• TSRデータインサイト

4月の「円安」関連倒産は6倍増の6件 コロナ禍前に比べ、依然として円安水準を持続

2025年4月 「円安」関連倒産(4月30日現在)


 2025年4月の「円安」関連倒産は6件(前年同月比500.0%増)で、2022年7月から34カ月連続で発生した。4月22日、一時、1ドル=139円89銭と2023年7月以来の円高水準に転じたが、その後は1ドル=140円~144円に戻すなど、トランプ米大統領の相互関税の余波で不安定な推移をたどっている。
 負債総額は7億1,900万円(前年同月比611.8%増)だった。負債額の最高は水産物卸の(株)ティーケイフーズ(東京)の約5億5,000万円で、平均負債額は1億1,900万円(前年同月比17.8%増)と今年最小を記録した。

 4月の「円安」関連倒産は、卸売業3件(前年同月1件)、小売業、運輸業、サービス業他が各1件発生した。
 ドルは円高推移で、4月後半は1ドル=140円前半となった。ただ、コロナ禍前の水準と比較すると依然、円安で価格引き下げ効果は届いていない。輸入財の仕入価格が高止まりするなか、トランプ米大統領の相互関税発言で景気の先行きは不透明感が漂っている。円安に伴う物価高で、内需型産業を中心に企業収益は厳しく、中小企業の支援策も必要になっている。

円安関連倒産月次推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ