• TSRデータインサイト

Xアイコン
facebookアイコン

大学受験のニチガク、旧態依然の営業手法と不適切会計

 大手受験予備校「ニチガク」を運営する(株)日本学力振興会(TSR企業コード:293847398、新宿区)が1月4日に突然教室を閉鎖してから3週間が経過した。1月10日に東京地裁へ破産を申請したが、受験シーズンを目前に控えたタイミングの事業断念は受験生に動揺が広がった。

 東京商工リサーチ(TSR)が独自に入手した破産申立書には、生徒獲得に苦戦した背景や不適切会計の可能性などが記されている。
 申立書の破産経緯は以下の通り(要旨)。


 ニチガクは生徒募集を関係会社に委託していた(以下、委託会社)。委託会社は、生徒自宅に一軒一軒電話をかけて勧誘し、最盛期には月間4000万円を超える売上高をあげた。入学金や授業料は、ニチガクと委託会社が一定割合で折半していた。
 しかし、携帯電話が普及すると固定電話のある家庭が減少し、従来の勧誘が難しくなり、生徒数が減少。コロナ禍では緊急事態宣言の影響もあり、対面授業ができず、自習室の利用も制限せざるを得なくなった。このため、急激に生徒が減少(破産申請の時点で約130人)し、売上高は月間500万円まで落ち込んだ。これに伴い、給料遅配や税金滞納が慢性化した。
 創業者は金融機関からの借入に頼らず、自力で乗り切る方針だったが、2022年10月頃、旧知のA氏に経営を一任し、経営から身を引いた。A氏は電話勧誘を見直し、医学部受験の新設などで立て直しを図ったが、医学部受験用の自習室の確保や高額な講師料などが経営を圧迫した。
 打つ手がなくなったA氏は2024年10月、事情に精通していたB氏に経営を委ねた。それでも給与などを支払うメドが立たなかった。今年1月4日、校舎入り口に事業停止の張り紙を掲げると現場で混乱が生じ、マスコミやSNSで騒動となり、破産申請に至った。


不適切会計と給与未払い

 破産経緯とは別の申立資料によると、ニチガクは委託会社との間で決算の帳尻を合わせる不適切な会計処理に手を染めていたようだ。2023年11月期の決算書の債務超過額は1億円を超え、現預金はわずか25万円にとどまる。

 ニチガクは、給与未払いによって経理スタッフが退職し、正確な直近の債権債務額が把握できていない。2024年11月期の決算書も作成できておらず、債権者や負債の額が確定するには時間が必要で、桜の花が散っても混乱は続きそうだ。

「ニチガク」の本社

「ニチガク」の本社

Xアイコン
facebookアイコン

人気記事ランキング

ランキング1位
  • TSRデータインサイト

年度上半期の「人手不足」倒産 過去最多の240件 深刻な“賃上げ疲れ”、『賃上げ倒産』が1.7倍に増加

2026年度上半期(4-9月)の「人手不足」倒産は、240件(前年同期比17.0%増)と過去最多を記録した。コロナ禍の2021年度同期の26件を底に、5年連続で前年同期を上回った。調査を開始した2013年以降の年度上半期では、これまで最多だった前年同期(205件)を抜いて最多を更新した。

2

  • TSRデータインサイト

外国人「技能実習制度」認定取消しは累計754社 製造業と建設業で7割占める、ワーストは愛知県の46社

外国人技能実習制度で実習生を受け入れていた企業のうち、法令違反や不正などを理由に実習実施の認定取消処分を受ける企業が相次いでいる。 2017年11月の現行制度施行以降、累計754社にのぼり、2026年度も8月までに50社が公表され、前年度と同水準のペースで推移している。

3

  • TSRデータインサイト

再編が進むホームセンター、キーワードは「1兆円」 ~ 統合や提携、共同購買やPB商品の取り組み ~

ホームセンター業界で統合や提携で競争力を高める動きが加速している。店舗が増えながら1店舗の売上効率が低下する「オーバーストア」状態で、大手各社は次の一手を巡りしのぎを削っている。5期連続(最新期:2025年4月-2026年3月期)で決算比較が可能な48社を分析した

4

  • TSRデータインサイト

1-9月の上場企業「早期・希望退職募集」は22社 人数は5,345人、黒字企業が6割を超える

2026年1月-9月に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は22社(前年同期34社)、対象人数は5,345人(同1万1,909人)だった。社数は3割(35.2%)減少し、対象人数は半減(55.1%)した。

5

  • TSRデータインサイト

新型コロナ破たん、9月は133件発生

 9月は「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円未満含む)が133件判明し、2020年2月の第1号の発生から累計1万4,700件に達した。2026年は3月に162件と3カ月ぶりの150件超えを記録。しかし、4月は一転して150件を下回り、5月は119件で、2021年1月以来の120件割れとなった。

TOPへ