• TSRデータインサイト

“辰年”設立の法人は24万264社 最古の法人は1880年設立の丸善雄松堂など3社

~ 2024年“辰年”設立の法人調査 ~


 2024年の干支は“辰(たつ)”。全国で辰年に設立された法人は、十二支では最も少ない24万264社で、全国の法人約360万社の6.7%だった。
 辰年設立の法人のうち、最古参は1880(明治13)年設立で書籍卸の丸善雄松堂(東京)、総合印刷の大日本印刷(東京)、不動産管理業の松本斉産土地(長野)の3社だった。業歴100年超となる1916(大正5)年以前の設立は91社で、辰年に設立された法人の0.03%にとどまる。

 辰年設立の法人の産業別では、最多がサービス業他の7万8,747社(構成比32.7%)。特に、1952(昭和27)年以降は、サービス業他の割合が高く、2012(平成24)年設立は構成比が43.1%に達した。
 都道府県別では、最多が東京都の5万6,189社(構成比23.3%)、最少は鳥取県の789社だった。都道府県別の法人数に対する辰年設立の法人数の割合は、最高が青森県の7.91%だった。
 株式上場する4,013社では、辰年設立は298社(同7.4%)あった。十二支では、辰年の法人は酉年(282社)に次いで、2番目に少ない。ただ、辰年に設立された企業の上場企業率は0.12%で、丑年と亥年に並び最も高かった。

 2023年はコロナ禍から転換する一年だった。だが、ゼロゼロ融資の返済や物価高、円安、人手不足に伴う人件費上昇など、コストアップが企業の業績回復に大きな障壁となった。2024年の辰年は「2024年問題」が待ち受けるなか、どこまで景気に明るさを取り戻せるか正念場でもある。

※ 本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから個人企業、倒産や休廃業・解散した企業などを除外した約360万社を対象に、辰年に設立された法人を抽出し、分析した。
※ 設立年月は、商業登記簿に基づく。 


辰年設立の上場企業は298社

 辰年設立の上場企業は298社で、全上場4,013社のうち、十二支では酉年の282社に次ぎ、2番目に少ない。
 市場別の最多は、東証プライムの111社(構成比37.2%)。次いで、東証スタンダード109社(同36.5%)、東証グロース63社(同21.1%)など。
 最古は、1880(明治13)年の大日本印刷(東京)。次いで、1892(明治25)年はシキボウ(大阪)、大分銀行(大分)の2社。1904(明治37)年は、2023年12月20日に上場廃止の東芝(東京)。業歴100年超の1916(大正5)年以前は11社で、辰年設立の上場会社の3.6%にとどまる。
 1928(昭和3)年は10社、1940(昭和15)年は22社、1952(昭和27)年は30社、1964(昭和39)年は37社、1976(昭和51)年は40社、1988(昭和63)年は22社。2000(平成12)年は最多の84社で、インターネットやソフトウェア関連の企業も多い。

主な辰(たつ)年設立上場企業(設立順)

【設立年別】業歴100年以上は91社、全体の0.03%

 辰年の法人設立は、最多が2012(平成24)年の8万2,745社(構成比34.4%)。次いで、2000(平成12)年の5万1,997社(同21.6%)で、平成設立が13万4,742社と全体の56.0%を占めた。
 一方、100年超の1916年以前の設立は91社で、構成比はわずか0.03%だった。

年別 辰(たつ)年 設立法人数

【産業別】サービス業他が3割を占める

 産業別は、最多がサービス業他の7万8,747社(構成比32.7%)。サービス業他では2012年設立が3万5,669社と、半数近く(同45.2%)を占めた。
 以下、建設業3万5,659社(同14.8%)、製造業2万7,232社(同11.3%)、小売業2万5,419社(同10.5%)、不動産業2万3,502社(同9.7%)、卸売業2万3,146社(同9.6%)と続き、10産業のうち、6産業が2万社以上だった。
 業種別では、食堂,レストランが6,712社(同2.7%)で最多。次いで、経営コンサルタント業6,240社(同2.5%)、土地売買業5,375社(同2.2%)など、4業種が5,000社以上だった。

産業別 辰(たつ)年 設立法人



 前回の辰年だった2012(平成24)年は、前年に東日本大震災があり、復興に向けて動き出した一年だった。今回の2024年は、コロナ禍を乗り越え、新たな一歩を踏み出す一年となる。

 2024年は『甲辰(きのえたつ)』と呼ばれ、成功の芽が成長し、形を整えていく縁起の良い年と言われる。
 世界をパンデミックに巻き込んだコロナ禍を耐え、乗り切った企業に、昨年は円安、物価高、人手不足が立ちはだかった。アフターコロナに向け経済活動は着実に前進している。さらに確かな明るい一年を手にするため、各企業の豊かなアイデアと間断ない行動が求められている。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

内装工事業の倒産増加 ~ 小口の元請、規制強化で伸びる工期 ~

内装工事業の倒産が増加している。業界動向を東京商工リサーチの企業データ分析すると、コロナ禍で落ち込んだ業績(売上高、最終利益)は復調している。だが、好調な受注とは裏腹に、小・零細規模を中心に倒産が増加。今年は2013年以来の水準になる見込みだ。

3

  • TSRデータインサイト

文房具メーカー業績好調、止まらない進化と海外ファン増加 ~ デジタル時代でも高品質の文房具に熱視線 ~

東京商工リサーチ(TSR)の企業データベースによると、文房具メーカー150社の2024年度 の売上高は6,858億2,300万円、最終利益は640億7,000万円と増収増益だった。18年度以降で、売上高、利益とも最高を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

5

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

TOPへ