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「社会保険の適用拡大」 中小・零細企業ほど負担増 企業の44.9%が「働き控え」懸念、「未対応」も半数

~ 2026年10月「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査 ~


 2026年10月から非正規従業員にも社会保険の適用が拡大された。「月収8万8,000円以上」の賃金要件が撤廃され、給与額に関わらず条件を満たす社員は、新たに厚生年金や健康保険の加入対象となる。
 対象者は、将来受け取る年金額の増加に加え、傷病手当金や出産手当金などの社会保障を利用できる範囲が広がる。だが、新たな保険料負担が発生し、短期的には手取りが減少することも想定される。
 このため、配偶者の扶養の範囲内で働く従業員を中心に、制度変更を負担増と受け止める声も根強い。
 一方で、4割以上(44.9%)の企業で、従業員が勤務時間を調整する可能性を指摘し、制度改正後も「働き控え」への懸念が残ることがわかった。

 東京商工リサーチ(TSR)は10月1日~10月8日、企業を対象に「社会保険適用の基準変更」に関するアンケート調査を実施した。
 10月1日の制度改正で、従業員への個別面談を実施した企業は31.4%(複数回答)と約3割あった。その反面、制度改正への対応を「何もしていない」と回答した企業は50.0%(複数回答)と半数を占め、企業間での対応に温度差がみられた。
 社会保険適用の拡大は、従業員の将来的な保障充実や雇用の安定化が期待されている。だが、企業が負担する社会保険料や事務手続きの増加は避けられない。特に、中小・零細企業はコスト上昇に対応しながら、人員補充と従業員の理解を両睨みで促すことが重要になっている。
※ 本調査は、2026年10月1日~10月8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答625社を集計、分析した。
※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。    



Q1.10月1日、非正規従業員への社会保険適用の基準が変更され、「月収8万8,000円以上」の要件がなくなりました。9月時点では、貴社で勤務する非正規従業員のうち、何%の方が社会保険適用の対象外でしたか?1~100の整数でご回答ください。

 ことし9月現在、社会保険の適用対象外だった非正規従業員について、10月以降に新たに社会保険適用の対象となった割合を尋ねた。回答は5%ごと(50%以上は10%ごと)で分析した。
 割合のピークは、「5%未満」で20.1%だった。次いで、「90%以上」が15.2%で続く。
 平均値は、中小企業が34.6%、大企業が28.9%で、中小企業が5.7ポイント上回った。中小企業ほど制度改正の影響を受ける非正規従業員の割合が高い傾向がみられた。新たな適用対象者が増え、企業負担となる社会保険料の増加が収益面へ影響を及ぼす可能性もある。

社会保険適用対象外の従業員構成比

Q2.9月時点で社会保険適用の対象外だった非正規従業員のうち、10月以降は社会保険適用の対象になりそうなため、勤務時間の調整などで引き続き社会保険の対象外にとどまりそうな方はいますか?(単一回答)

 Q1で「1%以上」と回答した企業583社から回答を得た。
 制度改正後も、勤務時間の調整で社会保険の適用対象外にとどまる従業員の有無を尋ねた。
 勤務時間を調整した従業員が「いる」企業はが44.9%(583社中、262社)、「いない」企業は55.0%(321社)だった。4割以上の企業で、勤務時間の調整などで就業時間を抑制する実態がみえてきた。
 また、社会保険の適用対象外にとどまる従業員が「いる」と回答した企業は中小企業が46.3%(524社中、243社)、大企業が32.2%(59社中、19社)で、中小企業が14.1ポイント上回った。中小企業は、扶養内労働を希望する非正規従業員への依存度が高いことを示している。さらに、社会保険料の企業負担分が増加することで、次年度以降の賃上げ原資にも影響が出そうだ。こうした思惑が交差し、目先の手取り減少を回避する従業員の「働き控え」が出てきそうだ。

Q2.勤務時間の調整などで引き続き社会保険の対象外にとどまりそうな方はいますか?

Q3.10月1日の社会保険適用の基準変更までに、どのような対応をしましたか?(複数回答)

 Q1で社会保険適用の対象外が「1%以上」と回答した企業588社から回答を得た。
 制度改正までに実施した対応を複数回答で尋ねた。最多は「何もしていない」の50.0% (588社中、294社)で半数に及んだ。
 一方で、何らかの対応を実施した企業は、「個別面談の実施」が31.4%(185社)で最多だった。次いで、「対象者の一部または全部と雇用契約を結びなおした」が12.2%(72社)と続く。
 社会保険の加入は、従業員だけでなく企業にも保険料負担が発生する。事前に対象者と面談し制度説明や労働条件の見直しなど、労務管理上の対応を進めた企業がある一方、具体的な対応を講じていない企業が半数に達した。社内整備や準備には、企業間や業種間で差がみられた。

社会保険適用の基準変更への対応

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