• TSRデータインサイト

都内の協同組合発行、一部の高速道路ETCカード 4月1日午前0時で利用不能に

突然の通知で混乱広がる

 高速道路の「大口割引制度」を活用したETCカード共同精算事業などを手掛ける都内の協同組合は3月29日までに、ETCカードのサービスを終了すると通知した。カードの有効期限内でも4月1日午前0時で利用が停止され、ETCレーンの利用時にバーは開かない。関係先の間で、混乱が広がっている。

 通知したのは、(協)企業情報センター(TSR企業コード:293360154、新宿区、登記上:千代田区)。約3,500の組合員数を有し、ETCカード共同精算事業のほか、燃料の共同購買などを手掛けている。組合員向けに数万枚のカードが発行されているとみられる。
 企業情報センターは、金融機関から保証書の発行を受けてETCカード協同精算事業を展開していた。しかし、今回はコロナ禍による業績悪化やシステム変更などを要因として保証書の更新を受けられず、3月16日に組合員に向けてETCカードの更新が難しいことを明らかにしていた。
 企業情報センターの代表は3月23日、東京商工リサーチ(TSR)の取材に応じ、「金融機関との事前交渉が遅れ、一部カードの更新が間に合わないのは事実」と認めた。
 企業情報センターの組合員は、「突然のことで驚いている。他で新しくETCカードを発行するとしても時間がかかるため、その間は現金払いや個人のETCカードで対応せざるを得ない。とても不便だ」と漏らす。
 31日、企業情報センターの代表が再度、TSRの取材に応じ、「ETCカード共同精算事業は一時撤退するが、その他事業は継続する。信頼が回復したらカード事業を再開したい」と述べた。
 同日、中日本高速道路の担当者はTSRの取材に対して、「本件に関して注意喚起を促しているが、ETCカードが有効な状態かどうかをご確認していただきたい」とコメントした。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2023年4月3日号掲載予定「取材の周辺」を再編集)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月の「人手不足」倒産が過去最多 「従業員退職」が前年の1.6倍増、初の年間300件超へ

2025年9月に「人手不足」が一因となった倒産は、調査を開始した2013年以降では月間最多の46件(前年同月比109.0%増)を記録した。また、2025年1-9月累計も、過去最多の285件(前年同期比31.3%増)に達し、人手不足はより深刻さを増していることがわかった。

2

  • TSRデータインサイト

ケーキや和菓子は「高値の花」に、スイーツ店が苦境 倒産は過去20年で最多ペース、競合商品も台頭

街のスイーツ店が苦境に陥っている。材料コストの上昇、酷暑、人手不足が重なり、商品値上げによる高級化も購入機会の減少につながったようだ。2025年1-9月の菓子製造小売の倒産は、過去20年で最多の37件に達した。

3

  • TSRデータインサイト

2025年1-9月「後継者難」倒産が過去2番目 332件 高齢化が加速、事業承継の支援が急務

代表の高齢化が進み、後継者が不在のため事業に行き詰まる企業が高止まりしている。2025年1-9月の「後継者難」倒産(負債1,000万円以上)は332件(前年同期比4.5%減)で、2年ぶりに前年同期を下回った。だが、2025年は過去最多だった前年同期の348件に次ぐ、過去2番目の高水準だった。

4

  • TSRデータインサイト

2025年 全国160万5,166社の“メインバンク“調査

全国160万5,166社の“メインバンク”は、三菱UFJ銀行(12万7,264社)が13年連続トップだった。2位は三井住友銀行(10万1,697社)、3位はみずほ銀行(8万840社)で、メガバンク3行が上位を占めた。

5

  • TSRデータインサイト

2025年度上半期の「円安」倒産30件 仕入コスト上昇が卸売業を直撃

2025年度上半期(4-9月)の「円安」関連倒産は、30件(前年同期比31.8%減)だった。上半期では、2022年度以降の円安では前年度の44件に次いで、2番目の高水準になった。

TOPへ