• TSRデータインサイト

米暗号資産の混乱が国内にも FTX日本法人に業務停止命令と資産の国内保有命令

 暗号資産交換業のFTX Japan(株)(TSR企業コード:013144944、千代田区)は11月10日、関東財務局から資金決済法に基づき11月10日から12月9日まで業務停止命令を受けた。米国親会社FTX Trading Limited(以下、米FTX社)に信用不安の報道があり、当社の資産が国外の関連会社等に流出しないよう求めた。

 FTX Japanは、親会社米FTX社の方針として、再開の日程を明示せずに利用者の法定通貨や暗号資産などの出金、出庫を停止していることを11月9日、ツイッターなどで公表していた。一方、同社の取引所では暗号資産の売買を続けていた。

 関東財務局は、業務停止命令を出し、新たに利用者から財産を受け入れる業務を停止させた。FTX JapanのHPでは11月11日午前8時現在、「FTXは現在、出金サービスを停止しております。入金を控えていただきますよう、お願いいたします」と表示されている。

 関東財務局は、業務停止命令とともに業務改善命令や資産の国内保有命令も出している。負債から非居住者に対する債務の額を控除した額に相当する資産を国内に保有することを命令した。

 FTX Japanの負債総額は2021年9月期決算時点で、234億6,431万円。持株会社のFTX Japan Holdings(株)(TSR企業コード:130720208、同所)は同期時点で134億7,305万円。11月10日、FTX Japanの担当者は東京商工リサーチの取材に対して、「現在コメントすることができない。混乱が終われば取材に応じる」と話した。

人気記事ランキング

  • TSRデータインサイト

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」

(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。

2

  • TSRデータインサイト

2025年3月期決算(6月27日時点) 上場企業「役員報酬1億円以上開示企業」調査

2025年3月期決算の上場企業の多くで株主総会が開催された。6月27日までに2025年3月期の有価証券報告書を2,130社が提出した。このうち、役員報酬1億円以上の開示は343社、開示人数は859人で、前年の社数(336社)および人数(818人)を超え、過去最多を更新した。

3

  • TSRデータインサイト

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に

参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。

4

  • TSRデータインサイト

船井電機の債権者集会、異例の会社側「出席者ゼロ」、原田義昭氏は入場拒否

破産手続き中の船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の第1回債権者集会が7月2日、東京地裁で開かれた。商業登記上の代表取締役である原田義昭氏は地裁に姿を見せたものの出席が認めらなかった。会社側から債務者席への着座がない異例の事態で14時から始まった。

5

  • TSRデータインサイト

1-6月の「人手不足」倒産 上半期最多の172件 賃上げの波に乗れず、「従業員退職」が3割増

中小企業で人手不足の深刻な影響が広がっている。2025年上半期(1-6月)の「人手不足」が一因の倒産は、上半期で最多の172件(前年同月比17.8%増)に達した。

TOPへ