• TSRデータインサイト

マンションなどRC工事で業績拡大のユービーエム(株)[東京]、1月31日朝から連絡難

 マンションなど投資用不動産のRC工事を手掛けるユービーエム(株)(TSR企業コード:293588309、江戸川区、以下UBM)は、1月31日朝から連絡が取りにくい状態が続いている。

UBMは1991年に設立され、2018年4月期の売上高は20億円だったが、倍々で売上高を伸ばし2021年4月期は103億円に急拡大。2022年4月期の売上高も105億円を計上していた。だが、その一方で、最近は幹部社員の退職や決済不調の話も漏れ伝わり、動向を懸念する声が一部の取引先からあがっていた。

30日に「従業員を集めて重大なアナウンスをした」との情報が東京商工リサーチ(TSR)に寄せられた。31日午前9時に本社を訪問すると、社内は明かりが消え、入口は施錠されていた。午前11時までに本社を訪れた取引先は10人を超えた。工事業者から資材の納入業者まで多岐に渡るが、いずれの取引先も「連絡が取れない」「現状を知りたい」と異口同音に語った。

2月1日も朝から午後3時まで本社に人影はみられなかった。同日、TSRの取材に応じたUBMの取引先の1社は、「31日から連絡がつかず、(代表者の)自宅も確認したが不在のようだった」と語る。その上で「昨年11月頃、下請業者に支払い遅れがあり、気になっていた」と打ち明けた。
資材を納入していた業者は、「昨日(31日)で現場が止まった。納入分だけでも回収したいが難しい」と肩を落とした。さらに別の取引先は、「UBMの従業員は30日夜に『自宅待機』と言われたようだ。この1~2年で幹部を含む一部社員が退職し、動向を注視していた」と話した。

工事を請負っていた下請業者は、「30日までUBM担当者と連絡を取り合っていた。31日朝、現場を確認したらUBMの社員が誰もおらず驚いた」と戸惑いを隠さなかった。2月1日、TSRはUBMの工事現場にいた作業員に取材を試みた。「工事は止まっているのか」との問いに、言葉少なに頷いた。こうした現場をUBMはいくつも抱えているようだ。

ユービーエム

取引先の困惑広がるユービーエム(TSR撮影)

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

建材販売業の倒産 コロナ禍の2倍のハイペース コスト増や在庫の高値掴みで小規模企業に集中

木材や鉄鋼製品などの建材販売業の倒産が、ジワリと増えてきた。2025年1-7月の倒産は93件で、前年同期(75件)から2割(24.0%)増加した。2年連続の増加で、コロナ禍の資金繰り支援策で倒産が抑制された2021-2023年同期に比べると約2倍のハイペースをたどっている。

2

  • TSRデータインサイト

「転勤」で従業員退職、大企業の38.0%が経験 柔軟な転勤制度の導入 全企業の約1割止まり

異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。

3

  • TSRデータインサイト

女性初の地銀頭取、高知銀行・河合祐子頭取インタビュー ~「外国人材の活用」、「海外販路開拓支援」でアジア諸国との連携を強化~

ことし6月、高知銀行(本店・高知市)の新しい頭取に河合祐子氏が就任した。全国の地方銀行で女性の頭取就任は初めてで、大きな話題となった。 異色のキャリアを経て、高知銀行頭取に就任した河合頭取にインタビューした。

4

  • TSRデータインサイト

ダイヤモンドグループ、複数先への債務不履行~蔑ろにされた「地域イベントの想い」 ~

ライブやフェスティバルなどの企画やチケット販売を手掛けるダイヤモンドグループ(株)(TSRコード:298291827、東京都、以下ダイヤモンドG)の周辺が騒がしい。

5

  • TSRデータインサイト

2025年1-8月の「人手不足」倒産が237件 8月は“賃上げ疲れ“で、「人件費高騰」が2.7倍増

2025年8月の「人手不足」が一因の倒産は22件(前年同月比37.5%増)で、8月では初めて20件台に乗せた。1-8月累計は237件(前年同期比21.5%増)に達し、2024年(1-12月)の292件を上回り、年間で初めて300件台に乗せる勢いで推移している。

TOPへ