(株)JSファンダリ(TSRコード:138924732、法人番号:9010003034655、港区新橋2-16-1 、設立2021(令和3)年4月、資本金1億円)は7月14日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。
破産管財人には高尾和一郎弁護士(永沢総合法律事務所、中央区日本橋3-3-4)が選任された。
負債総額は161億7900万円。
複数のファンドの出資によって設立され、新潟県小千谷市の工場でパワー半導体ウエハーの製造を手掛けていた。2022年12月には、オン・セミコンダクター新潟(株)(TSRコード:203222105、法人番号:5110001025955、品川区)のパワー半導体製造事業の承継を目的として、同社から新設分割にて(株)JSファンダリ新潟(TSRコード:696604230、法人番号:8110001037147、新潟県小千谷市)を設立。2023年4月にはJSファンダリ新潟を合併し、対外的な事業を開始した。
しかし、採算面には課題があり、2023年12月期は売上高約31億4000万円に対して約13億7200万円の最終赤字を計上した。2024年10月からは、SiCウエハー事業における業務提携を開始。海外企業と資本提携交渉を進めたものの、破談となったため、今回の措置となった。
(株)片岡製作所(TSRコード:641029799、法人番号:5130001010253、京都市南区久世築山町140、設立1968(昭和43)年11月、資本金4億8570万円)は7月25日、京都地裁へ民事再生法の適用を申請した。
申請代理人は野﨑隆史弁護士(京都総合法律事務所、京都市中京区河原町二条南西角)。
負債総額は116億7341万円。
1968年8月創業。レーザー技術を中核に様々な産業分野における製造設備の開発・設計・製造を手掛けていた。レーザー技術を応用した超精密穴あけ装置、青色レーザー溶接装置、レーザー精密切断装置、ペロブスカイト太陽電池レーザーパターニング装置などのレーザー加工機と二次電池検査システム(充放電・エージング・電圧検査などの工程自動化)の主力2部門で事業を展開。イタリア・中国・台湾・アメリカ・ベトナムに現地法人を開設するほか、韓国にも代理店を設けていた。
総合商社系列の専門商社や大手メーカーなどを中心に販路を築き、2018年1月期には売上高110億3165万円を計上。しかし、エンドユーザーの設備投資動向にも大きく左右され、「新型コロナウイルス」感染拡大の影響で2021年1月期は売上高が55億2283万円に低下した。
2025年1月期の売上高はエンドユーザーの投資回復で82億3604万円にまで回復したが、2025年4月海外企業からの入金が遅れ、一気に資金繰りが緊迫。一部の取引先に対し4月末の手形決済の延期を要請したが、工面できず資金ショートが発生していた。5月28日にはバンクミーティングを開催し支援を要請したが、各方面との協議が難航し、今回の措置となった。
(株)サクライ(TSRコード:290060095、法人番号:5010401011697、江東区有明3-5-7、登記上:港区西新橋2-16-2、設立1950(昭和25)年11月、資本金8300万円)は7月30日、東京地裁に破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。
破産管財人には田川淳一弁護士(功記総合法律事務所、中央区日本橋人形町3-6-7)が選任された。
負債総額は債権者558名に対して73億900万円。
1915年に創業し、製菓材料の卸売を手掛けていた。製菓に係る乳製品や油脂製品、フルーツ加工品を扱い、岩手県や千葉県、愛知県、宮城県には営業所を設置し、大手製菓メーカーや小売店向けに販路を構築。近年は問屋経由を縮小して直販の比率を高めることで、事業拡大を図っていた。2024年4月期は値上げの実施もあり、売上高約68億8900万円を計上した。
しかし、以前より低収益が続いていたほか、無担保だった所有不動産に、2025年2月に金融機関より25億円の根抵当権が設定された。この間、当社の決算に関する疑念が生じたことなどから、信用が低下。一部金融機関の融資姿勢も厳しくなるなかで資金繰りが限界に達した。
(株)凪スクエア(TSRコード:740085360、法人番号:7240001007427、広島市中区中町7-16、設立1965(昭和40)年6月、資本金1000万円)は7月2日、広島地裁より特別清算開始決定を受けた。
負債総額は56億8600万円。
不動産の売買を目的に、東亜地所(株)として設立。大規模宅地開発(ニュータウン事業)を事業の柱とし、1989年3月期は売上高185億1134万円を計上していた。その後、数年間は100億円超えの年間売上高を維持していたが、バブル崩壊とともに徐々に売上が減少し、近年は10億円台~40億円台で推移していた。
以降も業績回復が進まないなか、2024年9月、主力事業を分割により新設した企業へ移管。当社は、現商号に変更し2025年3月31日、株主総会の決議により解散していた。
(株)秀和システム(TSRコード:292007680、法人番号:1010401013986、江東区東陽2-4-2、設立1974(昭和49)年12月、資本金9500万円)は7月4日、東京地裁から破産開始決定を受けた。
破産管財人は永野剛志弁護士(東京丸の内法律事務所、千代田区丸の内3-3-1)。
負債総額は50億700万円。
実用書や資格、ビジネス関連の書籍を中心とした出版社。特にIT関連の書籍や入門書などに定評があり、相応の実績と知名度を有し、ピークとなる2002年7月期は売上高27億2134万円をあげていた。しかし、その後は出版不況などの影響を免れず、年間売上高は20億円を割り込む水準となっていた。
こうしたなか、2015年12月には代表者が当社を買収。その後はM&Aを積極的に展開し、当社を中心とした企業グループを形成していた。また、グループを通じて2021年5月には船井電機(株)(TSRコード:570182948、法人番号:2122001015871、大東市)に対し株式公開買付を実施して傘下に収め、船井電機は2021年8月26日付で東証1部上場を廃止した。この間、船井電機は船井電機・ホールディングス(株)(現:FUNAI GROUP)に商号を変更のうえ、持株会社へ移行。会社分割で船井電機(株)(TSRコード:697425274、法人番号:3122001036719、大東市)を2023年2月に設立していた。
しかし、2023年4月に船井電機グループが買収した「ミュゼプラチナム」運営会社は広告会社とトラブルが発覚したほか、液晶テレビ事業の不振も続いていた。
船井電機グループとのシナジー効果があげられないなか2024年9月、当社代表者が船井電機の代表取締役を辞任。10月24日には、船井電機が東京地裁より破産開始決定を受けた。グループの中心的存在である秀和システムの動向にも注目が集まっていたが2025年1月、当社が債権者としてFUNAI GROUPに対して東京地裁へ民事再生法の適用を申し立てた。だが、2月に取り下げるなど不安定な経営が続き、信用が大きく低下していた。
これに前後して、出版した本の返品で資金繰りが逼迫。私的整理も模索していたが、今回の措置となった。
(株)日本ネットワークヴィジョン(TSRコード:295734051、法人番号:3011001069624、渋谷区代々木3-28-6、登記上:渋谷区渋谷3-1-9、設立2003(平成15)年7月、資本金1000万円)は7月2日、東京地裁より特別清算開始決定を受けた。
負債総額は40億円。
有線放送やインターネットなど各種サービスの勧誘業務を中心に手掛け、2009年8月期は売上高20億785万円をあげた。しかし、設立当初から同業者とのトラブルが表面化し、訴訟に発展していたほか、独占禁止法違反として公正取引委員会から勧告を受ける事態となった。
2011年頃には、(株)NNコミュニケーションズ(TSRコード:298704625、法人番号:1011001069626、渋谷区)に事業の一部を譲渡し、当社は休眠状態となっていたが、2025年1月31日株主総会の決議により解散。清算手続きのなか、今回の措置となった。
関連サービス
人気記事ランキング
「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ
2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。
2
内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~
内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。
3
文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~
東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。
4
ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~
東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。
5
解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~
各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。