• TSRデータインサイト

「銀座カラー」を運営する (株)エム・シーネットワークスジャパンの信用調査報告書を読み解く

2023年12月15日破産開始決定、負債総額約58億円

 週末の12月15日(金)の夜、衝撃のニュースが駆け巡った。脱毛サロン「銀座カラー」を展開する(株)エム・シーネットワークスジャパン(TSR企業コード:293063664)が、ホームページに「破産手続開始決定のお知らせ」を掲示した。債権調査はこれからだが、債権者は10万人にのぼり、破産のニュースはSNSなどを通じて瞬く間に広がった。


 「銀座カラー」を運営するエム・シーネットワークスジャパンのTSR REPORT(信用調査報告書)には何が書かれていたのか――。

 今年9月に作成されたTSR REPORTによると、「企業診断(評点)」は44点と格付けされ、与信の目安とされる50点を大きく下回っている。「評点推移」は2021年9月以降、7回に渡って評点が更新されている。評点は信用調査ごとに更新されるが、通常は年に1回、決算確定後に見直されるケースが多い。頻繁な調査依頼は取引先の警戒感の高さを物語っている。
 「所見」には、「2022年4月期末時点で50店舗あったが、2023年4月期末時点で31店舗まで減少」と、直近1年間の大幅な店舗リストラを指摘している。
 「財務分析」によると、2021年4月期末時点で債務超過に陥っており、財務基盤の安定性は極めて低い。一方で「有利子負債」はゼロで赤字補填や運転資金の調達に金融機関が利用されていないことを示している。
 また、2022年4月期以降の財務諸表は添付されておらず、東京商工リサーチ(TSR)への取材対応を含め、公開性が大幅に低下し、意図的な制限も伺える。
 「企業特性」では、複数の関連会社を記載している。TSRには、こうした関連会社の動向を気にする声が寄せられている。


(株)エム・シーネットワークスジャパンの信用調査報告書


(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年12月19日号掲載予定「破綻企業の信用調査報告書」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ