• TSRデータインサイト

2025年4月の「負債1,000万円未満」倒産 38件 1-4月は月平均39.7件、3年ぶり40件を下回る水準

2025年4月「負債1,000万円未満」倒産状況


 2025年4月の負債1,000万円未満の倒産は38件(前年同月比5.0%減)で、2カ月連続で前年同月を下回った。2025年に入り、2月以外は30件台での推移で小康状態が続いている。
 2025年1月-4月累計は159件(前年同期比2.4%減)で、月間平均39.7件と3年ぶりに30件台にとどまっている。

 産業別は、最多がサービス業他の21件(前年同月同数)で、全体の55.2%を占めた。以下、情報通信業が5件(前年同月比25.0%増)、小売業(同25.0%減)と不動産業(前年同月ゼロ)が各3件の順。
 形態別は、最多が破産の36件(前年同月比7.6%減)。このほか、特別清算(前年同月ゼロ)と取引停止処分(前年同月同数)が各1件だった。
 原因別は、最多が「販売不振」の22件(前年同月同数)で、約6割(構成比57.8%)を占めた。次いで、「事業上の失敗」が8件(前年同月比33.3%増)、「他社倒産の余波」が4件(同20.0%減)で続く。

 様々なコストアップで収益が悪化する企業が多いなか、トランプ米大統領が発表した相互関税の行方が注目される。負債1,000万円未満の倒産は、内需産業のサービス業などが中心で、直接的にトランプ関税の影響を受ける企業は少ないだろう。ただ、国内経済が下押しされた場合、消費や需要への影響は避けられず、連鎖倒産を含めた間接的な影響を受ける可能性は残る。
 現状、倒産は落ち着いて推移するが、小・零細偉業は物価高などで厳しい経営が続いており、人手不足、賃上げ、金利上昇などの動向次第では、再び増勢に転じる可能性もある。

※本調査は、2025年4月に全国で発生した企業倒産(法的、私的)のうち、企業倒産集計(負債1,000万円以上)に含まれない負債1,000万円未満の倒産を集計、分析した。

負債1,000万円未満の倒産 件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ