広島 15 1,820
山口 3 1,250
四国 34 4,584
徳島 5 783
香川 9 1,230
愛媛 12 2,122
高知 8 449
九州 76 11,861
福岡 35 4,609
佐賀 4 220
長崎 6 470
熊本 11 3,507
大分 4 653
宮崎 4 973
鹿児島 3 510
沖縄 9 919
合計 1,183 270,244


※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)


 

◎東日本大震災が影響した「震災関連」倒産が6件発生

◎産業別件数:小売業が4カ月連続で前年同月を上回る

◎原因別:運転資金の欠乏が2カ月連続で前年同月を上回る

◎形態別:特別清算が前年同月比23.0%増

◎負債額別:10億円以上が46件、3月としては2年連続で50件を下回る

◎従業員被害者数:前年同月比2.0%減の8,018人、14カ月連続で1万人を下回る

◎業種別件数:飲食料品小売が前年同月比36.0%増の34件、飲食料品卸売が同30.0%増の39件、情報関連サービス業が同25.9%増の34件

◎中小企業(中小企業基本法に基づく)倒産件数:前年同月比10.3%減の1,175件

当月の主な倒産


(株)コーラク/東京都/ホテル経営/負債135億円/特別清算

(株)中三/青森県/百貨店経営/負債122億5,000万円/民事再生法

(株)ハギワラシスコム/愛知県/メモリーカード、フラッシュメモリー等製造販売/負債100億円/民事再生法

東永産業(株)/東京都/化学品販売/負債98億9,200万円/破産

エフ・アイ(株)/福島県/トラック販売/負債70億円/破産


禁・転載・複写

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ