全国企業倒産状況

2006年(平成18年)11月度 全国企業倒産状況

倒産件数 1,091件
負債総額 441,638百万円
前月比(件数) −6.4%(前月1,166件)
前月比(負債) −28.3%(前月 616,766百万円)   
前年同月比(件数) −2.0%(前年同月1,114件)
前年同月比(負債) −45.3%(前年同月808,265百万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同月比2.0%減の1,091件、2カ月連続前年同月を下回る

 2006年(平成18年)11月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は1,091件、負債総額は4,416億3,800万円となった。※当社の倒産集計は、法的倒産のほかに銀行取引停止処分等の私的倒産を含む。

 

 倒産件数は、前年同月比2.0%減となり、2カ月連続で前年同月を下回った。また11月としては、最近10年間で2番目に少ない件数だった。

 

 負債総額は、前年同月比45.3%減となり、3カ月連続で前年同月を下回った。この大幅減は、負債1百億円以上の大型倒産が同37.5%減の5件(前年同月8件)だったこと、特に前年同月は(株)エー・シー・リアルエステート(負債3,526億円)の大型倒産発生で負債が押し上がったのに対して、当月は負債1千億円以上の大型倒産がなかったことが影響した。

 

 年間(1月〜12月)ベースでは、今年11月までの累計が前年同期比2.4%増の1万2,136件となり、件数自体は低水準ながら5年ぶりに前年(1万2,998件)を上回る見込みである。これに対して負債総額は、小規模企業の倒産増加から、今年11月までの累計が同21.0%減の4兆9,950億6,100万円にとどまり、1994年以来12年ぶりの6兆円割れとなる可能性が高い

産業別

倒産件数、10産業のうち5産業で前年同月比減少

 減少率は、金融・保険業57.1%減(14→6件)、建設業17.5%減(336→277件)、製造業9.8%減(182→164件)、運輸業6.6%減(30→28件)、不動産業5.4%減(37→35件)の順。

 これに対して増加は、情報通信業30.7%増(26→34件)、小売業26.5%増(128→162件)、卸売業15.2%増(131→151件)、サービス業他1.7%増(224→228件)の4産業。このほか農・林・漁・鉱業が前年同月同数(6→6件)だった。

 

産業別分類
件数(件)
負債額(百万円)
農林漁鉱業
6
1,296
建設業
277
47,549
製造業
164
46,811
卸売業
151
32,860
小売業
162
17,556
金融保険業
6
21,020
不動産業
35
78,189
運輸業
28
4,133
情報通信業
34
7,849
サービス他
228
184,375
合計
1,091
441,638

※業種分類のコード改訂(日本標準産業分類に基づく)に伴い、弊社データベースは2004年1月度より新業種分類に移行。このため、産業別分類は従来の9産業から10産業に変更している。各数値は新業種コードに基づく。

地区別

 地区別倒産件数では、9地区のうち7地区で前年同月を下回った。また都道府県別では、前年同月比減少が22道府県、増加が21都県、同数が4県となった。

 

北海道:件数・負債総額ともに前年同月比減少、夕張市の第三セクターの破産が目を引いた

東北:件数は今年2番目に少ない水準、県別件数では青森、山形、福島が前年同月比増加

関東:件数は千葉が10カ月連続前年同月比増加、東京が2カ月連続で200件台、神奈川は6カ月連続前年同月比減少

中部北陸:長野・静岡・三重は件数が前年同月比増加、北陸3県は揃って件数が減少、愛知は16件減少

近畿:負債総額が今年最大、県別件数では和歌山が今年初の2ケタ、大阪は5カ月連続200件を下回る

中国:件数・負債総額ともに前年同月比減少、県別件数では山口、鳥取が前年同月比増加

四国:件数が11月としては最近10年間で最少、県別件数では前年同月比増加は高知のみ

九州:件数は2カ月ぶりの100件台、県別件数では福岡、佐賀、長崎、大分で前年同月比増加

地区/都道府県
件数(件)
負債額
(百万円)
地区/都道府県
件数(件)
負債額
(百万円)
北海道
39
16,310
近畿
298
194,499
東北
50
10,913
滋賀
7
384
青森
9
764
京都
41
109,667
岩手
1
35
大阪
166
15,244
宮城
13
2,693
兵庫
54
58,293
秋田
6
880
奈良
18
8,944
山形
9
2,651
和歌山
12
1,967
福島
12
3,890
中国
41
7,742
関東
389
134,810
鳥取
7
655
茨城
6
1,695
島根
4
841
栃木
10
2,155
岡山
10
937
群馬
12
3,348
広島
13
2,609
埼玉
29
2,972
山口
7
2,700
千葉
36
6,992
四国
21
5,925
東京
222
100,444
徳島
3
1,430
神奈川
51
7,788
香川
3
680
新潟
12
4,836
愛媛
8
1,053
山梨
11
4,580
高知
7
2,762
中部
129
34,455
九州
101
28,054
長野
23
3,221
福岡
45
11,253
岐阜
18
8,730
佐賀
5
1,604
静岡
24
8,903
長崎
11
4,973
愛知
51
6,612
熊本
8
2,590
三重
13
6,989
大分
10
1,389
北陸
23
8,930
宮崎
9
2,225
富山
7
4,596
鹿児島
10
3,715
石川
7
3,560
沖縄
3
305
福井
9
774
合計
1,091
441,638

※地区の範囲は以下に定義している。

関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)

中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)

北陸(富山、石川、福井)

近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)

 

 

◎形態別:破産が584件、月次倒産構成比が53.5%を占める

◎負債額別:負債1億円未満が708件、月次倒産構成比が64.8%を占める

◎第三セクターの倒産が1件発生し、今年は11月末時点で累計10件

◎中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同月比2.5%減の1,085件、月次倒産に占める構成比は99.4%となった

当月の主な倒産

高山物産(株)/京都府/パチンコ店経営、総合レジャー施設運営/71,848百万円/会社更生法

日新開発(株)/兵庫県/不動産売買/47,120百万円/特別清算

(学)京都科学技術学園/京都府/専門学校経営/35,190百万円/民事再生法

(株)新橋管財/東京都/ゴルフ場経営/21,435百万円/特別清算

(株)エル・プロパティ/東京都/不動産賃貸/20,000百万円/特別清算

禁・転載・複写

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