全国企業倒産状況

2009年(平成21年)上半期(1-6月) 全国企業倒産状況

倒産件数 8,169件
負債総額 4,685,336百万円
前年比(件数) +8.2% (前年同期7,544件)
前年比(負債) +47.3%(前年同期3,179,677百万円)

(負債総額1,000万円以上の倒産を集計、%は小数点2位以下切捨)

倒産件数が前年同期比8.2%増の8,169件、上半期としては6年ぶりの8,000件超え

 2009(平成21)年上半期(1月~6月)の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は8,169件、負債総額が4兆6,853億3,600万円となった。

 倒産件数は、前年同期比625件増(8.2%増)。水準としては上半期戦後14番目ながら、4年連続前年同期比増加となり、上半期としては2003年(8,786件)以来6年ぶりに8,000件を上回った。こうしたなか月次ベースでは、5月が1年ぶりに前年同月比減少に転じて、「緊急保証制度」などの各種金融支援効果が窺える状況もみられた。
 産業別では、製造業倒産が前年同期比3割増(30.5%増)と増勢が目立ち、不動産業も6年ぶりに300件を上回った。

 負債総額は、前年同期比1兆5,056億5,900万円増(47.3%増)で、上半期としては5年ぶりに4兆円を上回り、戦後8番目の規模となった。負債100億円以上の大型倒産が同66.6%増の70件(前年同期42件)と増加が目立ち負債が膨らんだ。

企業倒産 上半期推移


産業別

倒産件数、10産業のうち6産業で前年同期比増加

 増加率は、製造業30.5%増(1,114→1,454件)、不動産業25.3%増(276→346件) 、情報通信業10.1%増(257→283件)、卸売業9.5%増(1,105→1,211件)、運輸業8.8%増(282→307件)、サービス業他9.5%増(1,391→1,524件)の順。
これに対して減少は、農・林・漁・鉱業23.8%減(42→32件)、小売業4.9%減(903→858件)、建設業0.9%減(2,120→2,100件)の3産業だった。このほか金融・保険業が前年同期同数の54件となった。

産業別分類 件数(件) 負債額(百万円)
農・林・漁・鉱業 32 13,172
建設業 2,100 563,113
製造業 1,454 815,838
卸売業 1,211 460,453
小売業 858 192,447
金融・保険業 54 650,925
不動産業 346 1,386,341
運輸業 307 65,728
情報通信業 283 62,249
サービス業他 1,524 475,070
合計 8,169 4,685,336

※業種分類のコード(日本標準産業分類に基づく)改訂に伴い、弊社データベースは2009年1月度より新業種分類に移行した。各数値は新業種コードに基づく。

主要産業倒産件数 上半期推移


地区別

倒産件数、9地区のうち5地区で前年同期比増加

 増加率は、四国21.7%増(184→224件)、関東18.2%増(2,563→3,030件)、北陸12.8%増(195→220件)、近畿12.3%増(1,944→2,185件)、中部10.6%増(782→865件)の順。
これに対して減少は、九州15.8%減(707→595件)、東北13.2%減(454→394件)、中国9.7%減(360→325件) 、北海道6.7%減(355→331件)の4地区だった。

また都道府県別倒産件数では、前年同期を上回ったのが25都府県、減少が21道県、同数が1県となった。

  • 北海道:件数が前年同期比6.7%減、これに対して負債は同58.6%増。
  • 東北:件数が前年同期比13.2%減、負債は同15.9%減。県別件数では、岩手を除き前年同期比減少。
  • 関東:件数が上半期としては6年ぶりに3,000件を上回る。県別件数では、茨城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川で前年同期比増加。このうち東京が6年ぶりに1,500件、神奈川は6年ぶりに400件を上回る。
  • 中部北陸:中部の件数は前年同期比10.6%増、北陸は件数が同12.8%増。県別件数では、三重を除き前年同期比増加
  • 近畿:件数が前年同期比12.3%増。県別件数では、和歌山を除き前年同期比増加。このうち大阪が6年ぶりに1,200件を上回る。
  • 中国:件数が前年同期比9.7%減、これに対して負債が同42.8%増。県別件数では、鳥取を除き前年同期比減少。
  • 四国:件数が前年同期比21.7%増、負債が同39.8%増。県別件数では、全県で前年同期比増加。
  • 九州:件数が前年同期比15.8%減、負債が同11.6%減。県別件数では、宮崎と沖縄が前年同期比増加。
地区別分類 件数(件) 負債額(百万円)
北海道 331 180,735
東北 394 131,425
青森 52 30,201
岩手 53 32,755
宮城 78 20,536
秋田 62 8,620
山形 62 15,770
福島 87 23,543
関東 3,030 2,753,228
茨城 132 56,967
栃木 82 64,995
群馬 126 49,714
埼玉 330 88,408
千葉 215 64,464
東京 1,617 2,174,050
神奈川 408 222,707
新潟 76 20,077
山梨 44 11,846
中部 865 427,229
長野 123 41,512
岐阜 118 43,792
静岡 173 136,748
愛知 377 185,162
三重 74 20,015
北陸 220 77,418
富山 72 13,326
石川 89 38,664
福井 59 25,428
近畿 2,185 632,460
滋賀 106 22,244
京都 267 51,023
大阪 1,239 422,279
兵庫 396 110,816
奈良 91 13,947
和歌山 86 12,151
中国 325 169,500
鳥取 38 7,501
島根 26 3,754
岡山 77 48,569
広島 128 94,070
山口 56 15,606
四国 224 83,394
徳島 30 9,132
香川 77 24,426
愛媛 78 44,291
高知 39 5,545
九州 595 229,947
福岡 248 117,602
佐賀 27 12,631
長崎 60 26,590
熊本 66 19,205
大分 51 9,480
宮崎 50 9,767
鹿児島 47 18,376
沖縄 46 16,296
合計 8,169 4,685,336
  • ※地区の範囲は以下に定義している。
    関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
    中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
    北陸(富山、石川、福井)
    近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
  • 形態別:破産が上半期過去最多の5,122件
  • 原因別:販売不振が5,483件、上半期としては6年ぶりに5,000件を上回る
  • 上場企業倒産が前年同期比12件増の18件発生
  • 従業員被害者数が8万6,694人、上半期としては6年ぶりの8万人超え
  • 資本金1億円以上が219件、上半期として6年ぶりに200件を上回る
  • 負債10億円以上が538件、上半期としては6年ぶりに500件を上回る
  • 中小企業倒産(中小企業基本法に基づく)は、前年同期比8.3%増の8,122件

当期の主な倒産

  • (株)SFCG/東京都/事業者向け貸金業/338,040百万円/民事再生法
  • 日本綜合地所(株)/東京都/マンション分譲/197,549百万円/会社更生法
  • パシフィックホールディングス(株)/東京都/不動産投資ファンド/163,646百万円/会社更生法
  • (株)ジョイント・コーポレーション/東京都/不動産分譲、流動化事業/147,600百万円/会社更生法
  • パシフィックリアルティ(株)/東京都/不動産保有・賃貸・不動産開発・売買/99,429百万円/会社更生法

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