• TSRデータインサイト

脱毛サロン・ミュゼプラチナム、「全役員解任」の実態 ~ 運営会社MPH・三原孔明社長 単独インタビュー ~

 脱毛サロン大手「ミュゼプラチナム」の全役員解任の報道を受け、運営会社の三原孔明社長ら幹部が2月17日、東京商工リサーチ(TSR)の単独取材に応じた。
 運営会社や株主がたびたび変更されたミュゼプラチナムは現在、MPH(株)(TSRコード:036547190、東京都港区)が運営している。
 三原社長は昨年12月、TSRの取材に対して、給料などの支払い遅延を認めた上で、「資金繰りは回復しており、今後反転攻勢を目指す」と語っていた。
 MPHの三原社長、惠良司取締役など幹部へのインタビュー内容を詳報する(インタビュー内、敬称略

ミュゼプラチナム看板


―MPHを巡って、「全ての取締役が解任された」と報道されている

 2月7日、合同会社トラスト(TSRコード:023567023、東村山市)から「経営体制及び今後の運営に関するご連絡」と題する通知書がMPHにFAXで送付された。
 譲渡担保権の実行でMPHの株式を取得し、同日、株主が全員出席して開催された株主総会で取締役全員が解任され、新たな取締役としてA氏を選任したとの内容だった。
 三原は2月10日に従業員に給料遅配の説明会を実施する予定だったが、「説明会の中止に関するご連絡」がトラストの代理人弁護士から届いた。9時半から説明会を開催予定だったが、同日から取締役らは職場に入れなくなり、メールアドレスや入館証も使用できなくなった。
 会社の実印を取得しようと試みたが、僕(三原氏)らは部外者だとして入館できなかった。実印は、MPH本社から持ち去られた金庫の中に入っていたが、第三者からの指示で持ち出されたとすれば窃盗罪に該当すると考えている。
 同日、顧問弁護士から、トラストに対して反論書を送付した。株式の譲渡承認、株主名簿の名義書換とも未了のため、トラストが株主としての権利を行使することはできず、三原らを解任した株主総会は有効性がないと主張した。
 2月12日、トラスト側の弁護士から回答があり、それに対して16日にさらに反論した。

2月7日MPHに届いた文書

2月7日MPHに届いた文書


―取締役に就任したとされるA氏とは

 合同会社トラストの職務執行者で、今のMPHの自称代表者。私たちは面識がなく、全く知らない人物だ。

―今回の事態のきっかけは

 本件は、B氏による社内紛争だと考えている。元々、B氏は三原と組んで「ミュゼプラチナム」事業の再生を手掛けていた。
 B氏は、MPHの債権者である会社の経営者保証もしていたが、保証を外したい思惑もあったのではないか。今回の事態の後、B氏と会話はできていない。

―「経営体制及び今後の運営に関するご連絡」での「経営陣による不正」とは

 トラストは、レナード(株)(TSRコード:300051093、東京都中央区、三原社長が経営している脱毛機器販売会社)に不正な資金の流失が起きていると主張している。ただ、実際には正式な売買契約書が存在する。
 契約書に基づいて資金をMPHからレナードに支払っているが、それに対して、トラスト側が役員解任の理由にしている。

―従業員給料や家賃の支払い状況は

 一部給与の遅延は事実だ。グローバルブリッジファンド合同会社(TSRコード:698497082、千代田区、以下GBF)がミュゼの資金面を対応しているが、内紛が起きている状況で支払いは難しい。
 内紛が落ち着き、私たちが運営権を握れば、給与などの支払いができる見込みだ。

―現在の株主構成や登記は

 トラスト側は譲渡担保権の実行により株式を取得したと主張し、代表印が押された株主名簿もあるとしているが、実際の株主構成はGBFが100,000株(99.01%)、三原が1,000株(0.99%)だ。
 商業登記簿は2月12日現在、三原を代表としている。なお、ストックオプションや登記上本店の移転を申請するため、現在は登記事件中となっている。

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」運営会社の変遷

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」運営会社の変遷


―今後について

 とにかく一刻も早く状況を安定させることだ。この状況が長引けば顧客の解約や従業員の退職などの影響が出てくる。コールセンターなどの業務も逼迫しており、直ちに改善を進める必要がある。
 私たちはトラスト側と話し合う準備はできている。顧客の為にも早急に話し合いをする必要があると思う。


 不安定な経営により従業員への給与の遅配などがSNSでも拡散され、「ミュゼプラチナム」の動向は注目されている。
 2月18日、TSRは、トラスト側に取材を申し込んでいる。
 経営権を巡る紛争は、早期に解決されるのか。従業員と顧客が取り残されていることを忘れてはならない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2025年2月20日号掲載予定「WeeklyTopics」を再編集)

記事の引用・リンクについて

記事の引用および記事ページへのリンクは、当サイトからの出典である旨を明示することで行うことができます。

(記載例) 東京商工リサーチ TSRデータインサイト ※当社名の短縮表記はできません。
詳しくはサイトポリシーをご確認ください。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

第三者破産と告発、クリアースカイへの包囲網 ~ 「特別代理店」への注目も高まる ~

投資トラブルで揺れる合同会社クリアースカイ。4月7日に債権者から破産を申し立てられ、4月14日被害者弁護団から行政処分を求める告発を受けた 被害者弁護団は「クリアースカイと同様に特別代理店側にも破産申立や告発を行い責任を追及する」と語る。クリアースカイを巡る現状をまとめた

2

  • TSRデータインサイト

2025年度の「早期・希望退職」 は2万781人 約7割が「黒字リストラ」、2009年度以降で4番目の高水準

2025年度に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は46社(前年度51社)で、人数は2万781人と前年度(8,326人)の約2.5倍に急増したことがわかった。社数は前年度から約1割(9.8%減)減少したが、募集人数は2009年度以降で4番目の高水準となった。

3

  • TSRデータインサイト

ゴールデンウィーク明け、「退職代行サービス」の利用は慎重に

長かったゴールデンウィークが終わる。職場「復帰」を前に例年4月の新年度からGW明けにかけ、退職する人の話題が持ち上がる。この時期の退職代行サービスの利用も増加するという。4月に実施した「退職代行に関する企業向けアンケート調査」から利用するリスクの一端が浮き彫りになった

4

  • TSRデータインサイト

2025年度の「新聞販売店」倒産 過去最多の43件 止まらない部数減、人手不足・コスト上昇で逆風続く

2025年度の「新聞販売店」倒産は43件(前年度比43.3%増)で、2023年度の39件を抜き過去30年で最多を更新したことがわかった。 新聞の発行部数は、日本新聞協会によると2025年(10月時点)は約2,486万部(前年約2,661万部)で、2000年(約5,370万部)から半減(53.7%減)している。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度「医療・福祉事業」倒産、過去最多 ~ 健康と生活を支援する事業者の倒産急増 ~

生活に不可欠な医療機関や介護事業者の倒産が急増している。バブル経済1988年度(4-3月)以降の38年間で、2025年度は金融危機、リーマン・ショックを超える478件と最多を記録した。

TOPへ