2025年10月の「ゼロゼロ融資」利用後の倒産38件 2カ月ぶり30件台、累計は2,154件
~ 2025年10月「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況 ~
2025年10月のゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)を利用した企業の倒産は、38件(前年同月比5.0%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。
コロナ借換保証の受付終了から1年が経過した。返済が本格化するなか、9月はことし最多の44件発生し、増勢の兆しもうかがえたが、10月は再び30件台にとどまった。
物価高や人件費の上昇などが企業収益を圧迫し、資金繰りに余裕を欠く企業は依然として多い。この状況で、借入返済が厳しい企業は返済猶予(リスケ)を続け、倒産の抑え込みを図っている。ただ、過剰債務を根本的に打開できないと収益改善は難しく、窮境状態の企業への支援が重要になっている。
ゼロゼロ融資を利用後の倒産は、2020年7月からの累計が2,154件に達した。
従業員10人未満が37件(構成比97.3%)を占め、すべて資本金1億円未満だった。
金融機関は、「約定通りに返済している企業は多い」と話すが、物価高や人件費上昇などでコストアップに歯止めがかからず、資金繰りが改善しない企業は返済猶予(リスケ)でしのぐケースも少なくない。
小・零細企業ほどコストアップを収益で吸収することが難しい。これから資金需要が活発になる年末年始を迎えるが、過剰債務を抱えた企業の新たな資金調達も大きな問題に浮上するだろう。
物価高による名目上の売上増をたどった場合、返済原資を確保できず資金繰りに行き詰まる企業に加え、売上上昇分に見合う資金を調達できず、黒字倒産に陥る企業も出てくる可能性がある。
※ 本調査は、2025年10月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていたことが判明した倒産(法的・私的)を集計、分析した。
