民事再生のWeWork Japan、100億円超の連続赤字
~ 負債総額は157億円と判明 ~
2月1日に民事再生法の適用を申請したWeWork Japan合同会社(TSR企業コード:017839289)の債権者は2,708名で、負債総額は157億2,148万円だった。東京商工リサーチ(TSR)が入手した民事再生申立書により判明した。事業拡大に向けた先行投資で資金流出が続いたことに加え、コロナ禍での需要減も響き、一部取引先への期日通りの支払いが難しい状況に陥っていた。
WeWork Japanのロゴ(TSR撮影)
200億円超の最終赤字
WeWork Japanは、2017年に日本で事業を開始して以降、積極的に拠点を増やした。2019年時点ではオフィス稼働率は平均して8割を超えていたという。ただ、急速な業容拡大に向けた多額の先行投資は多額の資金が必要だ。このため、社員(合同会社への出資者)による資本注入で資金繰りを維持してきた。
しかし、コロナ禍でオフィス需要が減退し、入居者となる会員獲得に向けた営業活動が制約された。一方、物件オーナーと契約後、実際に拠点として開設するまでは1年以上が必要で、コロナ禍前に契約した10拠点が新規開設されるなど、費用負担は増していった。物件オーナーへの家賃支払いが増加するなかでの会員獲得の遅れは損益に大きく影響した。
WeWork Japan の業績は、2020年12月期が売上高259億9,034万円に対して、最終赤字74億881万円だったのに対し、2021年12月期は売上高222億8,518万円、最終赤字110億7,936万円、2022年12月期は売上高259億7,513万円、最終赤字211億2,347万円と加速度的に赤字が膨らんだ。
取引条件の維持で「全額弁済」
連続赤字により資金繰りも逼迫した。主要取引先から取引債権の前払いや債務の支払い繰り延べなどで資金繰りを繋いだ。しかし、2023年11月に、米国WeWork社がチャプター11を申請。このため、取引先などからの資金支援が不透明となり、2024年2月末には物件オーナーなどへの支払いができないことが確実な情勢となった。これを受け、ソフトバンク(株)(TSR企業コード:292305397)をスポンサーとする再生策を計画し、民事再生に踏み切った。計画では、従前の取引条件の維持を前提に、債権は全額弁済される予定だ。
申立書によると、債権者は2,708名に対して負債総額は157億2,148万円。ただ、2022年12月期の負債合計は461億3,184万円で、申立書上の負債総額とは300億円超の差が生じている。2月5日には債権者向け説明会が予定されており、説明内容が注目される。