• TSRデータインサイト

全店休業中のミュゼプラチナムに司法判断 ~ 経営権を取り戻した三原社長 単独インタビュー ~

 3月に全店が休業した大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」を巡って大きな動きがあった。運営するMPH(株)(TSRコード:036547190、東京都港区)に対して2月、合同会社トラスト(TSRコード:023567023、東村山市)が「経営体制及び今後の運営に関するご連絡」を送り、取締役の解任などを突きつけた。これに関連して、MPHとトラストは司法で争っていたが、3月26日に役員の地位を仮に定める仮処分命令申立の判決が決定した。これを受けて一連の騒動以降、実質的に取締役を解任され、本社への立ち入りが出来なくなっていたMPHの三原孔明社長らが経営権を取り戻した。
 3月26日、東京商工リサーチ(TSR)は三原社長と関係者に単独取材をした。


―MPHを巡る経営権の対立について

 経営権を巡り、MPHとトラストの間で役員の地位に関して、仮処分命令申立の裁判を行っていた。3月26日に仮処分決定が下り、我々の正当性が認められた。仮処分決定を基に本社に立ち入り、トラスト側についていた役員などを懲戒解雇した。
 改めて全従業員に対し、今までの状況や今後の展望などを説明している。トラスト側もMPHの役員選任の登記を申請していたようだが、取り下げたと聞いている。
 この一カ月半で受けた損害は大きく、トラストの代表取締役を含め、損害賠償請求なども検討している。

―今後の運営は

 経営権を巡る対立で、MPHは疲弊している。経営権を再度取得したが、すぐに休業を解除できる状況ではない。現状と展望を従業員に説明した。今後は、MPHの破産などの法的整理も検討しつつ、新生ミュゼプラチナム(株)(旧:(株)メンズミュゼ、TSRコード:136911390、千代田区)で事業を継続していきたい。
 並行して資金調達も進めている。従業員や顧客に対してできることを整理し、ビジネスを維持していきたい。



 TSRは、今回の内容についてトラストにも取材を申し込んでいるが、4月1日正午までに回答はない。
 一連の騒動は、代金を払い込みながらサービスを受けられない顧客や取引先、そして給料が遅配している従業員も巻き込んでいる。三原社長の手腕が注目されている。


MPHのお知らせ(3月25日撮影、都内)
MPHのお知らせ(3月25日撮影、都内)


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年4月2日号掲載「取材の周辺」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【TSRの眼】「トランプ関税」の影響を読む ~ 必要な支援と対応策 ~

4月2日、トランプ米国大統領は貿易赤字が大きい国・地域を対象にした「相互関税」を打ち出し、9日に発動した。だが、翌10日には一部について、90日間の一時停止を表明。先行きが読めない状況が続いている。

2

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

3

  • TSRデータインサイト

ホテル業界 インバウンド需要と旅行客で絶好調 稼働率が高水準、客室単価は過去最高が続出

コロナ明けのインバウンド急回復と旅行需要の高まりで、ホテル需要が高水準を持続している。ホテル運営の上場13社(15ブランド)の2024年10-12月期の客室単価と稼働率は、インバウンド需要の高い都心や地方都市を中心に、前年同期を上回った。

4

  • TSRデータインサイト

2024年度の「後継者難」倒産 過去2番目の454件 代表者の健康リスクが鮮明、消滅型倒産が96.6%に 

2024年度の後継者不在が一因の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は、過去2番目の454件(前年度比0.8%減)と高止まりした。

5

  • TSRデータインサイト

2025年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 調達金利の上昇は致命的、企業支援の「真の受益者」の見極めを ~

ゾンビ企業は「倒産村」のホットイシューです、現状と今後をどうみていますか。 先月、事業再生や倒産を手掛ける弁護士、会計士、コンサルタントが集まる勉強会でこんな質問を受けた。

TOPへ