(株)ホープエナジー(TSR企業コード:137083300、法人番号:7290001090724、福岡市中央区薬院1-14-5、資本金1000万円、設立2020(令和2)年10月、時津孝康社長)は3月25日、東京地裁へ破産を申請し同日、破産開始決定を受けた。破産管財人には伊藤尚弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、東京都中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-8179)が選任された。
負債総額は300億円。
東証マザーズ、福証Q-Board上場の(株)ホープ(TSR企業コード:872231720、法人番号:3290001029577、同所)の連結子会社。2021年12月、ホープの持株会社体制への移行に伴い、当社がエネルギー事業(電力小売、新電力)を承継した。
しかし、エネルギー事業を巡っては、2020年12月から2021年1月に日本卸電力取引所(JEPX)での電力取引価格が高騰し調達コストが跳ね上がり、ホープは多額の不足インバランス(電力の調達ができなかった場合、電力会社に支払うペナルティ)が発生した。分割弁済で2021年12月に支払いを完了したが、その間の2021年10月以降、JEPXでの調達価格が想定以上に高値推移したことで逆ざや状態が続いていた。
持株会社体制へ移行後も、グループの資金繰りひっ迫が露呈するなか2022年3月14日、ホープエナジーが一部の電力小売契約者宛てに「電力供給停止にお知らせ」を通知。一般送配電事業者の中部電力パワーグリッド(株)(TSR企業コード:130943827、法人番号:1180001135974、名古屋市東区)から託送供給契約にかかる解除通知を受け、電力供給を停止せざるを得ない状況となり、電力小売契約者に対して他社への契約切り替えを要請した。
さらに、3月中旬に支払うべき不足インバランス料金等の託送供給契約に係る料金が未払いとなり3月22日、取引のあるすべての一般送配電事業者との託送供給契約が解除され、事業が困難となったため今回の措置となった。
イセ食品(株)(TSR企業コード:311024971、法人番号:8030001061642千代田区有楽町2-10-1、設立1971(昭和46)年6月、資本金2000万円、田中保成社長)と、関連のイセ(株)(TSR企業コード:590002805、法人番号:7230001011207、高岡市福岡町福岡新181、設立1962(昭和37)年8月、資本金4200万円、同社長)は3月25日、東京地裁より会社更生開始決定を受けた。管財人には髙井章光弁護士(髙井総合法律事務所、港区西新橋1-15-5、管財人室:電話03-6758-6936)が選任された。
負債は、イセ食品が278億4700万円、イセが171億円で、2社合計449億4700万円。
イセ食品は、国内大手の鶏卵販売業者として、鶏卵・液卵の卸売事業を手掛けていた。生産子会社・関係会社を複数抱え、採卵鶏を約1300万羽飼育し、種鶏や親鶏の育成から、採卵、パッキング、配送に至るまでの全工程をグループで一貫して行っていた。
栄養強化卵への取り組みに注力し、1990年に現在のブランドたまごの定番となっている「森のたまご」を開発してロングセラーブランドに成長させたほか、2019年に日本初の機能性表示食品卵の「機能性表示食品伊勢の卵」を発売。大手スーパーや飲食チェーンなどを中心に販路を構築していた。総数500社超の取引先を抱え、国内の鶏卵流通のリーディングカンパニーの1社として知られ、ピークの2018年1月期は売上高約470億6000万円をあげていた。
しかし、従来から金融債務の負担が重かったうえ、飼料価格の高騰や「新型コロナウイルス」感染拡大に伴う外食産業の不振などで業績が悪化。2020年1月期は売上高約468億円に対して約14億円の赤字を計上し、資金繰りも悪化していた。
このため、取引金融機関との間でバンクミーティングを実施し、私的整理を目指していたが調整が難航。こうしたなか、金融機関などから会社更生法を申し立てられた。
イセは、飼料の仕入販売を手掛けていたが、イセ食品に連鎖した。
(株)丸の内管財(TSR企業コード:400370360、法人番号:7180001026400、名古屋市中村区名駅1-1-4、設立1970(昭和45)年1月、資本金1500万円、西尾豊行社長)は3月1日、名古屋地裁に特別清算を申請した。
負債総額は81億円。
自動販売機の設置と、付帯する紙コップ飲料や缶飲料などの販売を手掛けていた。相応の営業基盤を構築し、ピーク時には160億円台の年間売上高を計上。その後も110億円~120億円台の年間売上高で推移し、2018年2月期までは毎期黒字を計上していた。
しかし、自動販売機などへの投資は欠かせず、借入金は慢性的に高水準で推移。その返済負担もあり、実態上の資金繰りに余裕はなく、2020年には金融機関に対して返済のリスケジュールを要請していた。同年12月には病院へのテレビレンタル事業を他社に譲渡することで、投資負担および借入の軽減を図っていたものの、コロナ禍での外出自粛や企業活動の停滞を受け、ベンディング事業の売上が大きく後退。2021年2月期には固定資産の大規模な減損処理もあり、約58億2800万円の赤字を計上して、一気に債務超過に陥った。
先行き財務改善の見通しが立たないなかで、事業の再建を図るため2021年9月、会社分割により新設したトーヨーベンディング(株)(TSR企業コード:380739240、法人番号:9180001146923、名古屋市中村区、登記上:同市西区)に事業を譲渡。当社はトーヨーベンディングから現商号に変更し、今回の措置となった。
アンドモワ(株)(TSR企業コード:575413077、法人番号:9120001123886、港区芝2-12-15、設立2006(平成18)年4月、資本金1億円、飛髙和也社長)は3月31日、東京地裁に破産を申請した。申請代理人は平林尚人弁護士(あかつき総合法律事務所、港区赤坂3-2-12、電話03-5574-7791)。
負債総額は債権者約5800名に対して80億円。
完全個室の居酒屋経営を中心に、一時は全国で約320店舗を展開していた。個室居酒屋「柚柚~yuyu」や「酒と和みと肉と野菜」「うまかばい」のほか、バーやちゃんこ、ファミリーレストランなど多様な業態を手掛けて多角化を進めた。2015年10月に投資ファンドが当社株式を取得し、2016年8月に飲食店経営の子会社9社を吸収し現体制となった。積極的な新規出店やM&Aにより業績を拡大させ、2019年8月期は売上高約180億円をあげていた。
しかし、不採算店舗の撤退による損失などで赤字計上が続いていたうえ、2020年初旬以降は新型コロナウイルスの感染拡大による営業自粛を余儀なくされ大半の店舗を休業した。その後も度重なる「緊急事態宣言」の発令などで事業環境の悪化が続くなか、入店していたビルオーナーなどから複数の賃料請求訴訟を受けたほか、SNS上で賃金未払い問題が話題となり、資金難が表面化していた。
2021年10月に緊急事態宣言などは解除されたものの、営業再開のめどが立たず事業継続を断念し、破産手続きを弁護士に一任した。
(株)ApeX(TSR企業コード:132075768、法人番号:8010001203411、荒川区西日暮里2-53-2、登記上:大阪府大阪市旭区清水4-1-5、設立2019(令和1)年8月、資本金5000万円、飛髙和也社長)は3月23日、大阪地裁より破産開始決定を受けた。破産管財人には神原浩弁護士(きっかわ法律事務所、同市北区中之島3-2-4、電話06-6201-2970)が選任された。
負債総額は55億円だが、大半がアンドモワ(株)(TSR企業コード:575413077、法人番号:9120001123886、東京都港区)に対する保証債務。
飲食店の経営会社。「Cheese&Meat GLEAM」「CUCINA BAR ぷらっと」の2ブランドで展開し、中四国地区を中心に一時は6店舗を出店していた。
しかし、「新型コロナウイルス」の感染拡大に伴い、営業制限や来客数の減少などで事業環境が悪化。さらに多額の借入債務の保証をしていたアンドモワが破産手続きを弁護士に一任したため、先行きの見通しが立たず2021年12月に事業を停止。登記上住所を大阪市内に移転すると同時に、アンドモワの代表者が当社の代表に就任し、今回の措置となった。
(株)長島ファーム(TSR企業コード:940075989、法人番号:4340001011801、出水郡長島町城川内2901-1、設立1978(昭和53)年7月、資本金9000万円、兒玉拓史社長)は3月2日、鹿児島地裁に民事再生法の適用を申請し同日、監督命令を受けた。監督委員には寺田昭博弁護士(寺田法律事務所、鹿児島市新町5-18、電話099-227-2300)が選任された。
負債総額は32億8600万円。
子豚の生産から肥育・出荷まで一貫体制で手掛け、飼料メーカーや農協などの系統に属さない独立系養豚業者としては、全国有数の業容を築いていた。出水郡長島町に複数の農場・豚舎、飼料配合施設を構えるほか、鉄工所も保有し、豚舎修繕工事なども自社で手掛けていた。また、出水市で焼肉店「焼肉松島」も経営していた。
2017年に豚舎の新設、2018年には約6億円をかけて分娩舎の新設や付帯飼料調整施設の補修、2019年には約3億5000万円で母豚舎や肥育豚舎を新設するなど積極的に設備投資を行い、費用は補助金と借入金で賄っていた。2020年10月期は売上高約24億円をあげていたが、2020年11月頃から豚の病気により出荷頭数が大幅に減少したうえ、豚・枝肉相場の下落によって売上高が減少。飼料価格も高騰し、2021年10月期は大幅赤字となり、債務超過に陥った。
2022年4月以降は出荷頭数の増加を見込んでいるものの、それまでの資金繰りのめどが立たたないことから、スポンサーを選定して事業再建を図るため、今回の措置となった。
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