• TSRデータインサイト

本番を迎えた金利引き上げ、追加利上げは? ~金利1%以上の割合上昇が鮮明に~

 日本銀行は4月30日、5月1日に金融政策決定会合を開催する。トランプ米大統領の相互関税に翻弄され、株式市場や外国為替相場が乱高下するなかで会合の行方が注目される。
 2024年度の全国企業倒産(負債1,000万円以上)は11年ぶりに1万件を超えた。物価高や人手不足などの課題が先行し、その陰でコロナ禍で抱えた過剰債務の解消に苦悩する企業に金利上昇が追い打ちをかけている。
 日銀の利率別貸出金残高がまとまった。最新資料では金利上昇が急激に進んでいることがわかった。特に、0.50%未満の構成比が低下する一方、1.00%以上は急上昇している。0.50%未満は2023年12月の36.61%から2025年2月は15.56%に半減。一方で、1.00%~1.50%未満は2023年12月の15.53%から2025年2月は25.88%に10.35ポイント上昇した。
 多くの金融機関は、貸出金利を1%まで引き上げたい意向を示している。
 日銀が追加利上げを決定した当初は、他の金融機関との貸出競争の最中で、金利引き上げは容易にできなかった。ここにきて金融機関全体が貸出金利の引き上げに動き出したこともあって、低金利時代は完全に終焉を迎えている。
 だが、業績が厳しい企業に対する金利引き上げは微妙だ。金利引き上げが収益を圧迫し、倒産のきっかけになれば上げるに上げられない。金融機関も企業も悩みは尽きない。

利率別貸出金残高

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年4月24日号掲載「WeeklyTopics」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

ハンバーガー店の倒産、最多更新 ~ 材料高騰、大手と高級店の狭間で模索 ~

年齢を問わず人気のハンバーガー店が苦境だ。2024年は1件だった倒産が、2025年は8月までに7件に達し、過去最多の2014年の年間6件を上回った。

2

  • TSRデータインサイト

2025年「全国のメインバンク」調査 ~GMOあおぞらネット銀行 メイン社数の増加率2年連続トップ~

「2025年全国企業のメインバンク調査」で、GMOあおぞらネット銀行が取引先のメインバンク社数の増加率(対象:500社以上)が2年連続でトップとなった。

3

  • TSRデータインサイト

タクシー業界 売上増でも3割が赤字 人件費・燃料費の高騰で二極化鮮明

コロナ禍を経て、タクシー業界が活況を取り戻している。全国の主なタクシー会社680社の2024年度業績は、売上高3,589億5,400万円(前期比10.6%増) 、利益83億3,700万円(同11.1%増)で、増収増益をたどっている。

4

  • TSRデータインサイト

「葬儀業」は老舗ブランドと新興勢力で二極化 家族葬など新たな潮流を契機に、群雄割拠

全国の主な葬儀会社505社は、ブランド力の高い老舗企業を中心に、売上高を堅調に伸ばしていることがわかった。 ただ、新たに設立された法人数が、休廃業・解散や倒産を上回り、市場は厳しい競争が繰り広げられている。

5

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

TOPへ