全国企業倒産状況

2020年度上半期(4-9月)の全国企業倒産3,858件

2020年度上半期(4-9月)の倒産

倒産件数3,858件 新型コロナ拡大でも件数が2年ぶり減少、過去30年間で最少

 2020年度上半期(4-9月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が3,858件(前年同期比9.3%減)、負債総額は5,991億1,900万円(同0.7%増)だった。
件数は、年度上半期の3,000件台は1990年同期(3,070件)以来、30年ぶり。1991年同期以降の30年間では最少を記録した。5月に新型コロナ感染拡大で裁判所の一部業務が縮小したほか、政府、自治体の緊急避難的な資金繰り支援が奏功、倒産は低水準で推移した。
負債総額は、年度上半期では3年ぶりに前年同期を上回ったが、過去30年間では2番目の低水準となった。負債10億円以上が105件(前年同期87件)と、3年ぶりに100件台に増加し、負債額を押し上げた。ただ、同100億円以上は前年同期と同数の4件にとどまり、同1億円未満が2,946件(構成比76.3%)と8割近くを占め、小・零細企業を中心に推移した。
「新型コロナウイルス」関連倒産は、年度上半期で483件発生した。

企業倒産上半期推移


  • 「人手不足」関連倒産が年度上半期215件(前年同期205件)発生、このうち「後継者難」が173件(前年同期124件)
  • 上場企業倒産が2件(前年同期ゼロ)発生
  • 形態別件数:法的倒産の構成比が年度上半期としては最高の96.1%
  • 都道府県別件数:前年同期より増加が16府県、減少は28都道府県、同数が3県
  • 負債額別件数:負債10億円以上が105件、年度上半期では3年ぶりに100件台
  • 業種別件数:宿泊業、飲食業などで倒産増加が際立つ
  • 従業員数別件数:5人未満の構成比が30年間で最高の75.1%
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)が年度上半期では3年ぶりに100%に達せず

産業別 最多はサービス業他、10産業のうち6産業で前年同期を下回る

 2020年度上半期の産業別は、10産業のうち、6産業で前年同期を下回った。
最多は、インバウンド需要の消失、外出自粛など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた飲食業(411→436件)や宿泊業(28→71件)を含むサービス業他が1,306件(前年同期比0.3%増、構成比33.8%)で、5年連続で前年同期を上回った。
このほか、農・林・漁・鉱業59件(前年同期比40.4%増)と不動産業135件(同13.4%増)で2年連続、金融・保険業20件(同42.8%増)で4年ぶりに、それぞれ前年同期を上回った。
一方、“巣ごもり需要”効果のあった飲食料品小売業(173→115件)など小売業が544件(前年同期比15.9%減)で、3年ぶりに減少。建設業565件(同22.7%減)で12年連続、卸売業519件(同10.3%減)で8年連続、情報通信業146件(同12.0%減)、製造業448件(同13.3%減)と運輸業116件(同17.1%減)が2年ぶりに、それぞれ減少した。

2020年度上半期の産業別倒産

産業別倒産上半期推移

地区別 9地区のうち7地区で前年同期を下回る

 2020年度上半期の地区別件数は、9地区のうち、7地区で前年同期を下回った。
北海道が90件(前年同期比18.9%減)で、8年連続で減少。東北170件(同23.4%減)と北陸101件(同12.9%減)、四国82件(同9.8%減)、九州304件(同14.3%減)が3年ぶり、関東1,345件(同15.7%減)と近畿1,049件(同1.4%減)が2年ぶりに、それぞれ前年同期を下回った。
一方、中国が186件(同5.6%増)で3年連続で増加。また、中部が531件(同1.1%増)で2年ぶりに前年同期を上回った。
中国は、広島84件(前年同期比21.7%増)、岡山39件(同11.4%増)と大幅に増加。産業別では、飲食業や宿泊業を含むサービス業他(52→72件)などで前年同期を上回った。
中部は、長野48件(前年同期比54.8%増)と大幅に増加。産業別では、飲食業(52→71件)、宿泊業(9→18件)などサービス業他(176→210件)で前年同期を上回った。

2020年度上半期の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

当期の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. (株)ホワイト・ベアーファミリー/大阪府/旅行業/278億円/民事再生法
  2. WBFホテル&リゾーツ(株)/大阪府/ホテル・リゾート運営受託ほか/160億円/民事再生法
  3. (株)レナウン/東京都/アパレル製品販売/138億7,900万円/民事再生法
  4. (株)ANGELO/兵庫県/不動産賃貸/125億3,700万円/取引停止処分
  5. (株)エターナルアミューズメント/東京都/ゲーム機器販売、アミューズメント施設運営/84億円/破産

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