• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

スポーツ教室の倒産が高水準 ~ 値上げが限界、オンライン指導・動画配信も台頭 ~

 ゴルフ、サッカースクールなど、スポーツ教室の倒産(1-4月)が過去20年で最多の11件に達した。人件費や光熱費上昇などコストが高騰している一方、競合教室の増加やオンライン指導、動画配信などライバル出現で熾烈な競争が続き、月謝値上げも難しくなっている。
 休廃業・解散(2024年)は48件(前年26件)とほぼ倍増し、淘汰が進んでいる。



 東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースから、スイミングやテニス、ゴルフ、サッカー、ダイビングスクールなど指導者が教えるスポーツ教室(スポーツ・健康教授業)の倒産や休廃業・解散を分析した。
 スポーツ教室は大手と小・零細規模のすみ分けから、倒産はこれまで小康状態が続き、年間10件を下回る水準で推移していた。
 だが、コロナ禍が落ち着き始めた2022年と2023年は20件に達した。物価高が追い打ちをかけ、電気代や施設利用料などの高騰で利益が悪化している。月謝値上げは利用者の減少にもつながりかねず、なかなか容易でない。また、オンライン指導や動画配信などで手軽に始める利用者も増え、今年は4月までの累計が過去20年で最多の11件に達した。
 

スポーツ教室の休廃業が過去最多

 倒産急増の予兆は、事業を停止した休廃業・解散にも表れている。年間(1-12月)での最多は2024年の48件で、2023年の26件から2倍近くに増えた。競争に加え、運営コストの上昇に月謝の値上げが追いつかず、指導員の賃上げ、人手不足も解消メドが立たない状況だ。
 これ以上の値上げは、利用者の負担が重く、利用回数の減少や退会に結びつく。そのため、倒産する前に早めの撤退が急増している。

スポーツ教室の倒産 件数推移



 子どもから大人まで、健康を志向する人にも、一流選手を目指す人も利用できるスポーツ教室だが、物価高の波に揉まれている。
 スポーツ教室の倒産、休廃業・解散の増加は、将来のスーパースターの芽と夢を摘むかもしれない。だが、月謝への価格転嫁は家計への負担に直結する。利用者減少から経営が悪化している教室も目立ち始めた。
 月謝と利用者のニーズのバランスが崩れると、倒産や休廃業の増加を止められない。2025年はスポーツ教室にとってにターニングポイントとなりそうだ。


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年5月22日号掲載「取材の周辺」を再編集)

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

「鳶工事業」が苦境、倒産が過去最多ペース ~ 16年ぶり100件超、職人不足とコスト対応がネック ~

「建設現場の花形」と言われる鳶職人の世界に逆風が吹く。足場から鉄骨、支柱工事など建設現場で欠かせないが、倒産が過去最多ペースだ。有効求人倍率は7.94倍と深刻な人材難の鳶業界にあって採用難と高い技能、経験が若者の育成に足かせになっている。鳶工事業の倒産を分析した

2

  • TSRデータインサイト

翻訳業が苦境、利益は3年で7割減 ~ AIと競合で破産したケースも ~

AIが翻訳業界にドラスティックな変化を迫っている。日進月歩で精度が向上するなか、言語間の壁が低くなっている。この余波が翻訳業界に広がり、業績は3期連続で減収減益に追い込まれた。

3

  • TSRデータインサイト

米穀卸、令和のコメ騒動で25年度の業績急伸 ~ 26年度はコメ価格下落で暗転へ ~

コメ価格の急騰や品不足で市場が混乱した「令和のコメ騒動」が過ぎ去った。コメを供給してきた米穀(米麦)卸売業は4期前と比べて売上高が約2倍、利益(最終利益)は4.5倍と、業績が急拡大したことが東京商工リサーチ(TSR)の調査でわかった。

4

  • TSRデータインサイト

「お弁当屋さん」の倒産、2年連続で過去最多へ ~ コメ価格下落と消費税引き下げもコスト高 ~

「お弁当屋さん」の倒産が急増している。2026年は8月までに83件に達し、これまで最多の2025年(1-12月)の89件超えが確実だ。コメ価格下落の兆しがみえ、食品の消費税率引き下げも控える。だが、肉や野菜などの食材や包装資材、電気・ガス料金の値上がり幅は大きく、経営の重しとなっている

5

  • TSRデータインサイト

2025年度の書店の利益、前年度の4.6倍に拡大 黒字企業が7割も、「増収増益」は13.4%

「本離れ」が言われて久しいが、書店経営が回復に転じた。全国の主な書店304社の2025年度の売上高合計は、6,121億4,000万円(前年度比1.6%増)、利益合計は40億2,600万円(同365.4%増)で、売上高は微増だったが、利益は前年度の4.6倍に急回復した。

TOPへ