破産の聘珍樓に予約 約1,000組、前払い客も ~ 横浜中華街の御三家の一角、破産の影響広がる ~
横浜中華街の御三家として知られる老舗の中華料理店である(株)聘珍樓(TSRコード: 017658390、横浜市)と関連2社が5月21日、破産開始決定を受けた。前身の企業や関連企業を含めると3度目の倒産となる。
今回の破産で店舗はすべて閉鎖され、21日以降の予約客は約1,000組に影響が及んでいる。店側では「ご迷惑をおかけするが対応できない」という。
聘珍樓を巡る混乱は、しばらく続きそうだ。
聘珍樓の歴史
今回破産した聘珍樓の前身企業は1884年創業で、横浜中華街でも高い知名度を誇った。しかし、長引く経営不振で2017年に特別清算開始決定を受けた。
その後、店舗などを引き継いだ当社と、「聘珍樓横濱本店」を引き継いだ同名の(株)聘珍樓(TSRコード:028031130、横浜市)が運営を継続したが、2022年6月に破産開始決定を受けた。これにより、「聘珍樓横濱本店」は閉鎖された。
残った当社は、「日比谷聘珍樓」、「吉祥寺聘珍樓」、「大阪聘珍樓」、「小倉聘珍樓ANNEX」など、大型店舗を運営していたが、業績不振から抜け出せずに5月21日、破産開始決定を受けた。
約1,000組の予約客
突然の破産で、大きな混乱に巻き込まれたのが予約客だ。聘珍樓は、企業や旅行団体客などの多くの予約が入っていた。関係者によると、大阪聘珍樓や日比谷聘珍樓などの予約客は約1,000組あり、破産後も店舗が入居するホテルなどには問い合わせが相次いでいるという。
だが、破産を受けて店舗は閉店しており、前払いの予約客を含め、「すべて予約対応はできなくなった」という。このため、名門店である聘珍樓の中華料理を楽しみにしていた予約客は、味を堪能することは不可能となった。
「聘珍樓」ブランドの行方
「聘珍樓」の商標は、数年前から海外の企業が保有しているという。破産管財人の相羽利昭弁護士(三宅・今井・池田法律事務所)による破産手続きは始まったばかりだ。
横浜中華街を支えた名店の一つ、聘珍樓の破産の余波はまだ続きそうだ。
聘珍樓の店舗(TSR撮影)
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年5月23日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)