2025年1月の「ゼロゼロ融資」利用後倒産 35件 8カ月連続で前年同月を下回る、累計は1,823件に
2025年1月度「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況
コロナ禍の資金繰り支援策として実行された「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」を利用した企業の倒産が、2025年1月は35件(前年同月比12.5%減)だった。2024年11月から3カ月連続の30件台で、8カ月連続で前年同月を下回った。本格的な返済を迎えながら、利用した企業の倒産は減少に転じている。ただ、借換保証もあり、減少の背景が業績回復によるものか、返済猶予に起因するのか、まだ判断できない。
なお、ゼロゼロ融資を利用後の倒産は、2020年7月から累計で1,823件に達した。
ゼロゼロ融資などコロナ関連支援は、窮境状態に陥った企業の倒産抑制に劇的な効果をみせた。だが、コロナ禍が落ち着くと同時に、円安が進行し物価高が続いている。さらに、深刻さを増す人手不足で人件費が上昇し、ここにきて金利も上昇局面に入っている。そうした中で、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は小康状態を続けている。
政府はゼロゼロ融資の返済開始に伴う中小企業の支援で、「コロナ借換保証」など各種支援を2024年6月まで実施し、7月以降は経営改善・再生支援に軸足を移している。
中小企業庁によると、コロナ借換保証はゼロゼロ融資からの同額借換の割合が高く、債務圧縮が進んでいない可能性がある。 3カ月に1回はモニタリングで経営状況を確認しているが、借換保証を行った企業の約8割が、返済開始まで2年以内の据置期間を設定している。このため、今夏以降は倒産が増勢に転じる可能性も残している。
日本銀行は1月24日、政策金利を0.5%程度に引き上げることを決定した。すでに金融機関は金利引き上げに動いているが、今後は住宅ローンなどへの影響も注意が必要だ。物価高や人件費高騰が続くなか、ゼロゼロ融資を利用した企業の返済負担は、これから本番を迎える可能性が高い。
※ 本調査は、企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」を受けていた企業の倒産 (法的・私的)を集計、分析した。