オンラインオリパ運営を提訴、ギャンブル性の課金構造が問題 ~ 弁護士法人・響 西川研一弁護士インタビュー ~
トレーディングカード(トレカ)を独自に組み合わせ、オリジナルパックとしてオンライン上で販売する「オンラインオリパ」の人気が若者などの間で広がっている。
トレカ人気に加え、スマホで手軽に購入できることで急速に広がった。一方で、消費者トラブルも表面化している。オンラインオリパを巡っては9月17日、原告38名が運営5社を相手取り、約2億7,000万円の損害賠償請求を東京地裁に起こした。
原告代理人を務める西川研一弁護士(弁護士法人・響)は「オンラインオリパはカード販売だけではなく、ギャンブル性の高い繰り返し課金の構造が大きな問題だ」と指摘する。
東京商工リサーチ(TSR)は西川弁護士にオリパの問題点についてインタビューした。
西川 研一(にしかわ けんいち)弁護士
2007年 愛知県弁護士会入会、弁護士法人名古屋E&J法律事務所入所
2011年 大阪弁護士会登録換
2014年 弁護士法人・響 設立
2016年 第二東京弁護士会 登録換
2020年 第二東京弁護士会 副会長(2021年3月副会長任期満了)
2021年 株式会社ボードルア監査役
弁護士法人・響代表弁護士。情報番組やニュースにコメンテーターとして多数出演。
―弁護士法人・響の特色は
私が代表を務める響は「人権型ロー・ファーム」を経営コンセプトに掲げ、インターネット広告を活用しながら、社会的弱者の救済や憲法的価値の実現に向けた活動を精力的に行っている。
先人が切り開いてきた人権擁護の分野を、デジタルの力などを取り入れながら、より多くの人に広げ、一人でも多くの人を救いたいという思いのもと、消費者被害や交通事故、債務整理などの分野を柱とし、日々活動している。
今回のオンラインオリパ問題は、すでに多くの消費者に被害が広がっており、看過出来ない問題として今回、運営会社の5社を提訴するに至った。
―オンラインオリパの問題点は
当選したカードの価値を運営側が恣意的に決定し、重要な還元率や交換条件を支払前に表示しないなど、消費者契約法や特定商取引法に抵触する行為が横行している。
カードの評価額は独自設定として告げず、不利益事実の不告知に抵触している可能性もある。
当選したカードは購入申請しない限りはプラットフォーム上で使用できるポイントに交換する仕組みだが、これが「繰り返し課金」の温床となっており、運営側が返金を認めないケースも散見される。
実物のカード在庫を保有しているかすら疑いの余地がある。高額カードの当選確率や還元率の算定根拠を開示せず、実際よりも高く表示し、なかには還元率10,000%を謳うなど、そのギャンブル性から消費者の射幸心をあおって反復購入させている点も問題と認識している。こうしたギャンブル性によって若者をはじめ多くの利用者や未成年などにも多額の被害を生じさせている。
当法人には10月5日までに、オンラインオリパに関する相談が約1.7万件寄せられ、申告ベースの支払総額は約159億円に達し、深刻な消費者被害を起こしている。
―今回の訴訟の意義は
オンラインオリパのスキームを支えるものとして、カード会社や決済代行業者の存在もあげられる。
カード会社や決済代行業者は、加盟店の業種や取扱品などを4桁のMCC(マーチャントカテゴリーコード=加盟店分類番号)と呼ばれる番号を用いて分類している。
しかし、今回の運営5社などは実態とは異なる物販やデジタル商品などでMCCを登録し、カード会社には「通常の買い物」として承認要求が届き、決済の審査や利用限度、不正検知などが見逃されている恐れがある。今後はカード会社や決済代行業者に対する検証も視野に入れている。
また、オンラインオリパの運営事業者には運営実態が見えにくい企業も存在している。
登記上の本社に運営の形跡がなく、電話不通や書面不達の事業者も存在している。こうした背景には、一部の業者がオンラインオリパ事業自体をパッケージ販売し、参入しやすくなっていることも理由の一つとして考えられる。そのため、悪質な業者などが参入しやすいスキームとなっている点も問題だ。
手元にカードを在庫しておく必要性も低く、ポイントで商売ができるほか、価値を恣意的に決定できるため利幅を確保出来る。実店舗を置く必要もなく、体面上はカード販売や古物商などを装える点も都合が良いのかもしれず、悪質な業者が好む要素を多く有している。
すでにそうした業者がオンラインオリパに参入しているなどの話しも耳にするが、そうした勢力の温床にしないため、被害者救済以外にも意義があると考えている。
―訴訟の進展は
すでに今回提訴した運営5社のうち2社で、裁判所から仮差押の決定を得ている。今後も民事のほか、刑事告訴や行政への働きかけも平行しながら、問題解決の糸口をつかんでいきたい。

取材に応じる西川弁護士
TSRはインタビュー後、提訴されたオンラインオリパ運営5社に質問状を送り、期日までに1社から回答があった。
回答のあった会社は、「本日時点において、訴状等の正式な書類を受領していない。もっとも、報道されている内容や相手方の公表を前提としても、当社は関係法令に違反する運営を行っておらず、契約の取消事由に該当する事実も把握していない。本件については、訴訟も含め、相手方の主張について争う方針」としている。
オンラインオリパは、実効的な規制や監督の仕組みがないまま巨大市場へと膨張した。
今回、投じられた一石がどのような波紋を広げるか注目される。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2026年11月6日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)