脱毛サロン「キレイモ」、一部店舗を譲渡へ
解約返金などで顧客とのトラブルが続く脱毛サロン「キレイモ」を運営する(株)ヴィエリス(TSR企業コード:363955682、渋谷区)は9月28日、借入金の代物弁済で一部店舗を不動産投融資コンサルのGFA(株)(TSR企業コード:295641762、東証スタンダード)に譲渡すると発表した。事業譲渡のため、GFAは債務を引き継がず、未払い債務は今後もヴィエリスが対応する。ただ、遅れている顧客への返金について詳細は明かされておらず、トラブルは長期化の様相を呈している。
ヴィエリスは譲渡対象外の店舗について、「後日、お知らせにて随時、皆様にご報告させていただきます」としている。
ヴィエリスは、顧客への返金について「解約希望依頼を受けている状況が続いており、希望されているお客様への対応が遅れている状況です。一日でも早く返金希望のお客様へ、返金対応を進めてまいります」とのコメントを公表した。
GFAやヴィエリスによると、譲渡対象は「キレイモ」の28店舗で、10月1日に実行する予定。GFAが運営する予定の店舗は、ヴィエリスから引き継いだ顧客の未消化役務について、2022年12月まで月間1万件を限度に無償で施術を引き受ける。2023年1月以降の方針は未定で、決まり次第公表するという。
GFAの担当者は「運営を引き継ぐ予定の店舗は、10月1日以前の予約内容を見直す可能性がある」とコメントした。
店舗は代物弁済で譲渡
2022年6月、GFAはヴィエリスが保有する総額3億4,900万円の割賦債権を取得した。すでに6月と7月で7,300万円を回収したという。また、GFAはヴィエリスの関連会社にも資金を貸し付けており、ヴィエリスの店舗の什器、設備、商標権、テナントの保証金などに担保を設定している。
ヴィエリスは2022年1月以降、スポンサー支援を含めた経営戦略の見直しを進めたが、交渉は進展しなかった。さらに、信用不安などでヴィエリスの7月の全店売上は前年の10%にとどまり、経営悪化が深刻さを増していた。
◇ ◇ ◇
SNSでは、キレイモの解約手続きができないことや返金の遅れ、予約が取れないことなどを嘆く声が今も多い。ヴィエリスは、顧客離れを食い止めるためにも顧客へのサービス提供を守ると同時に、随時細やかな説明が求められている。
あわせて読みたい記事
この記事に関するサービス
人気記事ランキング


M&A総研の関わりに注目集まる資金流出トラブル ~ アドバイザリー契約と直前の解約 ~
東京商工リサーチは、M&Aトラブルの当事者であるトミス建設、マイスHD、両者の株式譲渡契約前にアドバイザリー契約を解約したM&A総合研究所(TSRコード: 697709230、千代田区)を取材した。
2

中小企業、中高年の活用に活路 「早期・希望退職」は大企業の2.8%が実施
「早期希望・退職」をこの3年間実施せず、この先1年以内の実施も検討していない企業は98.5%だった。人手不足が深刻化するなか、上場企業の「早期・希望退職」募集が増えているが、中小企業では社員活用の方法を探っているようだ。
3

【解説】秀和システムの法的整理、異変察知は「船井電機より前」
(株)秀和システム(TSRコード:292007680、東京都)への問い合せは、船井電機(株)(TSRコード:697425274、大阪府)の破産の前後から急増した。ところが、あるベテラン審査マンは「ERIが弾けた時からマークしていた」と耳打ちする。
4

1-6月の「訪問介護」倒産 2年連続で最多 ヘルパー不足と報酬改定で苦境が鮮明に
参議院選挙の争点の一つでもある介護業界の倒産が加速している。2025年上半期(1-6月)の「訪問介護」の倒産が45件(前年同期比12.5%増)に達し、2年連続で過去最多を更新した。
5

2023年度「赤字法人率」 過去最小の64.7% 最小は佐賀県が60.9%、四国はワースト5位に3県入る
国税庁が4月に公表した「国税庁統計法人税表」によると、2023年度の赤字法人(欠損法人)は193万650社だった。普通法人(298万2,191社)の赤字法人率は64.73%で、年度集計に変更された2007年度以降では、2022年度の64.84%を下回り、最小を更新した。