• TSRデータインサイト

「歯医者さん」の倒産 2024年上半期は15件、前年の2.5倍に急増、過去最多ペースで推移

2024年上半期(1-6月)「歯科診療所」倒産の状況

 「コンビニより数が多い」歯科診療所の倒産が急増している。2024年上半期(1-6月)の倒産は15件(前年同期比150.0%増)で、前年の2.5倍に達した。過去20年間で最多だった2018年同期(17件)に次ぐ水準で、現状ペースで推移すると年間の過去最多(2018年、25件)を更新する可能性も出てきた。

 厚生労働省によると、歯科診療所は2019年時点で全国に6万8,500カ所あり、コンビニエンスストアの5万5,641店(一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会調べ、2024年5月)を上回る。口腔内の健康維持に不可欠な存在で、歯科医師の独立志向が高いことも背景にあるが、患者の奪い合いが避けられない状況に置かれている。
 医療機器などの設備投資はリース導入が多く、小資本での開業も可能だが、開業後の収入次第では資金負担に直結し、患者数の減少は経営を左右する。コロナ禍で患者の通院控えから厳しい経営が続いたが、平時に戻り来院患者数の回復に期待がかかる。だが、医薬品や治療材料の高騰、人件費上昇などのコストアップが採算悪化を招いている。人口減少が患者減少に繋がるだけに、技術向上やインプラント、ホワイトニングなど高付加価値の分野への進出も避けられないだろう。

※本調査は、日本標準産業分類の「歯科診療所」の負債総額1,000万円以上の倒産を集計、分析した。

「歯科診療所」倒産件数推移

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ