全国企業倒産状況

2012年(平成24年)上半期(1-6月) 全国企業倒産状況

倒産件数 6,311件
負債総額 2兆76億6,700万円
前年比(件数) -3.2%(前年同期 6,523件)
前年比(負債) +20.5%(前年同期 1兆6,654億2,300万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同期比3.2%減の6,311件 上半期としては3年連続減少

 2012年(平成24年)上半期(1月-6月)の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は6,311件、負債総額が2兆76億6,700万円となった。
倒産件数は、前年同期比3.2%減で、上半期としては2005年(6,401件)に次いで戦後33番目。
減少要因としては、「中小企業金融円滑化法」や「セーフティネット保証(5号)」ほか、「東日本大震災復興緊急保証」、「東日本大震災復興特別貸付」などの各種資金繰り支援に加えて、被災地を中心に本格化してきた震災関連の復興事業の波及も挙げられる。
負債総額は、前年同期比20.5%増となり、上半期としては、3年ぶりに前年同期を上回った。これは過去最大の製造業倒産となったエルピーダメモリ(株)(負債4,480億円)の大型倒産が影響した。ただし全体では、負債10億円以上の大型倒産が同15.4%減の203件(前年同期240件)で、上半期としては過去20年間で最少にとどまったのに対し、負債1億円未満の倒産が同1.0%増の4,433件(構成比70.2%)と7割を占めるなど、小規模企業を中心に推移した。

企業倒産 上半期推移


産業別

産業別倒産件数 10産業のうち4産業で前年同期を上回る

 前年同期比増加率は、農・林・漁・鉱業14.2.%増(49→56件)、卸売業11.0%増(849→943件)、情報通信業7.3%増(257→276件)、運輸業5.6%増(212→224件)の順。

これに対し減少は、製造業11.1%減(996→885件)、不動産業9.8%減(223→201件) 、建設業9.4%減(1,696→1,536件)、小売業2.0%減(779→763件)、サービス業他2.4%減(1,433→1,398件)の5産業。このほか金融・保険業が前年同期同数の29件だった。

上半期としては、卸売業と運輸業が3年ぶりに前年同期を上回ったのに対し、建設業が1993年(1,515件)以来19年ぶりに1,600件を下り、製造業も2年連続で1,000件を割り込んだ。また産業別構成比では、建設業の24.3%を筆頭にして、サービス業他22.1%、卸売業14.9%、製造業14.0%、小売業12.0%と続く。

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 56 16,724
建設業 1,536 196,304
製造業 885 816,459
卸売業 943 162,549
小売業 763 79,902
金融・保険業 29 77,093
不動産業 201 162,130
運輸業 224 41,456
情報通信業 276 36,651
サービス業他 1,398 418,399
合計 6,311 2,007,667

※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数 上半期推移


地区別

地区別倒産件数 9地区のうち5地区で前年同期を上回る

 増加率は、四国6.2%増(127→135件)、関東4.7%増(2,363→2,476件)、九州4.6%増(426→446件)、北海道4.4%増(248→259件)、中国1.6%増(243→247件)の順。
これに対し減少したのは、東北32.9%減(258→173件)、北陸10.8%減(185→165件)、近畿9.7%減(1,759→1,587件)、中部9.9%減(914→823件)の4地区だった。

  • 北海道:件数が前年同期比4.4%増、上半期としては2年連続で前年同期を上回る。
  • 東北:件数が前年同期比32.9%減、上半期としては4年連続の減少で、上半期としては過去20年間で最少。県別件数では、山形のみ前年同期を上回る。
  • 関東:件数が前年同期比4.7%増、上半期としては3年ぶりの増加。県別件数では、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟で前年同期を上回る。
  • 中部北陸:中部の件数は前年同期比9.9%減で。北陸は件数が同10.8%減でともに上半期としては2年ぶりに減少。県別件数では、三重、石川で前年同期を上回る。
  • 近畿:件数が前年同期比9.7%減、上半期としては3年連続で前年同期を下回る。県別件数では、奈良のみ前年同期を上回る。
  • 中国:件数が前年同期比1.6%増、上半期としては3年ぶりに前年同月を上回る。県別件数では、鳥取、広島、山口で前年同期を上回る。
  • 四国:件数が前年同期比6.2%増、上半期としては3年ぶりに前年同期を上回る。県別件数では、徳島、愛媛、高知で前年同期を上回る。
  • 九州:件数が前年同期比4.6%増、上半期としては2年連続で前年同月を上回る。県別件数では、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎で前年同期を上回る。
地区別分類 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 259 50,518
東北 173 65,289
青森 33 8,208
岩手 24 5,006
宮城 29 7,022
秋田 27 21,296
山形 32 7,693
福島 28 16,064
関東 2,476 1,266,383
茨城 65 13,504
栃木 70 27,376
群馬 76 21,593
埼玉 283 38,605
千葉 187 32,729
東京 1,350 1,054,686
神奈川 343 45,646
新潟 75 22,291
山梨 27 9,953
中部 823 165,881
長野 79 17,430
岐阜 85 15,332
静岡 160 36,066
愛知 437 54,874
三重 62 42,179
北陸 165 32,622
富山 45 9,210
石川 75 11,188
福井 45 12,224
近畿 1,587 258,387
滋賀 53 3,926
京都 167 16,160
大阪 929 107,128
兵庫 302 115,130
奈良 81 9,004
和歌山 55 7,039
中国 247 43,878
鳥取 34 8,528
島根 20 3,231
岡山 50 7,928
広島 100 13,420
山口 43 10,771
四国 135 28,015
徳島 31 7,915
香川 35 10,112
愛媛 42 6,896
高知 27 3,092
九州 446 96,694
福岡 190 52,550
佐賀 27 6,023
長崎 39 6,097
熊本 48 5,750
大分 40 5,307
宮崎 35 10,072
鹿児島 32 5,083
沖縄 35 5,812
合計 6,311 2,007,667
  • ※地区の範囲は以下に定義している。
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 倒産件数の減少要因には、「中小企業金融円滑化法」などの政策効果が挙げられる。
  • 金融円滑化法に基づく貸付条件変更後の倒産:前年同期より2.1倍の106件
  • 震災関連倒産が上半期累計で272件、円高関連倒産が41件(前年同期23件)
  • 原因別:赤字累積などの「既往のシワ寄せ」が上半期としては3年ぶりに前年を上回る
  • 従業員数別:従業員数5人未満の構成比が70.1%、上半期としては過去20年間で最高
  • 従業員被害者数:前年同期比7.2%減の3万8,788人、上半期としては21年ぶりの4万人割れ
  • 上場企業倒産が過去最大の製造業倒産となったエルピーダメモリ(株)など3件(前年同期2件)
  • 中小企業の倒産(中小企業基本法に基づく):前年同期比3.3%減の6,281件

当期の主な倒産

  • エルピーダメモリ(株)/東京/DRAM製品開発、製造/4,480億3,300万円/会社更生法
  • (株)太平洋クラブ/東京/ゴルフ場経営/1,100億円/民事再生法
  • NISグループ(株)/東京/総合金融サービス事業/512億4,200万円/民事再生法
  • 神戸市住宅供給公社/兵庫/分譲・賃貸管理・受託事業/503億500万円/民事再生法
  • (株)新藤/東京/オフセット印刷/270億200万円/会社更生法

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