全国企業倒産状況

2010年(平成22年)12月度 全国企業倒産状況

倒産件数 1,102件
負債総額 2,464億8,000万円
前月比(件数) +3.8%(前月 1,061件)
前月比(負債) -9.9%(前月 2,738億3,000万円)
前年同月比(件数) -2.9%(前年同月 1,136件)
前年同月比(負債) -16.6%(前年同月 2,955億7,700万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同月比2.9%減の1,102件 17カ月連続で前年同月を下回る


 

 2010(平成22)年12月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,102件、負債総額が2,464億8,000万円となった。

 倒産件数は、前年同月比2.9%減で17カ月連続で前年同月を下回った。この結果、連続減少期間としては過去4番目の長さとなった。依然として「景気対応緊急保証制度」や「中小企業金融円滑化法」などの金融支援策の効果が続いている。しかし、前年同月比では4カ月連続1ケタの減少率で、減少幅が縮小している


 負債総額は、同16.6%減で2カ月連続で前年同月を下回り、2010年としては2番目に少ない金額だった。負債1000億円以上の大型倒産が2カ月連続ゼロだったほか、また負債1億円未満の構成比が66.0%、従業員5人未満が65.1%を占めるなど、小・零細規模の企業倒産が中心を占めた。

企業倒産月次推移



産業別


産業別倒産件数 10産業のうち7産業で前年同月を下回る

 減少率は、不動産業32.6%減(49→33件)を筆頭に、農・林・漁・鉱業14.2%減(7→6件)、情報通信業13.3%減(45→39件)、卸売業12.5%減(152→133件)、運輸業6.6%減(45→42件)、製造業4.6%減(195→186件)、建設業2.2%減(307→300件)の順。

 これに対して増加率は、金融・保険業150.0%増(2→5件)、小売業9.1%増(120→131件)、サービス業他6.0%増(214→227件)の3産業だった。


 

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 6 3,917
建設業 300 44,477
製造業 186 38,382
卸売業 133 32,571
小売業 131 19,612
金融・保険業 5 225
不動産業 33 47,666
運輸業 42 6,006
情報通信業 39 11,892
サービス業他 227 41,732
合計 1,102 246,480


 

 ※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

 主要産業倒産件数推移


地区別

 

地区別倒産件数 9地区のうち5地区で前年同月を下回る

 減少率は、中国29.4%減(51→36件)、九州25.0%減(100→75件)、北陸22.5%減(31→24件)、北海道4.7%減(42→40件)、中部4.4%減(136→130件)の順。

 これに対して増加率は、東北14.8%増(54→62件)、四国12.5%増(24→27件)、近畿2.9%増(302→311件)、関東0.2%増(396→397件)の4地区だった。


北海道:2010年としては2番目に多い件数

東北:全体の件数が、2カ月連続して前年同月を上回り2010年としては2番目に多い件数。県別件数では、青森、岩手、宮城、秋田で前年同月比増加。

関東:2010年としては最少件数。県別件数では、群馬、千葉、東京、神奈川で前年同月比増加。

中部北陸:全体の件数が、中部は7カ月連続で前年同月比減少。北陸は3カ月連続で前年同月比減少。県別件数では、静岡、三重、石川で前年同月比増加。

近畿:全体の件数が、3カ月連続で前年同月比増加。県別件数では、京都、大阪、奈良、和歌山で前年同月比増加。

中国:全体の件数が、16カ月連続の前年同月比減少。県別件数では、鳥取のみ前年同月比増加。

四国:全体の件数が、3カ月ぶりに前年同月を上回った。県別件数では、徳島、愛媛、高知で前年同月比増加。

九州:全体の件数が、12月としては5年ぶりに100件を下回る。県別件数では、大分のみ前年同月比増加。


 

都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 40 10,121
東北 62 21,773
青森 9 1,114
岩手 9 9,789
宮城 20 3,089
秋田 9 954
山形 9 1,307
福島 6 5,520
関東 397 106,550
茨城 14 8,020
栃木 11 2,817
群馬 13 3,502
埼玉 42 6,520
千葉 34 6,701
東京 198 64,253
神奈川 72 11,099
新潟 10 3,393
山梨 3 245
中部 130 26,665
長野 17 4,869
岐阜 12 1,707
静岡 30 10,290
愛知 61 8,031
三重 10 1,768
北陸 24 9,561
富山 7 581
石川 12 7,730
福井 5 1,250
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
近畿 311 45,772
滋賀 10 556
京都 43 2,942
大阪 172 30,779
兵庫 52 7,970
奈良 21 3,320
和歌山 13 205
中国 36 7,180
鳥取 6 1,677
島根 1 310
岡山 9 1,018
広島 12 2,565
山口 8 1,610
四国 27 5,176
徳島 3 233
香川 11 1,319
愛媛 9 3,260
高知 4 364
九州 75 13,682
福岡 40 4,523
佐賀 3 350
長崎 9 631
熊本 6 2,633
大分 7 398
宮崎 3 244
鹿児島 5 4,453
沖縄 2 450
合計 1,102 246,480


※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)


 

 

◎原因別:販売不振を中心とした「不況型」倒産の構成比が高率の83.4%

◎「円高」関連倒産が12件発生、2010年の累計は前年比3.4倍増の75件

◎大型倒産:負債1000億円以上が2カ月連続ゼロ

◎従業員数別:5人未満の構成比が前年同月比1.7ポイント上昇の65.1%

◎産業別件数:小売業が3カ月ぶりに前年同月を上回る

◎上場企業倒産:1件発生、2010年は累計10件(前年20件)

◎業種別件数:スーパーが前年同月比200.0%増(3→9件)、広告関連業同7.6%増(13→14件)、食品業5.9%増(67→71件)で増加した。

◎中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同月比2.8%減の1,096件。

当月の主な倒産


(株)シーエーエム/東京都/不動産開発・同流動化事業/140億円/民事再生法

グローバルアイズ(株)/東京都/情報システム開発、投資顧問ほか/64億1,900万円/破産

キクエイ都市開発(株)/東京都/不動産業/63億円/破産

(財)古河市住宅公社/茨城県/不動産賃貸、分譲/49億3,700万円/破産

(株)ニポロス/東京都/水産物輸出入/47億5,500万円/破産


禁・転載・複写

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【破綻の構図】マツオインターナショナル~膨らんだ債務と抜本再生への移行~

婦人服ブランド「ヴィヴィアン タム」「慈雨(じう)」「t.b2」などを展開し、ピーク時には国内外で約400店を構えていたマツオインターナショナル(株)(TSRコード:292635265、以下マツオ)が12月11日、大阪地裁に会社更生法の適用を申請した。

2

  • TSRデータインサイト

交響楽団の収益悪化、来場者戻らずコスト上昇 ~ 綱渡りの自助経営、草の根のムーブメントへの期待 ~

交響楽団が存立の危機に立たされている。多くの交響楽団で収入が落ち込んでおり、赤字が目立つ。会場費や団員などの人件費、楽器の輸送コストなどが上昇のうえ、寄附金や補助金による収入は頭打ちで綱渡りの運営だ。東京商工リサーチは、3期連続で業績が比較できる20団体を調査した。

3

  • TSRデータインサイト

地場スーパー倒産 前年同期の1.5倍に大幅増 地域密着型も値上げやコスト上昇に勝てず

2025年1-11月の「地場スーパー」の倒産が22件(前年同期比46.6%増)と、前年同期の約1.5倍で、すでに前年の年間件数(18件)を超えた。

4

  • TSRデータインサイト

長渕剛さん側、イベント会社の破産申立に続き代表を刑事告訴 ~長渕さん「徹底追求」、イベント会社代表「横領でない」と反論~

歌手の長渕剛さんが代表を務める個人事務所の(株)オフィスレン(渋谷区)が、イベント運営を委託していたダイヤモンドグループ(株)(東京都中央区)の代表を業務上横領罪で刑事告訴したことがわかった。東京商工リサーチの取材で長渕さん側が明らかにした。

5

  • TSRデータインサイト

「ペット・ペット用品小売業」倒産が過去2番目の14件 実質賃金の低迷と物価高がペットの世界にも影響

2025年11月の「ペット・ペット用品小売」の倒産は、1件(前年同月ゼロ)にとどまったが、1-11月累計は14件(前年同期比27.2%増)に達した。

TOPへ