こうして倒産した

2007年(平成19年)11月度こうして倒産した・・・
(株)エル・アンド・ジー
  • 東京
  • ウェブショッピングサイト運営
負債総額
880億円
 

 被害対策弁護団(団長:千葉肇弁護士)より東京地裁に破産手続開始を申し立てられ、11月2日保全管理命令を受けていた(株)エル・アンド・ジー(新宿区新宿2−15−22、設立昭和62年8月、資本金2000万円、波和二代表、従業員60名)は、11月26日東京地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人には福田大助弁護士(東京都港区虎ノ門4−3−1、成和共同法律事務所、電話03−5405−4080)が選任された。負債総額は約880億円。

 同社は昭和62年8月に設立され、沖縄営業所と千葉工場、4ヶ所の配送センターを構え、個人および法人と販売代理店契約を結び、商品名「バイオゴールド」の寝具ほか、健康食品やスキンケア商品を販売。代理店総数は3万店に上っていた。また、イベント「円天市場」の開催やECサイト「円天市場」を運営し、会員には現金と引き換えに独自電子マネー「円天」を発行すると同時に高利での配当を約束するなどで、平成18年6月期には年商88億4900万円をあげていた。しかし、今年に入り会員への配当が円滑に行われなくなり、会員から資金返還要求が起きてメディアでも取り上げられるようになった。以降も配当や資金返還は正常に行われず、10月には出資法違反容疑で家宅捜索を受けるなど注目が集まっていた。被害対策弁護団では「エル・アンド・ジーは詐欺集団と判断し、今回破産の申立を行った」としている。

(株)伊香保ゴルフ倶楽部
  • 群馬
  • ゴルフ場経営
負債総額
504億円
 

  (株)伊香保ゴルフ倶楽部(前橋市三俣町1−1−4、設立昭和56年9月1日、資本金3000万円、丸山昭二社長、従業員90名)は、11月2日東京地裁へ民事再生手続開始を申し立てた。申立代理人は中込秀樹弁護士(中央区銀座6−5−13JDB銀座ビル7階、ふじ合同法律事務所、電話03−5568−1616)ほか6名。監督委員には渡邊顯弁護士(港区虎ノ門4−3−1城山トランスタワー31階、成和共同法律事務所、電話03−5405−4080)が選任されている。負債総額は約504億円。債権者は会員が約5900人、一般債権者等で約100社。

 群馬県下の倒産としては、平成14年11月の尾瀬高原リゾート(株)の負債総額288億円を上回り、集計開始以来最大の負債総額となった。

 同社は、大洋建設(株)のグループ会社として昭和56年9月に創設され、同59年9月に県内では最初の法人会員制ゴルフ場「伊香保ゴルフ倶楽部岡崎城コース」(27ホール)、更に平成4年10月に「伊香保ゴルフ倶楽部清瀧城コース」(18ホール)をオープンした。また、平成元年1月には前橋市上細井町にゴルフ練習場「ゴルフパーク120」、同5年には前橋市千代田町に賃貸ビル「ハウゼ」を開設。ピーク時の平成2年3月期では売上高68億円をあげていた。しかしながら、20余社を数えたグループの中核企業である大洋建設(株)が平成8年8月に負債総額130億円を抱え清算手続きに入り事実上倒産。大洋建設(株)の金融債務を肩代わりしたが、これが更に財務を圧迫。この為、ゴルフ練習場や賃貸ビルを売却し債務軽減化に努めていたが、バブル崩壊後の業績の低迷は否めず、肩代わりした金融債務も一部は平成16年に(株)整理回収機構(通称:RCC)へ、残りも同19年に民間のサービサーへ債権譲渡されていた。このような中で、岡崎城コースは平成11年及び17年以降、清瀧城コースは同19年10月2日以降の預託金償還期限を迎え、現状では預託金を全額返還することは困難であると判断し、今回の措置となった。今後は新スポンサーに事業譲渡する手続きを行い再生に向かう方針である。

(株)ハコセン
  • 北海道
  • 金融、クレジット業務
負債総額
144億円
 

  (株)ハコセン(函館市千歳町9−11、設立昭和27年9月、資本金1億円、辻憲一社長、従業員31名)は、11月14日札幌地裁に民事再生手続開始を申し立て、同日開始決定を受けた。申立代理人は橋本昭夫弁護士ほか4名(札幌市中央区北4条西20−1−28、電話011−631−2300)。負債総額は約144億円。

 同社は昭和27年9月に(協)函館専門店会として設立し、同31年に函館日専連と合併して以降、渡島・檜山地区の各専門店会を吸収合併、さらに平成18年2月には(株)函専クレジットと合併し、(株)ハコセンに商号を変更した。

 クレジットカード業務、消費者ローンのほか、事業融資を進め、クレジット部門については平成19年3月期で株主加盟店は74店、準組合員1531店、協力店10店、サービス加盟店584店を有していたほか、一般のカード会員52686名を抱えていた。同19年3月期では売上高11億7170万円をあげていたが、貸倒損失1億8916万円のほか、貸倒引当金3億7800万円の計上から4億5782万円の当期損失を計上。とくに同15年頃から積極的に進めてきた事業融資部門の不良債権化が経営を圧迫し、同19年3月期で実質的に約40億円の債務超過にあったことが判明し今回の事態となった。今後、事業は札幌市を中心に信販事業を行っている(株)ほくせん(札幌市中央区南2条西1−3)の支援が決まっている。なお、負債総額では北海道内で今年最大で、道南地区においては過去最大の倒産となる。

札幌ワシントンクラブ(株)
  • 北海道
  • ゴルフ場経営
負債総額
129億円
 

 札幌ワシントンクラブ(株)(夕張郡栗山町御園461、設立平成7年6月、資本金5000万円、西宮元明社長)は、第三者より破産手続開始を申し立てられ、11月7日東京地裁より手続開始決定を受けた。破産管財人は辺見紀男弁護士(東京都港区虎ノ門4−3−1、電話03−5405−4080)。負債総額は約129億円。

 平成7年7月に(株)ワシントンクラブジャパン(本社:東京都新宿区)が北海道夕張郡栗山町にアーノルド・パーマー監修のゴルフ場を建設した。この施設運営法人として同社が設立されたが、バブル崩壊による一連のグループ企業の整理に伴い、同14年12月にはゴルフ場の所有権も社が取得した。平成16年3月期には売上高2億2000万円をあげていたが、近年は近隣コースに比べ丘陵コースであるためコース自体の起伏が激しくフェアウェイも狭いなど難易度が高いこともあって、来場者数は頭打ちで売上高も伸び悩んでいた。さらに所有権の取得に伴い移管された借入金に関しても整理回収機構の管理下に置かれるなど資金面は厳しさを増していた。

(株)けいはんな
  • 京都
  • 文化学術研究交流施設設置・運営
負債総額
109億円
 

 (株)けいはんな(京都府相楽郡精華町光台1−7、設立平成1年8月2日、資本金100億円、立石義雄社長、従業員31名)は、11月30日大阪地裁へ民事再生手続開始を申し立て、同日保全命令を受けた。申立代理人は家近正直弁護士(大阪市中央区北浜2−2−21中央三井信託ビル7F、第一法律事務所、電話06−6227−1951)、監督委員は木内道祥弁護士(大阪市北区西天満3−13−18島根ビル2F、木内・谷池法律事務所、電話06−6363−0391)。負債総額は約109億円。

 同社は、関西文化学術研究都市建設促進法(昭和62年6月9日法律第72号第2条第5項)に定める関西文化学術研究都市内の文化学術研究交流施設「けいはんなプラザ」の設置・運営企業。京都府、大阪府、奈良県が出資する第三セクターで、その他大手銀行、大手企業が株主として名を連ねている。ホール・会議室の他、「京都府けいはんなベンチャーセンター」と銘打ったインキュベート・ルームの設置、情報ネットワーク・データベースを中心とした情報提供、文化学術研究交流促進、新産業創出・産学官交流の拠点として利用されていた。

 ただし、バブル経済崩壊による景気悪化もあって、テナント入居は思惑通りには進まず、当初から低調な売上高推移を余儀なくされた。その間、経費圧縮努力などにより営業損益黒字を達成した期もあったものの、抜本的な採算改善には至らず、設立から平成19年3月期まで18期連続最終赤字計上を余儀なくされていた。研究・交流施設運営という公的事業を推進しているため、関係機関からの協力支援体制を受けて事業継続が可能となっていたものの、平成19年3月期時点で累積損失は89億円弱に達し、同時点で約100億66百万円にも及ぶ金融債務は約定通りの返済が困難な状況になっていた。中期計画として平成20年度の経常利益115百万円の確保を目標とした「キャッシュ・フロー改善計画」を同17年9月に策定し、経営改善へ向けた取り組みが着々と行われていたものの、それでもなお、円滑な金融債務返済に目途が立たなくなっていた。それに加え、平成10年3月に?U期事業用地を(財)民間都市開発推進機構に売却したが、同機構は同地の都市開発事業の実施が見込まれなくなった場合、購入時から10年以内の間に売り戻すことが出来るという内容の契約を締結、その期限が同20年3月に迫るなど、さらに資金繰り悪化が懸念されていた。

戦後歴代の大型倒産

日本の戦後歴代の大型倒産を
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