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ジャパンライフの破産手続きが終結、配当率は1.203%

 ジャパンライフ(株)(TSR企業コード:291624898)の倒産処理が終わった。
 磁気治療器などのオーナー商法で高齢者を中心に約8,000人を巻き込んだジャパンライフは9月4日、東京地裁から破産終結の決定を受けた。2018年3月、東京地裁の破産開始決定から5年半を要した。配当率は1.203%だった。

約8,000人から1,500億円以上を集めた

 ジャパンライフは、磁気ベストやバンドなど100万円以上する高額な磁気治療器を高齢者などに販売し、それを預かって第三者にレンタル。レンタル料を顧客へ支払う「預託契約」を締結する形態で急成長した。
 また、集客や販売実績に応じてボーナスを得ることができる会員制の連鎖販売も手掛けた。破産管財人の資料によると、約8,000人に債権届出書を送付し、普通破産債権は1,500億円以上にのぼった。

社会問題化、被害弁護団が設立

 2016年以降、ジャパンライフは消費者庁から特定商取引法違反などで4度の行政処分を受けていた。預託金の返済が滞り、社会問題化すると被害弁護団が全国で立ち上がり、同弁護団が破産を申し立てる異例の展開を辿った。破産開始決定後の2018年9月、警視庁などが山口隆祥元会長などを詐欺容疑で逮捕し、懲役8年の実刑が確定している。その他の幹部も有罪判決を受けた。
 この間、破産管財人は、ジャパンライフの売掛金や不動産などの資産換価や消費税の還付金などで30億円強を回収。順次、配当手続きを進めていた。
 破産開始から5年半を経過し、破産終結の決定でジャパンライフの破産事件は区切りを迎えた。


ジャパンライフの事務所(2017年12月撮影)
ジャパンライフの事務所(2017年12月撮影)



 被害弁護団の杉浦英樹弁護士(杉浦英樹法律事務所)は、東京商工リサーチ(TSR)の取材に「全国の弁護団が一丸となって被害回復を目指した事件だ。配当はわずかだったが、決して無駄ではなく、配当実施や幹部の逮捕など一定程度の成果があがったのではないか」とコメントした。
 ジャパンライフの破産事件を契機に、2022年6月に特定商取引法・預託法が改正された。しかし、消費者を巻き込む事件は後を絶たない。
 最近も企業のコンプライアンスが問題になる事案が相次いでいる。ジャパンライフ事件の教訓を忘れてはならない。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年9月22日号掲載「取材の周辺」を再編集)

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