全国企業倒産状況

2010年(平成22年)3月度 全国企業倒産状況

倒産件数 1,314件
負債総額 310,947百万円
前月比(件数) +20.5%(前月 1,090件)
前月比(負債) -29.1%(前月 438,833百万円)
前年同月比(件数) -14.5%(前年同月 1,537件)
前年同月比(負債) -71.1%(前年同月 1,078,241百万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同月比14.5%減の1,314件、「不況型」倒産構成比が過去最高


 2010(平成22)年3月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は1,314件、負債総額が3,109億4,700万円となった。

 

 倒産件数は、前年同月比14.5%減で8カ月連続で前年同月比減少となった。また都道府県別では、33都道府県で前年同月を下回り、全国的な減少傾向が続いている。

 これは、既に保証承諾件数が100万件を突破した「景気対応緊急保証制度」や年度融資実績が過去最高を更新した政府系金融機関の低利融資「セーフティネット貸付」などの中小企業向けの金融支援効果に加え、「中小企業等金融円滑化法」の施行も倒産抑制に影響したとみられる。

 

 負債総額は、前年同月比71.1%減となり2カ月連続で前年同月を下回った。大幅減の要因としては、負債10億円以上の大型倒産が同61.2%減の48件(前年同月124件)となり、最近1年間では2番目に少なかったことが挙げられる。


産業別


倒産件数、10産業のうち8産業で前年同月比減少

 

 減少率は、金融・保険業64.2%減(14→5件)、不動産業42.3%減(59→34件)、製造業25.4%減(283→211件)、小売業23.8%減(176→134件)、卸売業23.2%減(241→185件)、情報通信業14.2%減(63→54件)、運輸業11.4%減(61→54件)、建設業4.4%減(357→341件)の順。このうち建設業が9カ月連続、卸売業が8カ月連続、製造業が7カ月連続で前年同月を下回った。

 

 これに対して増加は、農・林・漁・鉱業16.6%増(6→7件)とサービス業他4.3%増(277→289件)の2産業となった。


産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 7 3,781
建設業 341 51,067
製造業 211 43,063
卸売業 185 110,188
小売業 134 11,300
金融・保険業 5 19,606
不動産業 34 28,521
運輸業 54 7,641
情報通信業 54 4,377
サービス業他 289 31,403
合計 1,314 310,947


※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。


地区別

倒産件数、9地区のうち8地区で前年同月比減少

 減少率は、四国51.2%減(41→20件)、北海道44.6%減(65→36件)、北陸22.5%減(40→31件)、中部22.3%減(188→146件)、中国20.6%減(58→46件)、関東13.6%減(600→518件)、近畿6.9%減(390→363件)、九州5.6%減(88→83件)の順。増加は東北の5.9%増(67→71件)のみ。

 また都道府県別倒産件数では、前年同月を下回ったのが33都道府県、増加が11県、同数が3県となった。この結果、前年同月比では9カ月連続で減少が増加を上回った。

 

北海道:件数が9カ月連続前年同月比減少。

 

東北:全体の件数が4カ月ぶりに前年同月比増加。県別件数では、岩手、宮城で前年同月比増加。

 

関東:全体の件数が、7カ月連続前年同月比減少。県別件数では、栃木、埼玉で前年同月比増加。

 

中部北陸:全体の件数が、中部は3カ月連続前年同月比減少。北陸は前年同月比22.5%減、県別件数では、三重のみ前年同月比増加。

 

近畿:全体の件数が、7カ月連続前年同月比減少。県別件数では、和歌山のみ前年同月比増加。

 

中国:全体の件数が、7カ月連続前年同月比減少。県別件数では、島根のみ前年同月比増加。

 

四国:全体の件数が、4カ月連続前年同月比減少。県別件数では、全県で3カ月連続前年同月比減少。

 

九州:全体の件数が、14カ月連続前年同月比減少。県別件数では、佐賀、熊本、大分、鹿児島で前年同月比増加。

 

都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 36 7,333
東北 71 13,848
青森 4 920
岩手 11 2,288
宮城 23 4,014
秋田 8 770
山形 8 554
福島 17 5,302
関東 518 126,722
茨城 23 3,847
栃木 18 5,197
群馬 21 2,996
埼玉 53 18,400
千葉 32 4,767
東京 284 73,525
神奈川 72 12,549
新潟 9 4,749
山梨 6 692
中部 146 24,195
長野 14 4,241
岐阜 12 3,006
静岡 29 4,228
愛知 74 10,283
三重 17 2,437
北陸 31 8,886
富山 7 3,266
石川 15 4,623
福井 9 997
都道府県 件数(件) 負債額(百万円)
近畿 363 104,089
滋賀 17 10,738
京都 40 2,712
大阪 208 76,064
兵庫 73 13,059
奈良 12 841
和歌山 13 675
中国 46 6,917
鳥取 1 100
島根 6 446
岡山 12 1,528
広島 17 3,991
山口 10 852
四国 20 3,203
徳島 5 1,568
香川 7 839
愛媛 5 665
高知 3 131
九州 83 15,754
福岡 36 6,642
佐賀 5 893
長崎 6 310
熊本 14 1,005
大分 6 440
宮崎 5 5,269
鹿児島 9 870
沖縄 2 325
合計 1,314 310,947


※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)


 

◎原因別:販売不振を中心とした「不況型」倒産の構成比が過去最高の85.0%

◎産業別件数:飲食業、広告業、建築設計を含むサービス他が最近1年間で最多

◎形態別件数:法的倒産の構成比が過去2番目に高い78.3%

◎従業員被害状況:最近1年間で最少の8,186人

◎主な業種別件数:建設業倒産341件、5カ月ぶりに340件台に増加

◎中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同月比14.4%減の1,310件

当月の主な倒産


U.F.O.(株)/大阪府/婦人・子供服輸入販売/36,800百万円/民事再生法

GFS(株)/大阪府/婦人服卸/15,900百万円/破産

コイトエンタープライズ(株)/東京都/資金運用、損害保険代理店業/14,600百万円/特別清算

栄光開発(株)/埼玉県/不動産売買/12,280百万円/破産

(株)エイペックス/東京都/半導体製造装置販売/7,423百万円/民事再生法


禁・転載・複写

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ