全国企業倒産状況

2017年度上半期(4-9月)の全国企業倒産4,220件

2017年度上半期(4-9月)の倒産

倒産件数は4,220件、年度上半期としては9年ぶりに前年同期を上回る

 2017年度(平成29年度)上半期(4-9月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が4,220件、負債総額が2兆1,173億7,800万円だった。
倒産件数は、前年同期比0.09%増(4件増)。年度上半期としては過去20年間で2016年度(4,216件)に次ぐ低い水準ながら、2008年度以来9年ぶりに前年同期を上回った。
さらに、年度上半期の原因別では「販売不振」が8年ぶりの増加、負債額別では「負債10億円以上の大型倒産」が9年ぶりに増加に転じるなど状況に変化がみられ、倒産減少の「底打ち」を窺わせた。
負債総額は、前年同期比219.6%増(1兆4,549億8,600万円増)で、2年ぶりに前年同期を上回った。年度上半期としては2010年(2兆7,673億9,500万円)以来の2兆円超え。
これは、製造業としては戦後最大の倒産になった、上場企業で自動車部品製造のタカタ(株)(6月、負債1兆5,024億円)の民事再生法の適用申請が影響した。この1件だけで年度上半期負債の7割(構成比70.9%)を占めた。

企業倒産上半期推移


  • 上場企業倒産:製造業では戦後最大の倒産となったタカタ(株)と(株)郷鉄工所の2件発生(前年同期ゼロ)
  • 形態別:法的倒産の構成比91.6%、年度上半期としては過去最高
  • 原因別:「販売不振」が年度上半期では8年ぶりの増加
  • 資本金別件数:1億円以上が年度上半期では9年ぶりの増加
  • 負債額別件数:10億円以上の大型倒産が、年度上半期では9年ぶりの増加
  • 従業員数別件数:5人未満の構成比が73.9%、年度上半期では過去20年間で最高
  • 従業員被害者数:年度上半期では9年ぶりの増加
  • 「人手不足」関連倒産が年度上半期では142件発生、このうち「求人難」型が16件(前年同期7件)と倍増
  • 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)が年度上半期としては9年ぶりに前年同期を上回る

産業別 「サービス業他」が年度上半期としては2年連続の増加

 2017年度上半期の産業別倒産件数は、10産業のうち6産業で前年同期を下回った。
こうしたなか、飲食業などを含むサービス業他が1,225件(前年同期比10.1%増)で、年度上半期としては2年連続で前年同期を上回った。内訳をみると、酒場,ビヤホール(43→62件)、広告業(24→36件)、持ち帰り飲食サービス業(4→11件)などで増加が目立った。また、ソフトウェア業を中心とした情報通信業が175件(前年同期比10.7%増)で、年度上半期としては2009年度上半期以来8年ぶりに増加に転じた。
これに対し、建設業は795件(同1.3%減)で、年度上半期としては2009年度以来、9年連続で前年同期を下回った。製造業は541件(同7.3%減)で8年連続の減少、卸売業623件(同4.8%減)と小売業547件(同6.0%減)はともに5年連続の減少、不動産業は137件(同2.1%減)で3年連続で減少した。

2017年度上半期の産業別倒産

産業別倒産上半期推移

地区別 関東と近畿が年度上半期では8年ぶりの増加

 2017年度上半期の地区別では、全国9地区のうち7地区で前年同期を下回った。こうしたなか、関東1,669件(前年同期比3.1%増)と近畿1,124件(同7.6%増)が、年度上半期では2009年度以来8年ぶりに増加に転じた。東京と大阪の2大都市圏で増加が目立った。産業別では、関東が飲食業などサービス業他(421→462件)や情報通信業(108→125件)で増加し、近畿はサービス業他(298→374件)と不動産業(27→38件)で件数を押し上げた。
この一方で、北海道133件(前年同期比2.9%減)と中部563件(同0.1%減)が、ともに5年連続で前年同期より減少した。四国72件(同4.0%減)は3年連続、九州は262件(同16.8%減)で、2年連続で前年同期を下回った。
また、東北164件(同4.0%減)と中国146件(同20.2%減)および北陸87件(同20.1%減)がそれぞれ2年ぶりに減少に転じた。

2017年度上半期の都道府県別倒産

地区の範囲は以下に定義している。

  • 東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
  • 関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
  • 中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
  • 北陸(富山、石川、福井)
  • 近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
  • 四国(香川、徳島、愛媛、高知)
  • 九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

2016年6月佐賀県の負債総額1,774百万円を1,612百万円に訂正。

当期の主な倒産

[負債額上位5社]

  1. タカタ(株)/東京都/自動車部品製造/1兆5,024億円/民事再生法
  2. (株)YOZAN/東京都/通信事業ほか/143億100万円/破産
  3. ATT(株)/東京都/保護フィルム等販売/89億9,800万円/破産
  4. (医)社団誠広会/岐阜県/総合病院・介護福祉施設経営ほか/87億円/民事再生法
  5. (株)吉年/大阪府/可鍛鋳鉄製造/58億5,400万円/民事再生法

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