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「中小交通インフラ」 4年連続で増収増益を維持 一方で、3期連続の赤字企業が32都府県に広がる

~2025年度「中小交通インフラ」業況調査~


 10月16日、地域公共交通の活性化と再生を目指す「改正地域交通法」が施行された。交通空白の解消に向け一歩を踏み出したが、「中小交通インフラ」は、人口減少やドライバー不足などの切実な課題を抱えている。
 全国の「鉄道」「バス」「タクシー」などのうち、「中小交通インフラ」718社の2025年度の売上高合計は8,974億4,200万円(前年度比7.0%増)、純利益合計は506億8,000万円(同8.1%増)で、4年連続で増収増益を達成した。だが、増収企業は6割超(65.8%)にとどまり、3期連続で赤字の企業が32都府県に広がることがわかった。
  
 全国の「鉄道」「バス」「タクシー」事業者のうち、「中小交通インフラ」718社は成長に限界を抱えており、売上高5億円未満が446社(同62.1%)と6割を占めた。
 身近な移動手段は地域での生活と切り離せないが、災害などで線路や道路が不通になると復旧に時間を要する。直近では2026年台風25号の影響で、千葉県の内房線で複数箇所の土砂崩れが発生、 JR東日本によると長浦-姉ケ崎間の復旧に3カ月ほど要する見込みだ。この間、利用者は「バス」「タクシー」を含む、別の交通手段を利用せざるを得なくなる。
 「中小交通インフラ」では、災害等で長期の運転見合わせや通行止めが続くと、売上減少だけでなく、路線の存続を問われる事態にも発展しかねない。
 「鉄道」「バス」「タクシー」は労働集約型の産業で人手不足に陥りやすく、設備の更新やメンテナンス等、重い固定費も収益を左右する。人口が減少し利用客の増加が見込めないなかで、相互補完の関係を再考する時を迎えている。

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース(約440万社)から、中小企業の「普通鉄道業」「一般乗合旅客自動車運送業」「一般乗用旅客自動車運送業」の 2025年度業績(2025年4月期~2026年3月期)を最新期とし、5期連続で業績が判明した718社を抽出、分析した。調査は今回が初めて。
※ 中小企業は、中小企業基本法の定義に基づく。
※ 国土交通省「鉄軌道事業者一覧」の大手民鉄、準大手の企業は除外した。


売上高・利益合計は増収増益

 全国の「鉄道」「バス」「タクシー」のうち、「中小交通インフラ」718社の業績は、4年連続で増収増益を達成した。売上高合計は8,974億4,200万円(前年度比7.0%増)、純利益合計は506億8,000万円(同8.1%増)で、全体ではコロナ禍から業績が回復している。コロナ禍で大打撃を受けた2021年度は325億円の赤字を計上したが、その後は順調に増益に転じ、2025年度は506億円の黒字を計上するまでになった。

「中小交通インフラ」の業績推移

3期連続赤字企業比率は10.3%

 全国の「中小交通インフラ」718社のうち、2025年度まで3期連続で赤字だった企業は74社(構成比10.3%)だった。
 3期連続で赤字企業比率が20.0%を超えたのは宮城県、栃木県、富山県、岐阜県、岡山県、高知県、長崎県の7県で、各地に点在する。
 また、10.0%以上20.0%未満は20都府県、5.0%以上10.0%未満は5県で、3期連続赤字企業は32都府県に広がった。 
 集計上、0社の道県もあるが、直近業況が判明しなかった企業も含めると、業況はさらに深刻になっている可能性もある。

都道府県別 2025年度中小交通インフラ3期連続赤字

全国の人口減少率は2.5%

 「令和7年国勢調査 人口等基本集計」によると、2020年から2025年の全国の人口は、東京都を除いて減少した。
 減少率が5.0%以上は15県だが、将来的には減少率が上昇する都道府県が増える可能性が高い。
 人口減少率が高い都道府県は、少子高齢化で加速度的に売上減少に向かい、より一層、収益確保に苦慮する恐れがある。
 本調査で最も窮境な状況である、3期連続で赤字企業率が20.0%以上で、人口減少率が5.0%以上の都道府県は、高知県と富山県、長崎県の3県。

都道府県別 人口増減率(2020年~2025年)

売上高5億円未満が6割超

 売上高別では、1億円以上5億円未満が285社(構成比39.6%)で最も多い。次いで、1億円未満が161社(同22.4%)、10億円以上50億円未満が139社(同19.3%)と続く。売上高5億円未満の企業が6割を占めた。
 また、売上高100億円以上の16社は、うち8社が本社地を東京都に置いている。

「中小交通インフラ」売上高別

増収企業の比率ほぼ変わらず

 売上高の増減収別では、2025年度は増収が473社(構成比65.8%)、減収が171社(同23.8%)だった。2024年度は増収が466社(同64.9%)、減収が182社(同25.3%)で、増収企業の比率は0.9ポイント増加にとどまり、ほぼ変化はなかった。

「中小交通インフラ」対前年度増減収別

赤字企業は4社に1社

 利益面は、2025年度は増益・減益ともに各321社(構成比44.7%)だった。
 2024年度は増益が331社(同46.1%)、減益が321社(同44.7%)で、増益企業が1.3ポイント減少した。
 また、赤字企業は2025年度が177社(同24.6%)で、2024年度の186社(同25.9%)と大きな変化はなく、4社に1社の割合で赤字企業が占めた。

「中小交通インフラ」対前年度増減益別

業歴別 50年以上100年未満が6割 

 業歴別では、50年以上100年未満が451社で6割(構成比62.8%)を占めた。
 次いで、10年以上50年未満が213社(同29.6%)、100年以上が44社(同6.1%)、5年以上10年未満が10社(同1.3%)で、50年以上が495社(同68.9%)と約7割を占めた。
 これは新陳代謝が進んでいない業界であることを示しており、長年にわたる地域との共存関係が見えてくる。

「中小交通インフラ」業歴別

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