• TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

2025年(1-9月)の「後継者難」倒産


 代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。
 要因別は、代表者などの「死亡」が158件(同15.0%減)、「体調不良」が123件(同5.1%増)で、この2要因合計は281件(同7.2%減)と、全体の8割以上(構成比84.6%)を占める。
 代表が高齢の企業が、自治体や金融機関、支援機関に早い段階で相談できる体制づくりが必要で、事業承継やM&Aなど多様な取り組みが急務になっている。
 なお、2025年度上半期(4-9月)は212件(前年同期比3.6%減)で、2年連続で減少。負債総額は237億9,100万円(同39.1%減)で、2年ぶりに減少した。

 「後継者難」倒産は、資本金1千万円未満が202件(構成比60.8%)と6割を超え、形態別は破産が311件(同93.6%)と事業清算が大半を占める。事業規模が小さい企業は、代表者に不測の事態が発生した場合、事業継続が難しいことを示している。
 政府や金融機関は事業承継や廃業支援などに取り組むが、過剰債務を抱えた企業にはハードルが高い。「事業承継」は「技術承継」でもあり、いま一度原点に戻った支援が必要だろう。

※本調査は2025年(1-9月)の「人手不足」関連倒産(負債1,000万円以上、後継者難・求人難・従業員退職・人件費高騰)のうち、「後継者難」を抽出し、分析した。

「後継者難」倒産推移「後継者難」倒産推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ