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国内106銀行(単独決算) 預貸率62.94%で3年ぶりに上昇 業態間で貸出金の伸びに格差

~2023年3月期「預貸率」調査 ~


 国内106銀行の2023年3月期の預貸率は62.94%(前年61.93%)で、前年を1.01ポイント上回った。預金合計(預金+譲渡性預金)は992兆9,418億円(前年比4.2%増)で、大手行が前年比5.8%増と大幅に積み上げ、全業態で上回った。一方で、貸出金合計も625兆3億円(同5.9%増)と、全業態で増加した。大手行の貸出金は前年比7.2%増と大きく伸び、預貸率の上昇を先導した格好だ。


 預金と貸出金の差を示す預貸ギャップは、2008年以降で最大の367兆9,414億円(前年比1.4%増)に広がった。預貸ギャップは、地方銀行(同5.4%減)、第二地銀(同4.8%減)と縮小するなか、大手行(同4.2%増)だけが拡大した。
 業態別の預貸率は、大手行54.48%(前年53.77%)、地方銀行74.77%(同72.81%)、第二地銀77.84%(同76.23%)と、全業態で上昇した。貸出金は、地銀が前年比4.6%増(預金1.9%増)、第二地銀が同4.2%増(同2.0%増)だったが、大手行は同7.2%増(同5.8%増)と大幅に増加した。ただ、大手行では預金流入も大きく、預貸率の上昇はわずかにとどまった。
 大企業や優良企業などの顧客を多く抱える大手行は、運転資金だけでなく設備資金などの資金需要も旺盛で、貸出金を大幅に伸ばした。ただ、コロナ禍からの業績回復が遅れ、資金繰り支援策の副作用で過剰債務を抱えた中小企業は多い。こうした企業を支える地方銀行・第二地銀は貸出金が鈍り、伸びに差が出た。銀行に預金流入が進むが、過剰債務を抱えた企業に対しリスクを取りながら、貸出や企業の経営再建にどう取り組むか。銀行の目利き力が試されている。

※預貸率は、銀行預金の運用状況を示す経営指標の一つで、預金残高に対する貸出残高の比率。
※本調査は、国内106銀行を対象に2023年3月期の単独決算の預貸率を調査した。
※預貸率(%)は、「貸出金÷預金×100」で算出。
※「貸出金」は貸借対照表の資産の部から、「預金」と「譲渡性預金」は貸借対照表の負債の部から抽出した。
※銀行業態は、1.埼玉りそなを含む大手行7行、2.地方銀行は全国地銀協加盟行、3.第二地銀は第二地銀協加盟行。


預貸率62.94%で3年ぶりに上昇、預貸ギャップは過去最大も伸びは鈍化

 国内106銀行の2023年3月期の預貸率は62.94%(前年61.93%)で、3月期では2020年3月期以来、3年ぶりに上昇した。
 2023年3月期は、貸出金が625兆3億円(前年比5.9%増)で、大手行の伸び率が大きく、3月期では2008年以降、初めて600兆円台に乗せた。預金も992兆9,418億円(同4.2%増)と積み上がり、預貸ギャップは最大の367兆9,414億円に拡大した。ただ、預貸ギャップは地方銀行(同5.4%減)、第二地銀(同4.8%減)が縮小し、大手行だけが前年比4.2%増と拡大した。
 預貸率が上昇したのは87行で、大手行が7行のうち5行、地方銀行が62行のうち54行、第二地銀が37行のうち28行だった。預貸率が上昇した87行では、71行(構成比81.6%)が預金を積み上げ、佐賀共栄銀行を除く86行で貸出金が増加した。

預貸率推移

業態別 全業態で預貸率が上昇

 業態別の預貸率は、大手行54.48%(前年53.77%)、地方銀行74.77%(同72.81%)、第二地銀77.84%(同76.23%)と、全業態で上昇した。
 地方銀行は、62行のうち、54行(構成比87.0%)で預貸率が上昇した。預金333兆3,961億円(前年比1.9%増)に対し、貸出金は249兆3,052億円(同4.6%増)と伸び率が大きかった。
 また、第二地銀も、預金70兆755億円(同2.0%増)に対して、貸出金は54兆5,468億円(同4.2%増)で、37行のうち、28行(構成比75.6%)で預貸率が上昇した。
 大手行は、貸出金321兆1,482億円(前年比7.2%増)、預金も589兆4,701億円(同5.8%増)と大幅に伸ばし、地方銀行、第二地銀より大幅に積み上がり、預貸率はわずかな上昇にとどまった。
 預貸率が最も上昇したのは、十八親和銀行の前年比14.25ポイントアップ(預貸率60.05→74.30%)。預金5兆6,659億円(前年比0.9%増)に対し、貸出金が4兆2,098億円(同24.9%増)と大幅に増加し、預貸率は唯一、10ポイント超上昇した。
 次いで、東日本銀行が前年比8.76ポイントアップ(預貸率84.55→93.31%)、北九州銀行が同8.03ポイントアップ(同99.61→107.64%)の順で、貸出金を伸ばす一方、預金が減少した。
 一方、SBI新生銀行が前年比8.83ポイントダウン(預貸率80.21→71.38%)。貸出金(同37.4%増)以上に預金(同54.4%増)の伸びが大きく、預貸率が最も低下した。


業態別 預貸率推移

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