「100億円宣言企業」単独申請は3,050社 35社が100億円を突破、業歴100年超も185社
~2026年9月「100億円宣言企業」動向調査~
経済産業省(中小企業庁)などが推進する「売上高100億円宣言企業」(以下、100億円宣言企業)が広がりをみせている。
「100億円宣言企業」は、中堅企業への成長や地域経済の活性化を促す取り組みで、2025年5月にスタートし、2026年8月末で3,641社が宣言。うち企業グループでは591グループが宣言している。
「100億円宣言企業」は、中小企業成長加速化補助金や複数の支援を受けることが可能だ。
だが、企業は「売上高100億円」の明確な目標を設定する一方で、どのように実現するかは宣言企業に委ねられており、手厚い補助金や税制優遇、情報交流などの支援対価として目標達成への本気度を見守る必要もありそうだ。
東京商工リサーチ(TSR)は2026年8月31日現在の「100億円宣言企業」のうち、申請形態が単独申請で、2025年度(2025年4月-2026年3月期)の業績が判明した1,998社と、うち2025年度の業績を起点に3期連続で業績が判明した1,897社を対象に集計・分析した。
原則として売上高10億円以上100億円未満で、中小企業基本法、租税特別措置法、中小企業等経営強化法、特定事業者のいずれかに該当する中小企業が対象となる。申請は、単独申請のほか、資本関係にある企業グループでの申請も受け付けている。
産業別では「製造業」が860社(構成比43.0%)を占め、業歴別では100年以上の老舗企業も185社(同9.2%)あった。
申請時期は異なるが、2025年度ですでに売上高100億円を達成した企業は35社(同1.7%)を数える。目標達成の35社は、いずれも10年以内に売上高100億円の達成を宣言していた。
※本調査は、8月31日時点で単独申請した3,050社のうち、2025年度の業績(2025年4月-2026年3月期)が判明した1,998社と、うち2025年度を起点に3期連続で業績が判明した1,897社を集計・分析した。調査は今回が初めて。
※中小企業庁の「100億企業成長ポータル」は順次更新されているため、本特別企画の発表時点での企業数に差異が生じている可能性がある。
※銀行業態は、1.埼玉りそなを含む大手行7行、2.地方銀行は全国地銀協加盟行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行、4.信用金庫、5.信用組合、6.政府系金融機関ほか。
売上高×売上高伸長率別 売上高10億円以上50億円未満が6割超
2025年度の業績が判明した1,998社のうち、2025年度を起点に3期連続で業績が判明した1,897社を対象に、売上高と売上高伸長率(以下、伸長率)をクロス集計で分析した。
売上高別では、「10億円以上50億円未満」が1,187社(構成比62.5%)が最多だった。次いで、「50億円以上70億円未満」319社(同16.8%)、「70億円以上90億円未満」269社(同14.1%)、「90億円以上100億円未満」66社(同3.4%)と続く。
伸長率と組み合わせた最多は、2025年度の売上高が「10億円以上50億円未満」で、伸長率「0%以上5%未満」の247社(同13.0%)だった。次いで、「10億円以上50億円未満」で「10%以上25%未満」の241社(同12.7%)、「10億円以上50億円未満」で「5%以上10%未満」の208社(同10.9%)と続いた。
一方、伸長率がマイナスの企業(減収企業)は500社(同26.3%)で、伸び悩んでいる企業もあるようだ。

「100億円宣言」企業は2年連続で増収
1,897社の2025年度の売上高合計は、8兆2,131億円(前年度比6.8%増)と、2年連続で増収を達成している。
伸長率は、2024年度が前年度比6.0%増、2025年度は同6.8%増で、売上高は堅調に成長しているようだ。

売上高伸長率別(売上高100億円達成企業) 10%以上25%未満が最多
1,897社のうち、売上高100億円達成企業34社の伸長率を分析した。「25%以上50%未満」が2024年度比で10社(構成比29.4%)、2023年度比で3社(同8.8%)と大きく増加した。
一方、伸長率がマイナスの企業は2社→0社と減少した。また、「0%以上5%未満」8社→2社、「5%以上10%未満」7社→4社も減少し、売上高100億円達成企業では伸長率が大きくなり、目標を達成していることがわかる。

産業別 製造業が最多
集計対象の1,998社では、最多は「製造業」の860社(構成比43.0%)だった。
次いで、「卸売業」327社(同16.3%)、「建設業」266社(同13.3%)、「サービス業他」217社(同10.8%)と続く。
他産業と比べ多額の設備投資を伴いやすい「製造業」は、「100億円宣言」で助成制度を活用する狙いがあるとみられる。

業種別 上位4業種が100社以上
業種別に分析した。最多は「金属製品製造業」127社(構成比6.35%)だった。次いで、「食料品製造業」126社(同6.30%)、「総合工事業」123社(同6.1%)、「生産用機械器具製造業」114社(同5.7%)と続き、上位4業種が100社以上申請していた。
上位10業種のうち、産業別で上位3産業の「製造業」「卸売業」「建設業」に含まれない業種は、「道路貨物運送業」のみ。

都道府県別 最多は東京都
都道府県別に分析した。最多は「東京都」の259社(構成比12.9%)だった。
次いで、「大阪府」201社(同10.0%)、「愛知県」156社(同7.8%)、「埼玉県」102社(同5.1%)と大都市圏が続き、上位4都府
県が100社以上を申請している。
「関東」と「近畿」、「中部」の都府県が上位9割を占めるなか、「福岡県」は68社で7位に入った。

業歴別 50年以上100年未満が1,059社
業歴別に分析した。最多は「50年以上100年未満」の1,059社(構成比53.0%)で半数を超えた。
次いで、「40年以上50年未満」が199社(同9.9%)、「20年以上30年未満」が197社(同9.8%)、「100年以上」が185社(同9.2%)と続く。
全体の約1割を占める業歴「100年以上」の老舗企業も売上高100億円を目指していることがわかる。

代表者年齢別 60歳以上が3割超
代表者年齢別に分析した。判明しなかった241社を除き、最多は「50歳代」612社(構成比30.6%)だった。
次いで、「60歳代」449社(同22.4%)、「40歳代」380社(同19.0%)、「70歳代」201社(同10.0%)と続く。代表者の年齢が判明した1,757社では平均56.69歳だった。
TSRが2026年3月に発表した「2025年「社長の年齢」動向調査」では、2025年の社長の平均年齢は63.81歳で、宣言企業の社長は7.1歳若いことがわかった。

メインバンク別 地方銀行が約半数
メインバンク別で分析した。メインバンクが判明しなかった37社を除き、最多は「地方銀行」939社(構成比46.9%)だった。
次いで、「大手行」579社(同28.9%)、「信用金庫」220社(同11.0%)、「第二地銀」153社(同7.6%)の順。
地域密着型の「信用金庫」「信用組合」は240社(同12.0%)にとどまった。

「100億円宣言」後の倒産は1件
「100億円宣言」後に倒産した企業は1件だった。また、過去に民事再生手続などの倒産歴のある企業は7件だった。倒産から「売上高100億円」を宣言するまでに復活した企業の動向も注目される。
