• TSRデータインサイト

令和6年能登半島地震 「上場企業の被災状況開示」調査(1月4日時点)

~ 24社が「影響あり」、建物・店舗被災が最多 ~


 石川県能登半島を震源とする最大震度7の地震(以下、能登半島地震)は、企業にも影響が出ている。東京商工リサーチ(TSR)は、地震後の1月1日~4日までに地震の影響を適時開示情報で公表した上場会社を集計、調査した。これによると29社が影響を公表し、一部や軽微を含め「影響あり」(すでに解消含む)は24社だった。被災内容では、「建物の損壊・破損」が16社、「生産ラインや設備などの被害」が13社、「ライフラインやインフラへの影響」などが6社だった。

 東京証券取引所など国内の全証券取引所に株式上場する企業のうち、能登半島地震に関する適時開示情報を公表したのは29社だった。このうち、「影響なし」は5社で、「影響あり」は24社だった。特に強い揺れで被害が激しかった石川県内に本社や工場、店舗などがある企業の開示が相次いだ。製造業では、工場内の建物破損や生産設備に被害が発生し、震源地に近いエリアでは生産活動の再開に時間を要する可能性がある。
 また、一部の企業では相次ぐ余震や道路網の寸断、通信インフラ障害で被害状況の確認作業が容易でない状況が続く。従業員の安全を最優先にしながら、被害確認や復旧作業を行っている企業も多い。こうしたなか、ジャパンディスプレイ(本社・東京都港区)や歯愛メディカル(同・石川県能美市)は、地震の発生直後から一部の工場や本社を住民に避難場所として開放した。
 被災地では、従業員や家族が被災した企業も少なくない。事業の復旧や再開に向けては停電や断水など、ライフラインやインフラの復旧が必要で、被災者や被災した企業には国や自治体、取引先の臨機応変な支援が急がれる。

※ 能登半島地震が発生した1月1日~4日23時59分までに「適示開示情報閲覧サービス」でリリースされた資料で、 「能登半島地震」の影響に関するリリースを対象に集計した。業種は、証券コード業種分類に基づく。


開示企業は29社、24社が「影響あり」

 「能登半島地震」の影響を開示した29社のうち、「影響なし」は5社、「影響あり」は24社だった。

被災状況

被災内容(複数要因有り) 建物損壊が最多

 判明した被災内容別は、工場や店舗建物への被害開示が最多の16社だった。次いで、生産ラインや設備、店舗機器などの被害が13社、断水などライフラインやインフラが6社、商品の荷崩れなどによる製(商)品・在庫品損傷等が5社で続いた。

被災内容

業種別 小売業が6社

 「影響あり」を開示した24社の業種を分析した。最多は、ドラッグストアなど一部店舗が被災した「小売業」が6社。次いで、介護など「サービス業」が4社、工場が被災地域に所在した「電気機器」が3社、倉庫が被災したなど「卸売業」が3社、営業所の被災など「陸運業」が2社の順だった。

業種別

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ