ことしの忘・新年会「実施」は57.8% コロナ禍後、初の減少 「従業員の抵抗感」などで開催なしが広がる
~2025年「忘・新年会に関するアンケート」調査~
秋風が吹き、忘年会が話題に上る季節になったが、コロナ禍を経て社員や企業の意識も変化しているようだ。ことしの忘・新年会を実施する企業は57.8%(前年59.6%)で、コロナ禍以来初めて減少した。
忘・新年会は、慰労と気持ちを切り替える恒例行事だが、コロナ禍を機に強制的な飲み会を敬遠する若者が増えている。コスト削減を進める企業側でも、「費用削減」を理由に実施しない企業が初めて20%を超えた。
忘・新年会の実施率は、コロナ禍前の78.4%からコロナ禍の2020年には5.6%まで下がった。その後、2023年には50%を超えたが、以降の実施率は伸び悩み、ことしはコロナ禍以来初めて減少に転じた。親睦や一体感を求める企業と、仕事の延長の飲み会より気の合う仲間との飲み会を優先する社員との間でギャップが生じており、忘・新年会のあり方も曲がり角を迎えているようだ。
東京商工リサーチ(TSR)は10月1日~8日、企業向けアンケート調査を実施した。忘・新年会を実施する企業は57.8%で、前年(59.6%)を1.8ポイント下回った。忘・新年会をコロナ禍前も今回も開催する企業の理由(複数回答)は、「従業員の親睦」が86.7%で最多だった。
一方、コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない企業では、その理由は「開催ニーズが高くない」が67.3%で最多だった。また、「忘・新年会に関わる費用の削減」も21.7%で、初めて20%を超えた。
※ 本調査は、2025年10月1日~8日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,225社を集計、分析した。
※ 前回調査は、2024年12月。
※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。

Q1.貴社は、2025年末の「忘年会」、または2026年初の「新年会」を開催しますか?コロナ禍前(2019年末の「忘年会」、または2020年初の「新年会」)との比較で回答ください(単一回答)
◆ことしの忘・新年会「実施」は57.8%
忘・新年会について、「コロナ禍前も実施しており、今回も実施する」は46.1%(6,225社中、2,870社)で最も多かった。また、「コロナ禍前は実施せず、今回は実施する」が11.7%(734社)で、忘・新年会を「実施する」は合計57.8%(3,604社)だった。一方、「コロナ禍前は実施せず、今回も実施しない」は25.3%(1,576社)、「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」が16.7%(1,045社)で、合計42.0%(2,621社)が実施しないと回答した。

Q2.Q1で「コロナ禍前も今回も実施する」と回答された方に伺います。実施する理由は次のどれですか?(複数回答)
◆「従業員の親睦」が約9割
コロナ禍前から変わらず実施している企業に理由を聞いた。
最多は「従業員の親睦を図るため」の86.7%(2,851社中、2,472社) 。次いで、「従業員の士気向上のため」が51.3%(1,463社)だった。「会社の定番行事のため」は38.1%(1,088社)にとどまった。
規模別では、「会社の定番行事のため」は、大企業が33.6%、中小企業が38.6%で、中小企業が5.0ポイント高かった。
「その他」は、「従業員からの要望」(製造業、資本金1億円未満)など。
Q3.Q1で「コロナ禍前は実施、今回は実施しない」と回答された方に伺います。実施しない理由は次のどれですか?(複数回答)
◆「開催ニーズが高くない」6割超
コロナ禍前の実施から一転し、今回は実施しない理由を聞いた。
最多は「開催ニーズが高くないため」が67.3%(1,006社中、678社)。次いで、「参加に抵抗感を示す従業員が増えたため」の41.3%(416社)だった。
「参加に抵抗感を示す従業員が増えた」は、前年は36.6%で、2023年の42.3%に迫り、世代間ギャップが根付いているようだ。
また、「忘・新年会に関わる費用の削減」を理由に挙げた企業が、調査を開始以来、初めて20%を超え、21.7%(219社)に達した。物価高や従業員の参加への抵抗感などで、実施する意味が薄れてきたと感じる企業が増えているようだ。