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飲食業倒産569件、2023年は8月時点で前年の年間件数を抜く 値上げも難しく年間最多を更新の勢い

~ 2023年(1-8月)「飲食業の倒産動向」調査 ~


 2023年(1-8月)の飲食業倒産(負債1,000万円以上)は、569件(前年同期比82.3%増、前年同期312件)に達した。この結果、2023年は8月で、2022年の年間(1-12月)の522件を上回った。
 コロナ禍当初の2020年は、インバウンド需要の消失などで飲食業の倒産は急増した。その後、コロナ禍の手厚い資金繰り支援が奏功し、倒産は大幅に抑制された。しかし、新型コロナは5類感染症に移行し、アフターコロナに向けて支援策が相次いで終了・縮小すると、飲食業倒産は再び増加に転じている。
 コロナ禍でブームを起こし、新規参入が相次いだ「宅配飲食」は41件(前年同期14件)と、前年同期の約3倍に急増。また、「持ち帰り飲食」も27件(同11件)と約2.5倍に増え、9月にも2013年(1-12月)の28件を抜いて、過去最多となることが確実になった。


 2023年(1-8月)累計のコロナ関連倒産は371件と前年同期(185件)の2倍に急増。「ゼロゼロ融資」後の倒産も69件(前年同期27件)と2.5倍に拡大した。
 業種別では、「宅配飲食サービス業」と「持ち帰り飲食サービス業」に加え、「専門料理店」(64→130件)と「食堂,レストラン」(70→140件)、「喫茶店」(28→42件)でも大幅に増え、これら5業種はすでに前年の年間倒産件数を上回った。
 コロナ禍の制限緩和が進む一方で、8月に東京商工リサーチが実施したアンケート調査では、売上がコロナ以前の水準に戻らない飲食業者は7割(72.4%)に達する。人手不足に伴う人件費高騰や食材・光熱費の上昇などコスト負担は上昇しているが、4月調査では飲食業の71.4%が「まったく価格転嫁できていない」と回答した。客足が戻らないなかで、価格転嫁・値上げが容易でない状況が続いている。このため、2023年の飲食業倒産は年間の過去最多を更新する可能性が高まっている。

※本調査は、日本産業分類の「飲食業」(「食堂,レストラン」「専門料理店」「そば・うどん店」「すし店」「酒場,ビヤホール」「バー,キャバレー,ナイトクラブ」「喫茶店」「その他の飲食店」「持ち帰り飲食サービス業」「宅配飲食サービス業」)の2023年(1-8月)の倒産を集計、分析した。


8月までで前年の年間件数を上回る、年間は過去最多を更新の可能性も

 2023年(1-8月)の「飲食業」倒産は569件(前年同期比82.3%増)で、2022年の年間件数の522件をすでに上回った。8月までの倒産の月平均71.1件で推移すると、2020年の年間倒産(842件)を抜いて、過去最多の850件台に乗せる可能性も出てきた。
 月次では2022年11月以降、10カ月連続で前年同月を上回った。2023年1月から8カ月連続で増加率が50.0%を超え、前年同月の倍増以上は4月、6月、8月と今年3回目となった。コロナ関連支援の終了・縮小の一方で、人手不足や食材費・電気代は高騰し、コロナ禍より厳しい事業環境に直面する飲食業者は多く、今後も飲食業倒産は増勢を強めるとみられる。

飲食業倒産月次推移

業種別 宅配、持ち帰りなど5業種で前年の年間件数を上回る

 業種別では、増加率の最大が「宅配飲食サービス業」の前年同期比192.8%増(14→41件)だった。以下、「持ち帰り飲食サービス業」同145.4%増(11→27件)、「専門料理店」同103.1%増(64→130件)、「食堂,レストラン」同100.0%増(70→140件)の順。これら4業種と「喫茶店」は、2022年の年間倒産件数をすでに上回った。
 宅配や持ち帰り業態はコロナ禍で好調だった。だが、新規参入者の急増による競合やアフターコロナでの人流回復で、経営環境が激変した。
 一方、コロナ関連倒産の構成比では、「そば・うどん店」(77.7%、コロナ関連倒産7件)と「酒場,ビヤホール」(75.4%、同89件)が7割台を占めたほか、すべての業種で5割を上回り、引き続きコロナ禍の影響も根深く残している。

2023(令和5)年(1-8月) 飲食業 業種小分類別倒産状況

原因別 『不況型』倒産が約9割

 原因別では、「販売不振」が最多の468件(前年同期比85.7%増)だった。次いで、「既往のシワ寄せ」36件(同80.0%増)、「他社倒産の余波」28件(同115.3%増)の順。『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は504件(同85.2%増)で、構成比は88.5%(前年同期87.1%)を占めた。
 増加率では、「事業上の失敗」が前年同期比142.8%増(7→17件)で最大だった。

2023(令和5)年(1-8月) 飲食業 原因別倒産状況

負債額別 中規模の倒産増、「5億円以上10億円未満」が4.5倍

 負債額別では、最多の「1千万円以上5千万円未満」が403件(前年同期比101.5%増)で、飲食業倒産に占める構成比は70.8%だった。「5千万円以上1億円未満」の84件(同40.0%増)と合わせて、負債額1億円未満の倒産は85.5%を占めた。「10億円以上」は前年同期と同数の5件だったが、「100億円以上」が1件(前年同期ゼロ)発生した。
 増加率の最大は、「5億円以上10億円」未満の350.0%増(2→9件)。
 飲食業の倒産は小・零細事業者が中心だが、コロナ関連融資などによる過剰債務が負債の規模を大きくしている可能性がある。

2023(令和5)年(1-8月) 飲食業 負債額別倒産状況

都道府県別 増加36、減少8、同数3

 都道府県別では、増加が36都道府県、減少が8県、同数が3県。
 件数が10件以上では、増加は群馬400.0%増(2→10件)、広島240.0%増(5→17件)、滋賀233.3%増(3→10件)、福岡218.1%増(11→35件)、愛知200.0%増(16→48件)、静岡133.3%増(6→14件)、北海道88.8%増(9→17件)、兵庫88.2%増(17→32件)、茨城83.3%増(6→11件)、大阪78.3%増(37→66件)、千葉66.6%増(9→15件)、東京66.0%増(53→88件)、神奈川57.1%増(14→22件)、宮城42.8%増(7→10件)、新潟25.0%増(8→10件)、京都5.0%増(20→21件)。減少はなかった。
 地区別では、9地区すべてで前年同期を上回った。増加率の最大は、四国(5→13件)と九州(25→65件)の160.0%増だった。

2023(令和5)年(1-8月) 飲食業 都道府県別倒産状況

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