(株)林原(岡山市北区下石井1-2-3、設立昭和7年7月、資本金1億円、林原健社長、従業員280名)と関連会社の(株)林原生物化学研究所(同所、設立昭和45年9月、資本金5000万円、同代表、従業員255名)、(株)林原商事(同所、設立昭和37年4月、資本金1000万円、同代表、従業員100名)は、2月2日東京地裁に会社更生法の適用を申請した。
保全管理人には松嶋英機弁護士(西村あさひ法律事務所、港区赤坂1-12-32、電話03-5562-8500)が選任された。
負債総額は(株)林原が1322億円7100万円、(株)林原生物化学研究所が636億6500万円、(株)林原商事が368億6700万円。岡山県内では過去最大の大型倒産となった。
(株)林原は、麦芽水飴製造業として創業。その後、酵素を利用した機能性糖質を主力とする食品原料メーカーとして研究開発型の独自路線を歩み、全国有数のバイオ関連企業に成長。主力のトレハロースなど機能性糖質の研究から用途を拡大し、菓子・製パン・化粧品業界から医薬品、健康食品等幅広い分野に需要を広げ、高額所得法人の常連として高収益をあげていた。
また、(株)林原生物化学研究所、(株)林原商事、太陽殖産(株)を中心にコアグループを形成。微生物・酵素・生命化学・感光色素・バイオ関連などの研究開発を進め、インターフェロンや人工甘味料、バイオ製品など、海外法人を含めたマネジメントグループを通じ供給していた。さらに、林原美術館などメセナ事業にも積極的に取り組んできた。
しかし、研究開発費用が負担になる一方、本業の業績も伸び悩み、多額の借入金が経営を圧迫し借入に依存した無理な経営が続いていた。このため、関連子会社をM&Aにより相次いで売却するとともに、平成21年6月にはトレハロース専用工場を建設して本業に注力していた。
ところが創業以来、同族経営で外部チェックが入りにくかったうえ、経営内容を秘匿し融資を引き出しやすくするため長年、不正経理を続けていたことが発覚。このため資金の新規調達が難しくなり、過剰債務を抱えたままでの経営再建は不可能と判断、事業再生ADR手続で再建を目指した。こうした一方で、金融機関が本社や工場等の不動産への抵当権設定に動き、調整は困難とする見方も広がっていた。
ジャストワン(株)(尼崎市若王寺3-19-16、設立平成8年8月、資本金3億5500万円、村平忠司社長、従業員40名)は、1月24日債権者から破産を申請されていたが、2月7日神戸地裁尼崎支部から破産開始決定を受けた。
破産管財人は眞野淳弁護士(眞野法律事務所、大阪市北区西天満5-9-3アールビル本館3階、電話06-6366-0139)が選任された。負債総額は約95億円。
同社は、地元阪神間を主体に100円均一ショップ「100きんランド」、ゲームセンター「オンリーワン」の屋号にて店舗展開を進め事業を拡大した。公表していた業績推移では、平成20年6月期に年商41億1384万円を計上していたのに続き、同21年6月期は42億6900万円に伸展。収益面も堅調に黒字計上を果たした。
しかし、平成20年頃から新規事業として「ソルトスタジオ」事業(天然塩のタイルを室内全面に埋め尽くした世界初の温浴施設)を開始、同20年9月には表参道のパイロット店「ソルタジア」、同21年4月には「ソルトスタジオ」尼崎店を出店していたが、新規事業への多額の投資負担が運営面での重荷となっていた。
平成22年6月期は年商44億円を計上したと公表していたが、実態の年商は約25億円にとどまり粉飾決算を行っていたとされる。同年夏頃には取引先へ支払条件の変更を申し入れるなど資金環境は悪化していた。また、8月下旬には関係先に対して、粉飾決算を行っていたこと、総額35億円のリース契約のうち大半が二重リースであったことを明らかにした。その後、金融機関と借入返済について交渉を行うなど自主的な再建を目指していた。
しかし、その後会社側から再建計画の内容の提示、二重リースで得た資金の使途などの実態の説明がなかったことから債権者が法的手続による解明が必要と判断、1月24日に債権者から破産を申請されていた。
西﨑紙販売(株)(広島市西区商工センター6-5-16、設立昭和25年5月、資本金5000万円、西﨑富雄社長、従業員22名)は、2月14日広島地裁に破産を申請した。破産管財人は佐藤崇文弁護士(佐藤・武田法律事務所、広島市中区鉄砲町1-20第3ウエノヤビル6階、電話082-227-1246)。負債総額は約38億円。
同社は、大正3年創業の地元では大手格の紙製品卸業者。大手業者を中心に地元印刷業者まで幅広く取引先を有し、カタログに使用される用紙、PPC用紙など様々な用紙を扱い、石から生まれた次世代ペーパー「ストーンペーパー」も取り扱っていた。
平成20年7月期には過去最高となる年商約82億5000万円を計上したものの、採算性は低調に推移し財務内容は安定域に達していない中、紙の仕入価格上昇前に通常の在庫以上の仕入を行ない、借入金が大幅に増加して資金繰りは厳しくなっていた。在庫の圧縮やリストラを実施するなど改善を図っていたが、市況低迷による受注減少から厳しい状況が続き、メインの仕入先から債権譲渡登記、更には動産譲渡登記が為されるなど資金面の逼迫が表面化した。
平成22年7月期には年商約58億2000万円まで減少、営業利益段階での赤字を余儀なくされたほか、貸倒損失処理や役員退職金などの特別損失も加わって約1億9000万円の純損失を計上し財務内容は更に悪化した。この様な中で、メインの仕入先が西﨑紙販売(株)の販売先に対し「当社は、西﨑紙販売株式会社殿が貴社に対して有する下記売掛金債権を西﨑紙販売株式会社殿から譲り受けましたので、今後のお支払は後記当社銀行口座にお振込頂きますよう、ご通知申し上げます」との債権譲受通知書を郵送、信用不安が広がっていた。
(株)セレーノ(仙台市青葉区国分町2-8-14、設立平成1年11月、資本金5000万円、成澤久則社長、従業員25名)は、1月31日に仙台地裁へ破産を申請した。破産管財人には瀬口孝弁護士(瀬口法律事務所、仙台市青葉区一番町2-11-12プレジデント一番町203、電話022-267-3021))が選任された。負債総額は債権者66名に対して約32億7044万円。
同社は、平成1年11月、地元デベロッパーの子会社として一級建築士事務所を開設したのを始まりとして、当初はビル・マンションの企画設計を手がけていた。
平成9年1月に宅地建物取引業の免許を取得して分譲マンションの販売代理、同10年10月からは自社分譲マンション「セレーノ」シリーズの販売を開始して業容を拡大した。
ピーク時の平成19年9月期には一棟売りマンションの販売が進んだことから58億5259万円を計上するなど、地元資本の分譲マンション業者としては上位にランクしていた。
しかしその後は、サブプライムローン問題に伴うマンション市況の悪化から減収に転じ、平成21年9月期は27億1234万円まで落ち込み12億7661万円の赤字決算を強いられ、11億1141万円の債務超過に陥っていた。販売低迷が長引くなかで資金繰りが悪化、同22年9月末には25名の全従業員を解雇、事後処理を弁護士に一任していた。
(株)ちゃんと(港区西麻布1-15-1、設立平成5年9月、資本金3億9774万1070円、岡田賢一郎社長、従業員150名)は、2月10日東京地裁に民事再生法の適用を申請した。申請代理人は島田敏雄弁護士(LM法律事務所、千代田区九段北4-1-3、電話03-3239-3100)他2名。負債総額は30億9400万円。
同社は、無国籍創作料理「ちゃんと。」(15店舗)、韓式炉端「いふう」(8店舗、うちFC1店舗)、新和食「橙家」(7店舗)など36店舗(平成23年1月現在)の居酒屋・レストランを、東京都内を中心に経営、平成15年2月期までは積極的に出店するなどから売上高が77億7300万円を計上した。
しかしその後は、消費低迷や同業者との競合厳しく不採算店舗の閉鎖などから同22年2月期には売上高48億5200万円まで落ち込み、9億6200万円の当期損失を計上、財務は急激に悪化した。さらに韓式炉端「いふう」の五反田店(4月)、新宿東口店(6月)、いふう横浜(12月)をオープンさせたが、業況は一段と厳しさを増し今回の措置となった。
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