• TSRデータインサイト

2025年1月の「税金(社会保険料含む)滞納」倒産10件 16カ月連続で毎月10件超、“徴収ありき”からの転換が急務

2025年1月の「税金滞納」倒産


 2025年1月の「税金(社会保険料を含む)滞納」倒産は、前年同月と同件数の10件だった。コロナ禍で認められていた税金などの納付猶予期間は2022年2月に終了した。それ以降、税金滞納に起因した倒産が2023年10月から毎月10件以上発生している。
 負債総額は35億8,500万円(前年同月比82.4%増)と、大型倒産の発生で急増した。
 過剰債務の解消が進まず、新たな資金調達が難しい中小企業は、運転資金の確保を優先して税金などの納付を先送りしている企業が少なくない。税金や社会保険料の納付には安定した収益確保が欠かせず、経営改善などへの取り組みが重要となっている。

 産業別では、サービス業他が4件(前年同月2件)、建設業が3件(同1件)で、この2産業で半数以上を占めた。この2産業は人手不足が顕著だが、収益性の低さから税金や社会保険料の納付にも苦慮する企業は少なくない。

 2024年に政府は中小企業の事業再生のため「事業再生情報ネットワーク」の運用を開始した。だが、運用面では再生支援より公租公課の確実な納付に重きが置かれている感が強い。
 関係省庁は「徴収」ありきではなく、企業の納付意志を確認し、事業再生への支援を前提にした柔軟な対応で納付を促す姿勢が求められる。
※本調査は、2025年1月の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「税金滞納」関連を集計・分析した。


「税金滞納」倒産

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

142年目の大転換、官報電子化で破産公告が検索不可に ~ プライバシー保護強化、与信業界は影響懸念 ~

いまから142年前。政府が1883(明治16)年7月、「官報」を創刊した。4月1日、官報の「正本」が紙から電子版へ移行する。

2

  • TSRデータインサイト

脱毛サロン「ミュゼプラチナム」3度の運営会社が変更 ~「船井電機」倒産余波の真相~

船井電機(株)が破産開始決定を受けて以降、脱毛サロン「ミュゼプラチナム」への関心が高まっている。これまでの運営会社の変遷をまとめた。

3

  • TSRデータインサイト

丸住製紙(株)~ 倒産した地元の“名門”製紙会社の微妙な立ち位置 ~

2月28日に新聞用紙の国内4位の丸住製紙(株)(四国中央市)と関連2社が東京地裁に民事再生法の適用を申請してから2週間が経過した。負債総額は約590億円、債権者数は1,000名以上に及ぶ。愛媛県では過去2番目の大型倒産で、地元の取引先や雇用への影響が懸念されている。

4

  • TSRデータインサイト

「雇用調整助成金」の不正受給公表 1,620件 公表企業の倒産は92件、倒産発生率は5.6%

全国の労働局が2月28日までに公表した「雇用調整助成金」(以下、雇調金)等の不正受給件数が、2020年4月から累計1,620件に達したことがわかった。不正受給総額は530億352万円にのぼる。

5

  • TSRデータインサイト

中小企業の賃上げ率「6%以上」は9.1% 2025年度の「賃上げ」 は企業の85%が予定

2025年度に賃上げを予定する企業は85.2%だった。東京商工リサーチが「賃上げ」に関する企業アンケート調査を開始した2016年度以降の最高を更新する見込みだ。全体で「5%以上」の賃上げを見込む企業は36.4%、中小企業で「6%以上」の賃上げを見込む企業は9.1%にとどまることがわかった。

TOPへ