• TSRデータインサイト

「税金(社会保険料含む)滞納」倒産が60件 25年1-4月は過去10年間で2番目の高水準

2025年(1-4月)の「税金滞納」倒産状況


 2025年4月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は19件(前年同月比9.5%減)で、3カ月連続で前年同月を下回った。この結果、1-4月の累計は60件(前年同期比10.4%減)で、1-4月では4年ぶりに前年同期を下回ったが、2016年以降の10年間では2番目の高水準をたどっている。

 負債総額は、4月が54億9,600万円(前年同月比11.4%減)だった。1-4月累計は236億8,100万円(前年同期比37.7%減)で大幅に減少した。負債10億円以上が5件(同150.0%増)と増加したが、同100億円以上がゼロ(前年同期1件)で、4年ぶりに前年同期を下回った。

 業績回復が遅れ、過剰債務の解消が進まない企業は、新たな資金調達が難しい。また、物価や人件費の上昇、金利負担の引き上げなどが重荷で、納税に向け滞納企業と関係機関の対話が重要になっている。

 1-4月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産の業種別は、一般貨物自動車運送業(前年同期6件)と労働者派遣業(同1件)が各4件、土木工事業(同1件)と学習塾(同ゼロ)が各3件など、労働集約型の業種が目立つ。
 また、資本金1千万円未満が35件(前年同期比25.0%増)と約6割(構成比58.3%)を占め、同1億円以上は2年連続で発生していない。小規模企業は、物価高や人件費上昇、借入金利の引き上げが負担になっており、今後も税金滞納が一因の倒産は高水準で推移する可能性が高い。

※2025年1-4月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)の「コンプライアンス違反」倒産のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。

「税金滞納」倒産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「人材派遣業」倒産、1-3月は過去最多の29件 ~ 「円高」、「トランプ関税」でさらに増加も ~

人手不足で人材の獲得競争が厳しさを増すなか、人材派遣会社(労働者派遣業)の倒産が急増している。

2

  • TSRデータインサイト

コメ農家の倒産・休廃業が過去最多 ~ コメ作りの「あきらめ」、さらに増加も ~

コメ価格の高騰が止まらない。農水省が18日に発表した3月の米価格(相対取引価格)は2万5,876円で、1年前の約2倍の高値だ。 政府は備蓄米を放出したが、小売業者にはなかなか届かず、韓国産やアメリカ産の輸入拡大も検討されている。

3

  • TSRデータインサイト

大型連休は「博物館・美術館」がオススメ? ~ 物価高でも魅力的な入館料が追い風、業績も回復 ~

コロナ禍で打撃を受けた博物館・美術館が物価高のなかで健闘している。体験型やデジタル対応など新しい取り組みや、比較的安価な入館料で集客力を高めている。

4

  • TSRデータインサイト

次世代電池のAPB、経営騒動の舞台裏 ~ APB・大島麿礼社長 単独インタビュー ~

次世代リチウムイオン電池「全樹脂電池」の開発や製造を手がける技術系ベンチャーのAPB(株)が注目を集めている。大島麿礼社長が東京商工リサーチの単独取材に応じた(取材日は4月10日)。

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ