全国企業倒産状況

2011年(平成23年)2月度 全国企業倒産状況

倒産件数 987件
負債総額 4,101億8,800万円
前月比(件数) -5.1%(前月 1,041件)
前月比(負債) +73.5%(前月 2,363億9,700万円)
前年同月比(件数) -9.4%(前年同月 1,090件)
前年同月比(負債) -6.5%(前年同月 4,388億3,300万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同月比9.4%減の987件 5年5カ月ぶりに1,000件を下回る


 2011(平成23)年2月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は987件、負債総額が4,101億8,800万円となった。

 

 倒産件数は、前年同月比9.4%減で19カ月連続で前年同月を下回った。連続減少期間としては、1971年6月から1973年4月までの23カ月連続に次ぐ過去4番目の長さ

 また月次ベースで1,000件を下回ったのは、2005年9月(987件)以来5年5カ月ぶりのこと。依然として「中小企業金融円滑化法」や「景気対応緊急保証制度」などの金融支援効果による倒産抑制が続いている。

 

 負債総額は、同6.5%減で4カ月連続で前年同月を下回った。負債100億円以上の大型倒産は、食品原料、医薬・試薬品等製造の(株)林原(岡山・負債1,322億7,100万円)と関連会社2件が発生し、この3件だけで2月負債総額の56.7%と約6割を占めた。全体としては、負債1億円未満の構成比が66.9%、従業員5人未満が66.5%を占めるなど、小・零細規模の企業倒産を中心に推移した。

企業倒産月次推移


産業別


産業別倒産件数 10産業のうち6産業で前年同月を下回る

 減少率は、金融・保険業70.0%減(10→3件)を筆頭にして、情報通信業35.0%減(60→39件)、不動産業31.2%減(32→22件)、サービス業他22.0%減(254→198件)、製造業14.2%減(169→145件)、建設業5.1%減(273→259件)の順。

 これに対して増加は、運輸業20.6%増(29→35件)、農・林・漁・鉱業12.5%増(8→9件)、卸売業9.0%増(133→145件)、小売業8.1%増(122→132件)の4産業だった。


産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 9 8,460
建設業 259 29,382
製造業 145 223,857
卸売業 145 74,427
小売業 132 24,867
金融・保険業 3 2,360
不動産業 22 10,668
運輸業 35 4,288
情報通信業 39 6,139
サービス業他 198 25,740
合計 987 410,188


※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数推移


地区別

地区別倒産件数 9地区のうち6地区で前年同月を下回る

 減少率は、東北35.5%減(45→29件)、四国20.0%減(25→20件)、中国15.0%減(40→34件)、関東12.4%減(426→373件)、近畿10.3%減(300→269件)、九州3.0%減(65→63件)の順。

 これに対して増加は、北陸21.0%増(19→23件)と北海道17.1%増(35→41件)の2地区。このほか中部が前年同月同数の135件だった。

・北海道:件数が2カ月連続で前年同月を上回る

・東北:全体の件数が、2カ月連続で前年同月比減少。県別件数では、宮城のみ前年同月比増加。

・関東:全体の件数が2月としては5年ぶりに400件を下回る。県別件数では、千葉、新潟で前年同月比増加。

・中部北陸:全体の件数が、中部は前年同月同数。北陸は5カ月ぶりに前年同月比増加。県別件数では、長野、岐阜、静岡で前年同月比増加。

・近畿:全体の件数が、2月としては4年ぶりに300件を下回る。県別件数では、兵庫、和歌山で前年同月比増加。

・中国:全体の件数が、18カ月連続で前年同月比減少。県別件数では、広島のみ前年同月比増加。

・四国:全体の件数が2カ月連続で前年同月比減少。県別件数では、徳島のみ前年同月比増加。

・九州:全体の件数が、2月としては1973年(47件)以来の低水準。県別件数では、長崎、熊本、大分、鹿児島で前年同月比増加。

都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 41 6,964
東北 29 7,651
青森 4 162
岩手 3 281
宮城 16 5,809
秋田 2 231
山形 0 0
福島 4 1,168
関東 373 60,290
茨城 11 1,527
栃木 7 873
群馬 10 2,115
埼玉 32 3,104
千葉 28 6,223
東京 231 37,240
神奈川 39 5,346
新潟 10 3,630
山梨 5 232
中部 135 24,611
長野 14 3,069
岐阜 20 6,721
静岡 24 2,231
愛知 65 9,843
三重 12 2,747
北陸 23 3,616
富山 5 1,557
石川 7 1,098
福井 11 961
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
近畿 269 52,649
滋賀 13 693
京都 33 4,927
大阪 150 26,387
兵庫 55 19,993
奈良 7 233
和歌山 11 416
中国 34 242,753
鳥取 4 800
島根 2 110
岡山 10 235,590
広島 14 5,713
山口 4 540
四国 20 4,715
徳島 5 723
香川 5 1,151
愛媛 5 2,195
高知 5 646
九州 63 6,939
福岡 20 2,195
佐賀 2 72
長崎 8 880
熊本 12 1,132
大分 7 1,045
宮崎 3 497
鹿児島 6 288
沖縄 5 830
合計 987 410,188


※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)


 

◎原因別:「不況型」倒産の構成比が83.2%、13カ月連続80%を上回る

◎産業別件数:小売業が3カ月連続、卸売業が2カ月連続で前年同月を上回る

◎従業員数別:5人未満の構成比が前年同月比1.7ポイント上昇の66.5%

◎形態別:民事再生法が前年同月比26.4%増の43件

◎業種別件数:食品業が前年同月比25.8%増の78件、道路貨物運送業が同20.8%増の29件

◎中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)件数:前年同月比9.0%減の985件

当月の主な倒産


(株)林原 /岡山県/食品原料、医薬・試薬品等製造/負債1,322億7,100万円/会社更生法

ジャストワン(株)/兵庫県/100円ショップ経営ほか/負債95億円/破産

西﨑紙販売(株)/広島県/和洋紙販売/負債38億円/破産

(株)セレーノ/宮城県/マンション分譲/負債32億7,000万円/破産

(株)ちゃんと/東京都/居酒屋・レストラン経営/負債30億9,400万円/民事再生法


禁・転載・複写

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ