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今年も居酒屋の店舗減止まらず 上場主要15社でコロナ前から2割超(23.1%)の減少 「大手居酒屋チェーン」店舗数調査

 2022年3月下旬、まん延防止等重点措置が全面解除された。飲食店の営業時間制限も緩和され、多くの店がコロナ前と同じ営業時間での営業が可能になった。だが、営業時間は元に戻っても、居酒屋チェーンの店舗撤退は止まっていないことがわかった。
 上場主要15社の運営店舗数は、コロナ前の2019年12月末の5,557店から2022年6月末は4,268店に1,289店(23.1%減)減少。主要15社の半年ごとの閉店数は、2020年6月末が433店で、その後はGoToトラベル、GoToイート期間を挟んだが、2020年12月末はさらに245店が閉鎖した。
 2021年に入っても新規感染者数が一進一退で推移し、度重なる緊急事態宣言等で外出自粛が定着。2021年1月~6月までの半年で237店減少、2021年7月~12月も197店が減少し、半年ごとに200店前後が姿を消した。2022年は3月にまん延防止等重点措置が解除され、人出が日常に戻りつつあったが、三密回避の意識が続き、6月末までの半年で177店減と店舗撤退に歯止めが掛かっていない。
 7月に過去最多の新規感染者数を記録し、在宅勤務の再推奨や酒席控えなどで客足は再び遠のきつつある。今夏は夏休みやお盆休みの“飲み会”気運は期待薄で、当面は各社とも採算重視の店舗施策が続くとみられる。

  • 本調査は居酒屋(焼鳥店、バル形態店舗等含む)をメインに展開する上場15社の有価証券報告書や月次実績などの開示資料から、店舗数を集計した。


”串カツ田中””肉汁餃子のダンダダン”は店舗増

 上場する居酒屋チェーン主要15社の店舗数は、2022年6月末で4,268店だった。コロナ前の2019年12月末は5,557店だったが、コロナ前から1,289店(23.1%減)が閉店した。
 コロナ前から最も店舗を減少したのは、子会社で運営する焼鳥店や海鮮居酒屋の店舗見直しを行ったJFLAホールディングス(以下HD)の45.3%減(843店→461店)。
 次いで、多様なコンセプトの居酒屋を首都圏のターミナル駅周辺で展開するダイヤモンドダイニングの親会社・DDHDの42.5%減(435店→250店)、「はなの舞」などのチムニー(738店→500店)、「庄や」運営の大庄(487店→330店)の各32.2%減と続く。
 コロナ前から店舗数が30%以上減少したのは4社、10%以上30%未満が5社、10%未満が3社。逆に、コロナ前から店舗を増やした企業も3社あった。
 店舗を増やした3社は、串カツ田中HD15.0%増(273→314店)、「肉汁餃子のダンダダン」を運営するNATTY SWANKY36.0%増(86→117店)、餃子や韓国料理など料理別で居酒屋業態を展開する一家HD4.3%増(69→72店)。それぞれジャンルに特化した料理メニューを提供する業態を運営する企業で増店した。

居酒屋2208

コロナ禍3年目に突入も 業績回復見通せず、店舗スクラップさらに進む

 居酒屋を運営する上場主要15社の店舗数は、コロナ前から1,289店が純減した。
 コロナ前から店舗数が減少したのは12社で、4社はコロナ前から30%以上店舗が減少した。
 一方、コロナ前から店舗が純増したのは3社にとどまった。大手居酒屋チェーンは収束めどが立たないコロナ禍での顧客ニーズの変化を読み切れず、保守的な店舗運営を続けている。
 2021年は3回の緊急事態宣言が発令された。2022年も年初から3月下旬まで、まん延防止等重点措置が発令されていた。この間、アルコール飲料提供の時間制限や外出自粛に伴う客数減で居酒屋業態は厳しい経営を強いられた。対象15社のうち、直近本決算(2021年8月期~2022年3月期)が前期と比較可能な12社をみると、増収はわずか2社(構成比16.6%)で、残る10社(同83.3%)は減収を強いられ、10社いずれも前年比10%以上の大幅減収だった。
 さらに、7社(同58.3%)が最終赤字を計上した。雇用調整助成金などの支援が縮小するなか、居酒屋チェーンを取り巻く環境は、原材料価格の上昇、人件費アップなどのリスク要因が重なり、厳しい局面が続いている。
 3月のまん延防止等重点措置解除後は、コロナ前まで営業時間が緩和され、テレワーク終了や縮小の企業が増え、繁華街の人出は回復基調にあった。しかし、今夏、“第7波”での新規感染者数の急増で、再び不透明感が増している。テイクアウト導入や、業態変更など外食事業者は生き残り策を模索するが、居酒屋業態は賃料などの固定費や人手不足を補う人件費上昇などコストアップが押し寄せ、高コストの都心店舗を中心にさらなるスクラップは避けられそうにない。

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