• TSRデータインサイト

2023年3月期決算 上場企業 「役員報酬 1億円以上開示企業」調査

~ 集計開始以降で最多の316社・717人 ~ 【2023年6月30日17:00 現在】

 

 上場企業の有価証券報告書がほぼ出揃った。6月30日17時までに、2023年3月期決算の有価証券報告書を提出した上場企業は2,342社だった。このうち、役員報酬1億円以上の開示は316社(前年289社)、人数は717人(同667人)で、社数・人数とも開示が始まった2010年3月期以降で最多を記録。

 コロナ禍から経済活動が本格的に動き出し、円安も追い風となり、輸出企業を中心とした好業績を反映した。また、役員報酬が業績連動だけでなく、株式報酬などの報酬体系も定着し高額化が進んだ。


開示人数は717人で最多を記録

 2023年3月期の報酬額1億円以上の役員は717人で、前年(667人)を超えて最多を更新した。
 役員報酬トップは、ZHDの慎ジュンホ代表取締役GCPO(Group Chief Product Officer)の48億6,700万円(前年43億3,500万円)。前年に続き2年連続でトップを維持した。開示制度が開始された2010年3月期以降では、2015年3月期のオリックスの宮内義彦元会長の54億7,000万円に次いで歴代5番目となった。
 報酬額の内訳は、連結子会社のLINEからのストック・オプション44億9,900万円など45億6,700万円、ZHDから2億400万円、LINE Plus Corporationから9,600万円だった。
 次いで、ソニーGの吉田憲一郎代表執行役 会長CEOが20億8,300万円(前年18億8,800万円)、武田薬品工業のクリストフウェバー代表取締役社長CEOが17億2,300万円(同18億5,800万円)、PHCHDのジョン・マロッタ元取締役の16億5,400万円(同5億6,000万円)、東京エレクトロンの河合利樹代表取締役社長の14億2,000万円(同16億6,500万円)と続く。
 報酬額10億円以上は7人(前年8人)だった。

2023年3月期 役員報酬額ランキング

開示社数が初めて300社を突破

 2023年3月期に役員報酬1億円以上を開示した上場企業は316社(前年289社)で、前年を27社上回った。2010年3月期に制度が始まって以降、300社を超えたのは初めて。
 開示人数は717人(同667人)で、社数同様に人数も最多になった。
 個別企業では、開示人数の最多は日立製作所の20人(前年18人)で、歴代5番目の多さ。開示人数が20人以上は、2019年の三菱電機(21人)以来、4年ぶり。
 次いで、伊藤忠商事14人(前年6人)、三菱重工業10人(同2人)と、上位は大幅に開示人数が増えた。伊藤忠商事は前年は取締役6人だったが、2023年は取締役6人のほか、執行役員8人が開示対象となった。また、三菱重工業も前年は取締役2人だったが、2023年は取締役4人のほか、執行役員6人が開示対象となった。
 このほか、開示人数9人は三菱UFJFG(同13人)、三井物産(同9人)、野村HD(同7人)の3社。同8人は三井不動産(同8人)、ソニーG(同6人)の2社。開示人数の上位には総合商社、金融、電機メーカーなどが並んだ。

2023年3月期 役員報酬開示人数ランキング

※ 役員報酬1億円以上の開示は、「改正企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づき、2010年3月期決算より報酬等の総額、報酬等の種類別(基本報酬・ストックオプション・賞与・退職慰労金等の区分)の総額を有価証券報告書に記載することが義務付けられた。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

「社長の出身大学」 日本大学が15年連続トップ 40歳未満の若手社長は、慶応義塾大学がトップ

2025年の社長の出身大学は、日本大学が1万9,587人で、15年連続トップを守った。しかし、2年連続で2万人を下回り、勢いに陰りが見え始めた。2位は慶応義塾大学、3位は早稲田大学と続き、上位15校まで前年と順位の変動はなかった。

2

  • TSRデータインサイト

解体工事業の倒産が最多ペース ~ 「人手と廃材処理先が足りない」、現場は疲弊~

各地で再開発が活発だが、解体工事を支える解体業者に深刻な問題が降りかかっている。 2025年1-10月の解体工事業の倒産は、同期間では過去20年間で最多の53件(前年同期比20.4%増)に達した。このペースで推移すると、20年間で年間最多だった2024年の59件を抜いて、過去最多を更新する勢いだ。

3

  • TSRデータインサイト

ゴルフ練習場の倒産が過去最多 ~ 「屋外打ちっぱなし」と「インドア」の熾烈な競争 ~

東京商工リサーチは屋外、インドア含めたゴルフ練習場を主に運営する企業の倒産(負債1,000万円以上)を集計した。コロナ禍の2021年は1件、2022年はゼロで、2023年は1件、2024年は2件と落ち着いていた。 ところが、2025年に入り増勢に転じ、10月までの累計ですでに6件発生している。

4

  • TSRデータインサイト

銭湯の利益6割減、値上げは諸刃の剣 独自文化の維持へ模索続く

木枯らし吹きすさぶなか、背中を丸めながら洗面器を抱えて銭湯に…。寒くなると銭湯が恋しくなるのは、いつの時代も変わらない。サウナブームで光明が差すように見える銭湯だが、実際はそうではない。

5

  • TSRデータインサイト

「退職代行」による退職、大企業の15.7%が経験 利用年代は20代が約6割、50代以上も約1割

「退職代行」業者から退職手続きの連絡を受けた企業は7.2%で、大企業は15.7%にのぼることがわかった。退職代行はメディアやSNSなどで取り上げられ、代行利用や退職のハードルが下がり、利用者も増えている。

TOPへ